リーマン・ショックの後、第一次安倍政権が崩れ落ちていき、鳩山民主党政権が誕生いたします。
当時、自分は資産運用関係の法人営業に携わっており、日本を代表する年金基金や事業法人の財務・人事部門がお客様となっていました。
いまだにデフレ脱却が実現できない中にあって、金利は歴史的な低水準(とは言っても、まだプラスレンジでしたが)となっている一方で、株価はリーマンショックから立ち直っておらず、伝統的な4資産(内外株債券)では、安定運用が実現しづらい環境にありました。すでにその頃、オルタナティブと呼ばれる資産領域も拡大していましたが、当時はヘッジファンドが中心であり、コストも高く、またパフォーマンスも安定していませんでした。
そこで、日本を代表する巨大年金基金に対し、非伝統資産領域であるPE・インフラファンド・私募Reitの分野に投資を開始する提案を行い、個別案件毎に当方がDD=デューデリジェンスを行いながらポートフォリオを構築していく、新たな運用形態を始めました。現在では、アセット型オルタナの包括運用契約として一般的になっているものですが、当時、国内で初の試みでした。この基金では10年の歳月をかけて、極めて良好なポートフォリオを構築しており、お客様からも大変感謝されています。
一方、民主党政権になって、企業年金界に衝撃が走ります。厚生年金基金廃止問題=総合基金廃止問題の勃発です。
ことの発端は、AIJ事件という詐欺事件であり、この商品を売り歩いていたのが社会保険庁OBの人間で、その後輩たちが常務理事を務めている総合基金のファンドが、数多くこの詐欺事件の被害者になったことでした。