金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【独裁者あるある②】 独裁者は『最終兵器』のボタンを押したとさ・・

2023-02-24 04:52:45 | ウクライナ情勢

 2月8日の当blogで書いた『独裁者あるある』のお話ですが、あの続きを書いてくれ!という問い合わせが多く来ております。ご案内のとおり、あれは「ブラック・ユーモア小話」でありまして、あの続きを書くつもりは毛頭ないのですが、「もしリアルに、ウクライナ国内で戦術核兵器が使われたら、どういう展開になっていくのか?」という質問には、少し想像力を膨らませて書くことはできるかな・・と。

 本日は、そんな感じで、あの続きを書きたいと思います。

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 独裁者は、『戦術核兵器』という最終兵器のボタンを押したとさ・・。

 

 以下は、その続きです。

 戦術核の目標は、当然ながら、ウクライナの首都キーウ。戦術核といっても、広島・長崎の原子爆弾よりは強力ですから、人口300万人のキーウの市街地で爆発するとなると、少なく見積もっても、100万人を超える犠牲者が出ることになります。そして、ウクライナ政府やウクライナ軍司令部は、ゼレンスキー大統領をはじめ壊滅状態になります。まぁ、人類史上最悪の出来事と言って良いでしょう。

 まず瞬く間に世界中に、このニュースが広がります。一部の報道機関は、キーウ市内の悲惨な画像も流すでしょう。世界中すべての国から、ロシアおよびプーチン大統領に対して、強い批判と対抗措置が発せられると思います。NATO諸国は当然ですが、中国も完全にロシアを見限って、食料輸出、半導体輸出などの支援を止めてしまうと思います。

 さらに、NATO軍は、バルト三国とロシア国境沿いに20~30万人規模の陸戦部隊を配備するでしょう。ちなみに、この国境ラインからは、古都サンクトペテルブルグも、首都モスクワも、至近距離となります。また、ポーランドとウクライナ国境沿いや、ロシアとの関係が微妙になりつつあるモルドバ国境沿いにも10万人規模で展開すると思います。場合によっては、中国人民軍が、ロシアと中国の国境沿いに、100万人規模で展開することもあり得ます。こうなると、すでに陸軍兵力が手薄になっているロシアからすると、ウクライナから撤退して、バルト三国との国境沿いと、中国との国境沿いに、すべての陸軍部隊を配置し直さないといけなくなります

 

 そのうえでアメリカをはじめとするNATO軍からは、以下の3点をロシアに勧告することになるでしょう。

◎即時、ウクライナとの停戦 (⇒ クリミアを含む旧ウクライナ領土の返還を含む)

◎プーチン大統領の退任 (⇒ 生死は構わず)

◎ウクライナ復興への全面支援 (⇒ 敢えて賠償金ではなく復興支援=第一次大戦時の知恵)

 

 当然にロシア国内でも、先に核兵器を使用したことへのプーチンへの反発が起こります。軍内部および旧KGBのロシア国家保安委員会の内部でも、プーチン大統領を排除、あるいは粛清する動きが起こると思います。そして、すでに余命幾ばくもないプーチン大統領は、追い込まれる前に、自ら命を絶つことを選ぶのではないでしょうか。

 お話の結末は、こんな感じでいかがでしょう。

 当たり前ですが、戦術核に対して、NATOが戦術核を使うことは、愚の骨頂となります。ロシアを内部崩壊に持ち込む策こそが得策となります。ただし、このケースでも、最大の悲劇はやはりキーウ市民。広島・長崎を超える悲劇が人類の歴史に刻まれることになります。

 

 まぁ、この独裁者も馬鹿ではないので、こういう結末は見えているはずですけどね。

 いくら重病説が流れているとは云え、大国のリーダーを20年以上も続けている大物政治家。

 ラストくらい、潔くあって欲しいものです。

 


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【独裁者あるある】 むかしむかし、いつも自分だけが正しいと考える独裁者があったとさ。

2023-02-08 04:52:46 | ウクライナ情勢

 むかしむかし、いつも「自分だけが正しい」と考える独裁者があったとさ。

 

 この独裁者はさまざまな手段を使って、長く長く、国の最高権力者に居座っておりました。まず政敵が現れると、その人間のスキャンダルを見つけては世間に流して失脚させる。もし、スキャンダルがなくても、その政敵が徐々にのし上がってくると、非合法な手段を使って粛清してしまう。それはそれは、恐ろしい独裁者でありました。

 なお、外見上は「選挙制度」が存在する「民主主義国家」であるため、最高権力者の任期制限が法律で定められていましたが、これも第1の子分と交替で最高権力者の地位に就くことで任期制限を無力化してしまいました。最後は面倒くさいので、この任期制限の法律自体を変えてしまい、自分が死ぬまで最高権力者に居座れるようにしてしまいました

 

 ある日、この独裁者が不治の病に侵されてしまいました。余命は数年しかありませんでした。あ~どうしよう。今のままでは、自分は歴史に名を残すような偉業を達成していない。死んだ後も、国の英雄で居続けたい。

 そこで独裁者が思いついたのが、『兄弟国である隣国の併合』という偉業。

 もともと隣国は、同じ国の一部だった場所ですが、約30年前の連邦崩壊により、別々の国に別れた土地。今でも多くの同胞たちが隣国に暮らしていました。もし、この土地を併合出来たら、自国民だけでなく、隣国に住んでいる同胞たちも大喜びするに違いない。そうなれば、自分は歴史的な英雄となれる! しかし、いきなり攻め込んだら国際世論を敵に回してしまう。何か良いきっかけはないのか⁉

 隣国は民主国家となって、まだ日が浅く、先般の選挙で国のリーダーになったのは、何とTVで人気のコメディアンでした。しかも、そのコメディアンは、あの老獪で狡猾な『米帝』の誘いに乗って、自国は『米帝』の同盟国となって、あの独裁者とは決別しよう! などと息巻いている人物でした。独裁者は考えました。こいつの軽はずみな行動を口実にして、一気に国を併合してしまえば良いのだ!

 しかもラッキーなことに、宿敵『米帝』の現在のトップは、前任者とは異なり、常識人で好々爺。自分からは、けして狂ったことを言わないし狂った行動もしない。すなわち、御し易い相手。かてて加えて、我が国の軍の幹部に聞いたら、2週間で全土を占領してみせると豪語している。『米帝』がアワアワ言っているうちに、スッキリ終わらせてしまおう‼

 

 ところがどっこい・・。あれから1年。

 

 2週間で終了するはずの占領作戦が、泥沼の内戦状態。豪語していた軍の幹部はとっくにクビにしてしまったが、それでは何の解決にもならない。しかも、自分の死期は着実に近づいている。今日、明日に、体調が急変してもおかしくない

 

 このまま、自分が倒れたら、自分の後継者はこの戦争をすぐに終わらせてしまうだろう。そして、全ての責任を死んだ自分に押し付けて、世界中に詫びを入れるに違いない。

 しかし、それでは自分の名誉はどうなる。国の英雄どころか、国を貶めた逆賊扱いになってしまうではないか!

 そんな結末では我慢できない・・

 

 かくして、その国の独裁者は、路上の氷が解けて、戦車・装甲車の動きが取れなくなる3月になる前に、自国の陸軍部隊を隣国から撤収させました。そのうえで・・

 『戦術〇〇兵器』と呼ばれる最終兵器の発射ボタンを押したとさ。  おしまい

 


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【どちらも限界】 ロシアだけでなく、ウクライナそしてNATO各国も、追い込まれている!

2022-11-09 05:04:54 | ウクライナ情勢

 アメリカ中間選挙の結果は気になるところですが、拮抗する上院の情勢が判明するには、12月の決選投票まで待たなければならない州も出てきそうで、もう少し時間がかかりそう。という訳で、2023年に向けてのリスクを考えるに、やはり欧州が気になります。10月25日の当blogでもお話しましたが、欧州経済は相当に追い込まれており、そろそろ限界に達しつつあります。

 

 BS‐NHKの海外ニュース(英BBC放送など)では、特にロシアが追い込まれていること、ロシア国内に厭戦気分が広がっていることばかりが報じられて、直にプーチン政権が崩壊するだの、国内で内紛が発生する可能性などの、希望的観測が満ち溢れています。

 一方で、地上波のNHKが先週取り上げたのは、ウクライナ国内で広がっている『ウクライナ国民同士の対立』の構図。ベースには、長期化する戦争状態への憤りや焦りがあるのですが、首都キーフ周辺では、

◎当初ロシアが侵攻してきた際、ロシアに協力した可能性のあるウクライナ市民への誹謗中傷が溢れ、これによって孤立する市民群が発生している

◎ロシアに占領されている東部地域からキーフへ逃れてきたウクライナ市民に対して『そもそも親ロシアだったお前たちが悪い』と、彼らに対する批判意識が高まっている

 というように、ウクライナ市民間での分裂が発生し始めているようです。

 

 さらに、侵攻されたウクライナを支持する立場のNATO加盟国の中にも、ハンガリーポーランドのように、現政権が『民主主義は我々を豊かにしてくれなかった。イデオロギーを守るために血を流す意義に疑問を感じる』と、不安定な民主主義よりも、権威主義による安全・安定を復古的に支持する国が出始めています。この流れは、イタリアスペインでもファシズム復古の極右政党が勢力を伸ばしているように、伝統的な西側各国にも及んでいます。

 2023年に向けて、まず最大のリスクは欧州、ということであります。ロシアとウクライナの戦争が長引けば長引くほど、この両国が痛むのはもちろんですが、近代民主主義の要であるNATOの主要各国の傷つき方も半端なものでは済まなくなっていきます。

 

 すでに、米英仏は、ロシアとウクライナの手打ちのタイミングを狙って、水面下で動いていると思いますが、『和平条件』が揃うには、ロシアが占領している東部地区の勢力範囲が、ウクライナ側にとって、まだ微妙に足りない状況なのだと思います。

 

 戦争の長期化に伴い、武器も兵力も整える難しさが増しているロシアと、民主主義よりも権威主義に傾く勢いが増しているNATOそのものを心配するアメリカの、『壮大な我慢比べ』が続いているのだと思います。どちらも、もう長くは持ちません。


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【出口のない泥沼の内戦化へ】 極端から極端へ奔るバイデン政権

2022-04-13 05:35:04 | ウクライナ情勢

 ウクライナ情勢が泥沼の内戦へ向かっています。

 短期決着を狙ったプーチンの目論見が破綻して、ロシアは、ロシア系住民が多数を占める東部地域での優勢を確固たるものにする戦術に切替えました。恐らく、想定される「停戦シナリオ」において、東部と南部(クリミア地方)での国境ライン変更を画策しているものと思われます。新たな総司令官ドボルニコフは、戦術変更に向けた態勢立直しに着手しており、直に東部戦線中心に兵力と物資が補給されることになるでしょう。

 一方のウクライナは、首都キーフから遠い東部戦線での戦いは分が悪いものの、その他の地域での戦いが中断されれば、食糧配布やインフラ復興に注力できるため、飢えや医療品不足に苦しむ各地の国民を救う時間を稼げることになります。双方ともに、それぞれの態勢を立て直すタイミングになっているのでしょう。

 しかし、これは紛争の長期化に他なりません。しかも、東部地域では、すでにウクライナ人同士の、同胞同士の戦いが始まっていると思われます。すなわち、単なるロシア対ウクライナという図式だけではなく、ロシア占領地域においては、ウクライナ人自身が徴兵されて、同胞と戦うか、反逆者として処刑されるか、を迫られる事態が発生しているのです。すでに、出口のない泥沼の内戦化へ進みつつあります。

 

 このBlogでは、すでに何度も主張していますが、まずロシアがこのような強硬な侵攻作戦に出た背景には、バイデン政権が示していた「弱腰姿勢」がありました。昨年秋のアフガニスタンからの撤退を見るにつけ、今の米国にウクライナまで手を出す余裕がなかったのは明らかですが、それでも「有事の際は、アメリカ陸軍の欧州増派は当然あり得る」くらいの姿勢は見せるべきでした。アメリカ合衆国大統領が、そう発言すれば、いざとなれば本当に軍を動かすかも‥という懸念を、プーチンは持ったかもしれません。事実、この30年間、2度のイラク紛争やアフガニスタンに、本当に軍を出して、世界の秩序を守ろうとしたのがアメリカ合衆国。

 しかし、ロシアが本当に侵攻したあとは、国内外からの批判をかわすべく、一気に強硬な姿勢を見せ始めたバイデン政権。あれだけ腰が引けていた陸軍の増派も、少しづつ増やす一方、それ以外の経済的な制裁手段も、可能な限り厳しいものを出し尽くしているのが現状今は、ロシアとプーチン周辺を追い込むだけ追い込むことに邁進しています。

 

 でもね‥ バイデンさん。一般論として、以下を申し上げたい。

 どこかで戦争が起きそうになったら、片方が「侵攻する前」には強硬姿勢でこれを抑止する。でも、いったん戦争が始まってしまったら、タイミングを見ながら、双方がギリギリ受けられる「出口を作る」のが、本来の大国アメリカの役割であるはず

 にも関わらず、それと全く逆の行動を続けているのが、今のバイデン政権ではありませんか! むしろ、出口の可能性を塞いでしまっているようにも見えます。ウクライナ情勢が長期化したとしたら、第1の責任は、もちろんプーチンにありますが、第2の責任は、バイデンさん、あなたにあることは明らかだと思います。

 

 なお、アメリカの有権者は馬鹿ではありません。特に、前回の大統領選でバイデンさんに入れた民主党支持者たちは、かなり失望している状況に見えます。秋の中間選挙で、今の政権はボロボロになってしまうのではないでしょうか。


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【占領下の悲劇とは?】 虐殺・略奪だけではない。悲劇的な選択を迫られる!

2022-04-05 07:31:18 | ウクライナ情勢

 ウクライナ東部のロシア軍占領地区で起きていること占領下のウクライナ人が、非常に辛い選択を迫られているとのニュースが、NHKが報じています。その選択とは、

「ロシア軍の兵士として戦うか? それとも死を選ぶか?」

 

 ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」は、自ら独立を宣言して、ロシアもそれを承認した地域ですから、ロシアからすれば、ウクライナの圧政から解放した地域であり、そこに住む国民に対して、ロシア軍に加わるよう促すのは、自然な流れであります。もともと、ロシアに開放を願っていたロシア系市民であれば抵抗がない話ではありますが、そうではない、普通のウクライナ人にとっては、敵側の兵隊となって、同胞と殺し合いをしなけれればならないという、究極の悲劇であります。もし、拒絶すれば、反逆者として処刑すると言われれば、皆さんだったら、どちらを選択するでしょうか?

 

 実は、こうした事態は、過去の戦争の歴史を振り返ると、けして珍しいことではなく、特に欧州では当たり前に発生していた悲劇でした。ナチスドイツに併合されたオーストリア人も当然ながら、ナチスの軍服を着てナチス軍として戦わされましたナチスに占領されたポーランド、チェコ、ブルガリア、そしてウクライナの人々も、ナチスに徴兵されてナチス軍としてロシア軍と戦い、ロシア兵と殺し合いをさせられたのです。

 それと同じ悲劇が、今またウクライナ東部で発生したのです。

 

 ところで、先日、山東昭子参議院議長「ウクライナの人々の戦う勇気に感動している」と述べたことに、多くのタレントやコメンテーターが批判をぶつけていました。自分は、個々人のイデオロギーに対して批判をする意志はありませんが、もし、我が国が他国から理不尽な攻撃を受けて、相手から占領される事態に陥った場合、「同様の悲劇が起こることを想定しなければならない」ことだけは、皆さんにお伝えしたいと思います。

 すなわち、もしA国が突然攻めてきて、まず沖縄・九州が占領された場合、そこに住む日本人はA国に徴兵されて、四国・中国・関西を攻める時の最前線兵力とされてしまうということ。日本を攻めるのに、日本人の兵隊を最前線に配置して、日本人同士が殺し合う状態にされることになります。

 そうなった時、「最初に攻められた時、ちゃんとA国と戦っておけばよかった‥」と思っても、後の祭りであるということ。

 

 欧州の人々は、そうした悲劇を何百年と繰り返しているため、まず闘う意志を明確にします。最初に抵抗せずに占領されてしまえば、そのあとには、もっと酷い悲劇が待っていることを熟知しているので、最初から戦う覚悟が出来るのです。

 欧州各国は、ウクライナ侵攻が起こる前に、あまりにノホホンと構えていた日本のことを「アメリカにしか占領されたことがない幸せな国」として、「占領下の真の悲劇」を頭の中で想像できない国、連想できない国と呆れていたことを思い出します。

 少なくとも、山東昭子議長に対して批判を浴びせていたタレントやコメンテーターには、このような想像力が欠如していることは確かだと思います。


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