金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【金融】あなたが日銀ならば何ができるか? その4

2019-04-01 07:05:34 | 金融マーケット
 本日は「マイナス金利」について。

 マイナス金利とは、日本の銀行・信託銀行などが日銀内に開設している当座預金の一部に対して、マイナスの金利を課しているもので、「管理手数料」のような性格のものだとお考え下さい。
 マイナス金利を課すことで、日本の金融機関は集めた資金をキャッシュのまま放置すると、日銀から多額の手数料を取られることとなるため、とにかく融資や投資を積極的に行わなければならない状況に追い込まれていることになります。このため、各金融機関は積極的に投資先を探して、お金を動かそうと必死になっているのです。

 しかし、マイナス金利をもってしても、日本のお金の大半は狙い通りに動いてはいません。なぜでしょうか?
 本来であれば、各銀行内に口座を開設している個人の口座や、法人口座、機関投資家の口座にも、このコストを負担してもらうことで、最終投資家にマイナス金利を浸透させることにより効果が出てくるのですが、ここが一部の口座にしか対応出来ていないのです(機関投資家の信託口座のみ)。

 今は全部銀行がコストを負担しているため、マスコミではマイナス金利が地銀いじめの材料みたいに書かれていますが、これは銀行側が個人・法人客が離れるのを怖がっているため自主的に判断してやっていること。確かに普通預金や当座預金にマイナス金利を適用すると、国民としてはショックが大きく、現金引き出しパニックみたいなことも起こりかねないため、銀行側の対応はやむを得ない面もあります。

 でも、ここからが本題なのですが、日銀による金融政策のノリシロはもう殆ど残っていません。もしアメリカが金融緩和に舵を切り、為替が円高方向へ急伸したとしても、日銀には対抗する方策がありません。唯一の方策がマイナス金利の対象範囲の拡大と幅の拡大。しかも、それを効果的にするためには預金口座へのマイナス金利適用が必須となります。

 そろそろ、預金口座の管理・資金決済サービスの有料化の議論を始めないといけないのではないでしょうか?
 アメリカや欧州では当たり前のことが、長く日本では議論を避けられてきましたが、もう時間が残されていないように思えます。

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