金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【金融】平成を振り返る(6) リーマン・ショック

2019-04-11 07:46:04 | 金融マーケット

 金融危機が終了した後、久しぶりに日本経済に明るさが蘇ってきました。株価も7000円台から17000~18000円水準まで上昇を続けて、銀行や証券会社の決算も順調に推移しました。しかし、2007年のサブプライム・ショック、2008年のリーマン・ショックで、日本経済は瞬く間に暗闇に突き落とされることになります。

 ただし、当時の日本の銀行セクターは、世界の金融業界とは異なり、リーマン・ショックの影響は軽微と言えました。もちろん、多額の損失処理を出した金融機関もありましたが、インベストメント・バンクを標榜していた一部の金融機関(M銀行・N証券など)だけであり、しかも致命的な損失ではありませんでした。
 日本の金融機関が難を逃れたのは、直前まで金融危機の処理を続けていたので、新規のリスクには慎重姿勢を保っていたため。すなわち、都会の流行についていけず、古めかしいライフスタイルだったが故に、新種のウイルスに感染しなかったということ。ラッキーの一語に尽きます。

 ところで、ここで世紀のディールが執り行われます。MUFGによるMS証券の救済買収劇です。アメリカの核心的領域とも言えるこの会社を、歴史的底値で買収したこのディールは只々「凄い!」の一言。MUFGとしても、のるかそるかの大博打だったと思いますが、一夜にして自己資本全額が吹っ飛ぶかもしれないというタイミングでの判断でしたので、頭が下がります。

 一方で、今でも成功したのか、失敗したのか、見解が割れているのが、N証券によるR証券欧州部門の買収案件。M&Aの世界では、そのネットワークに定評があったR証券の欧州部門ですが、結局のところ、ネットワークのキーとなる優秀な人材たちのハートを掴みきれず、大量の人材流出を招いてしまいました。当時のネットワークを取り込めたのか、単に負の遺産だけを引き受けてしまったのか、外からでは判らないままです。


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