金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【戦争が泥沼化する原因】 長期戦になるほど「過激な保守派だらけ」になるから!

2024-07-18 03:11:24 | 金融マーケット

 本日は「戦争の泥沼化」がテーマです。

 

 ロシアによるウクライナ侵攻でも、ガザ地区のイスラエル侵攻でも、早期停戦を求める一般市民および国際世論とは裏腹に、当事者であるロシア政府とウクライナ政府、同じくイスラエル政府とハマスは、それぞれが主張する停戦条件がドンドンと釣り上がってしまい、さらに泥沼化の様相を極めています。

 

 こうした状況は、過去の歴史を振り返っても、ほぼ同様のことが起きていますが、理由は極めてシンプルであります。

 早期決着⇒早期停戦であればそれぞれの犠牲者数が少ない段階であり、街やインフラもそれほど破壊されていないため、戦争を止める条件は、それぞれまだ現実的なレベルに設定しやすいのですが、数多くの犠牲者や街の破壊が発生してしまうと、自分の家族が犠牲になったり、自分の家を破壊されたりする人の数が膨れ上がりますので、その人たちは「絶対に敵を許さない」「相手にも同じ思いをさせる」「敵を根絶やしにするまで戦い続ける」といった意見の持ち主なります。

 戦争が長期化すればするほど、そうした国民の数がさらに増えていきますから、「国民的な恨み辛み」が幾層にも重なっていきますそうなるともう、国のリーダーと言えども、簡単には「停戦」などと口に出来なくなるのです。

 

 TV報道だけを表面的に眺めていると、「プーチンがいなくなれば戦争が終わるのに・・」とか、「ネタニヤフが辞めれば停戦が可能になるのでは?」といった見解を述べるコメンテーターに私たちは同感しがちですが、現実はそんな簡単な話ではありません

 国の指導者が、TVカメラの前でドンドンと過激な意見を繰り返す裏には「指導者の周囲を固める軍指導部」や「指導者への不満を膨らませる国内世論」の存在があって、彼らからの支持を維持するためには「さらに過激な言動」をせざるを得ない状況に陥っていると考えるべきであります。

 

 いわば、戦争が長期化して消耗戦になればなるほど、国民は「過激な保守派だらけ」になってしまうということ。これが泥沼化する最大の原因であります。

 

 さらに、これも歴史が証明していますが、表面的には「過激な保守派」を演じながら「冷静な撤収行動」を指導できる人物が「組織内に潜伏」し始めます。そうした人物は、過激な保守派から「粛清」の対象となって多くが犠牲になりますが、それを逃れた人の中から、新時代を切り開く新たな指導者が現れます

 これを待たないと戦争は終わりません

 

 我々も人間として肝に銘じなければならないのは、こうした状況に置かれた時、少なくとも「粛清」に加担する人間になってはいけないということ。

 熱くなりやすい熱血漢は、平和な時代では良い人間でありますが、このような状況下では「粛清」側にまわったり、議会を襲撃するような行動に出る傾向があります。

 私たちも気をつけたいものであります。

 

 

 

 


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【トランプ候補狙撃される!】 背景には、「勝つためなら何をしても良い」という伝統が・・

2024-07-16 01:58:47 | 金融マーケット

 

 すでに地上波TVや新聞各紙でも報道されているとおり、共和党のトランプ候補が現地13日に、ペンシルベニア州で演説中に狙撃され右耳を負傷トランプ候補の命に別条がなかったことは不幸中の幸いでありましたが、聴衆1名が死亡、2名が重体という被害が出ています。容疑者の20歳男性は現場で射殺されたとのこと。

 良識ある米国のマスコミや政府関係者からは、「言論の自由を暴力で抑え込む行為は断じて許されない」と強いメッセージが発せられてはいますが、一方で、覇権国であるアメリカという国の根底には「何があっても負けてはならない」「勝つためならば何をしても良い」という伝統、あるいは文化が根強くこびりついています。

 

 建国から約250年間、他国との戦争で負けた経験がなく、第一次世界大戦以降は覇権国として100年以上も世界に君臨している国ですから、当然といえば当然なのですが、これは国対国の闘争というフィールドだけでなく、ビジネスの世界でも、スポーツの世界でも、すべて同じことが言えます。ですから、他国が一度でも米国の威信を傷つけるような勝利を収めたとしても、そのあとでトンデモナイしっぺ返しを受けるのが常であります。

 そんな国ですから、絶対に避けなければならないのが『米国内での内戦』であります。「何があっても負けてはならない」「勝つためならば何をしても良い」と考える人間同士が戦うのですから、悲惨で残忍な闘いになります。南北戦争を取り上げるまでもなく、戦いは相手を完膚なきまで叩き潰さないと終わりません

 

 2020年の大統領選、2024年の大統領選については、実質的に「何があっても負けてはならない」「勝つためならば何をしても良い」という『内戦』が続いていると考えると判りやすい。そしてそれを仕掛けたのは、今回狙撃されたトランプ候補その人なのであります。

 今回の狙撃事件が示しているのは、2024年の大統領選で、共和党が勝とうが、民主党が勝とうが、どちらにしても、「何があっても負けてはならない」「勝つためならば何をしても良い」という『内戦』が継続するということ。

 

 選挙が終わったら、敗者が勝者を讃えて、アメリカを一つにまとめ直すような古き良きデモクラシーの儀式は消え去り、恨み辛みが増幅し続ける時代へ突入するということであります。世界の民主主義の終焉が始まってしまったようです。

 

 


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【日経平均が最高値を更新】 ところで「朝が高くてジリジリ下がる」傾向が強いのはなぜ⁉

2024-07-12 00:56:11 | 金融マーケット

 日経平均株価が好調であります。

 7月11日(木)の朝には、42,426円77銭の史上最高値をつけ、まさに活況の様相を見せております。このblogでも申し上げてきたとおり、今の日本の資本市場は、1990年代の北米の資本市場の状況に酷似しており、30年遅れで「資本市場の革新」が起きようとしていますこのあたりの詳細は、2023年9月16日の当blogをお読み下さい!

 

 掻い摘んで言いますと、1990年代に入って、北米企業の経営者たちは、特に株価を意識して、以下の方向へ舵を切りました

①資本の効率性に拘る。売上や経常利益ではなく、ROE重視の経営に転換する。

②事業別のROEに着目して、M&Aの積極活用によって有望な事業に資本を集中。これによりコングロマリット・ディスカウントを解消する。また自社株購入も積極的に活用する。

③市場からの成長期待であるPERを強く意識。PBR1倍以下など以ての外で早期脱出を図る。

④米国市民にIRA(個人年金勘定)と企業型DC制度が定着した時期。全国民による資産形成=定時定額投資が本格化する。

 

 これと全く同じことが今の日本でスタートしつつあります。すなわち、ここ3~4年で若返った日本の企業経営者たちが上記①~③に本気で取組み始めたということ。さらに④については、政府官邸が主導した新NISA制度の導入によって、日本国民全体に定時定額投資による資産形成活動が一気に広がったということ。

 

 状況が酷似しているでしょう?

 欧米や中東の機関投資家は、上記状況に加えて、日本企業のガバナンス改革が本格したと判断。昨年夏から大幅に日本株のポジションを増やし始めていて、その傾向は現在でも止まっていません。恐らくは全資産の5~7%くらいになるまでは買い続けると思われますとはいえ、このテーマは、昨年の9月、今年の2月にも同様のお話をしているので、ここまでにしておきます。

 

 今日の本題はここから

 今、好調と言われている日本の株価ですが、奇妙な特徴があります。それは「朝がギュンと高くなって、そのあとはジリジリ下がる傾向にあること」。なぜなのでしょうか?

 理由はけっこう簡単で、朝の買い圧力は「海外投資家が買っているから」そのあとでジリジリ下がるのは「日本の個人投資家が売っているから」

 

 日本の個人投資家は、日本株の長期投資での成功体験に乏しいため、「BOX相場」の連想から、「下がると買い、上がると売り」を繰り返すクセが強いのです。したがって、今回の上昇相場でも、短期売買を繰り返すだけで、大きな利益は得られていません

 前述した「構造変化」によって「日本の資本市場が革新する」と信じた海外投資家だけが、じっくり日本株のポジションを上げ続け、この上昇相場の恩恵をフルに受けているということ。

 

 いまさら、ネット取引で短期売買を繰り返す日本の若い投資家たちに「売買を我慢して、長期投資に徹しなさい」と諭しても、恐らくは聞く耳を持たないでしょう。彼らは半分、趣味で売買を繰り返していますから、彼らから「楽しみ」を奪うことは出来ません

 むしろ、新NISAの投資枠で、95~98%程度が「北米株」に流れている現状を変えていかないといけません。せめて20~30%程度は、国内株へ投資してもらえるように促すことで、上記の「構造変化」の利益を日本人にこそ還元していかなければ

 

 「朝が高くて、そのあとジリジリ落ちていく日本の株価」を見るにつけ、そんな思いが募る今日この頃であります。

 


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【米大統領選】 アメリカのデモクラシーを信奉するワタクシとしては・・見てらんない!

2024-07-05 00:24:39 | 金融マーケット

 このblog内ではときどき申し上げておりますが、

 ワタクシはアメリカのデモクラシーを信奉している人間であります。

 

 それは、1988年の秋に遡ります。

 会社に入って5年目の秋に、当時提携していた米国の投資顧問会社に半年間の研修出張を命じられました。そして、その研修の前に英語の勉強をするため、1か月間、テキサス州ヒューストンにホームステイを経験しました。

 丁度このタイミングは、米大統領選の真っ盛りの時期で、共和党候補は父ブッシュ民主党候補はデュカキス。激しい選挙戦が続くのですが、選挙開票日当日は、アメリカ全土の家が選挙結果を待つ間、どこでもホームパーティを開いていて、新大統領が決まる瞬間を今か今かと固唾を飲んで待ち構えているのです。

 そして、全国ネットのTVで選挙速報が報じられると、まずは負けた民主党候補のデュカキスが、勝った父ブッシュへ直接TELによって祝福、これをきっかけに、共和党支持者も民主党支持者も、1年半にわたる戦いを終えて、新しい大統領の誕生を祝って乾杯「2つに割れていたアメリカがまた一つに戻る」時を迎えるのでありました。

 この瞬間を目の当たりにした時、ワタクシはアメリカのデモクラシーの素晴らしさに感動したものであります。

 もちろん、アメリカの実情は、「人種差別」「銃社会の矛盾」「絶望的な貧富の差」など、どうしようもない問題を抱えています。しかし、それを超越するくらいの、自由の素晴らしさ、絶対的正義の存在を担保するデモクラシーがドンと構えてくれているのです。

 

 あれから30年以上が経過しました。そして、前回の2020年の米大統領選

 激しく罵倒し合う選挙戦に加えて、選挙結果を不正と断じて認めようとしない現職の大統領。挙句の果てに、デモクラシーの殿堂である米国議会に暴徒を乱入させるという事態に。デモクラシーの盟主であるアメリカの現職の大統領が、デモクラシーの根幹を破壊する暴挙に出た訳であります。

 

 そして、今回の2024年の米大統領選

 そのような事態を引き起こした張本人が、あらためて新大統領の候補として絶対有利な状況にあります。もちろん、これは対立候補である、現大統領があまりに不甲斐ないということもありますが、それ以上に、さまざまな原因があるにせよ、このような候補者を最有力候補に推し立てている米国民の問題が大きい

 

 建国から248年

 古代ギリシャとローマの事例から、民主主義の賞味期限は300年程度と言われていますが、アメリカ合衆国の民主主義は、250年足らずでもう賞味期限が切れてしまったのか⁉

 大変残念でなりません。


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【本日から新札へ!】 ところで、20年サイクルで新札がリニューアルされる理由は⁉

2024-07-03 02:46:41 | 金融マーケット

 本日7月3日から新1万円札新5千円札新千円札へ改刷されます。

 早ければ、本日中に新札に出会えるかもしれません。

 

 

 これから暫くの間、お世話になります

 渋沢栄一氏津田梅子女史北里柴三郎氏の3名の方々に、まずは「宜しくお願いいたします」と、ご挨拶いたしましょう。

 

 ところで、この新札へのリニューアルのサイクルですが、概ね20年となっているとのこと。なぜ新札へのリニューアルが必要かと言うと、財務省の説明では「偽造防止対策の強化、つまり偽札作りを防ぐのが定期的にデザインを変える目的」ということらしい。

 確かに、リニューアルの毎に、新たな技術による偽造防止の工夫が重ねられてきていて、世界中の紙幣を見ても、日本の紙幣の偽造防止技術は抜きんでているようであります。

 

 また、その他の理由もありそう。すなわち、アングラ世界=反社会勢力の世界では、マネーロンダリング規制が強化されているため、現金による決済しか基本的には成り立ちません。したがって、このように紙幣をリニューアルすることで、アングラマネーを表に炙り出す効果が期待できるようです。

 さらに一般社会でも、現金主義による「脱税行為」というのはよく散見されるため、これを防止する目的もありそう。現金現物授受による相続税逃れなどは、旧札を大量に銀行に持ち込む時点でバレてしまいます

 

 愚念ながら、大量の現金による決済や入金は目立ちますので、皆さんもお気をつけ下さいね。

 数千万円単位以上の現金は、まず疑ってかかるのが金融機関の習性でありますから・・

 ご留意を。

 

 


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