夫婦で新しい人生にトライしてます~日本編

15年ぶりにカナダから帰国。終の棲家と選んだ北海道美瑛町から日々の生活を綴ります。

富良野やすらぎの刻(とき)第60夜

2024-02-18 08:25:56 | 日記

昨日は、毎月1回開催されている富良野演劇工場での「富良野やすらぎの刻」第60夜に出かけて来ました。富良野在住の脚本家倉本聰さんと彼が主宰して来た富良野塾出身者達によって、毎回1本の倉本さん脚本の映画を鑑賞しその後彼らが撮影にまつわる話や感想を述べ合う会です。

富良野演劇工場から見た新富良野プリンスホテルの夕景

先月までしばらくは「北の国から」シリーズを扱ってきたので、これらは富良野が舞台でしたから観客もすごい思い入れがあって毎回大盛況でしたが、昨日は「北の国から」を見終わった後の作品としてカナディアンロッキーが舞台の「學」という映画を取り上げたことで果たして観客の入りはどうかと少し危惧していました。しかしそれは全くの杞憂で、やはりいつものようにたくさんの人が見に来ていました。

「學」という映画自体はWOWOWが作成し2012年の元日に放送しただけなのであまり多くの人が見ているとは思われず、仲代達也と共に主役を演じた高杉真宙(まひろ)についてはWikipediaでも「學」に出演した記録がないくらいです。彼はこの当時15歳だったそうですが、若手俳優の登竜門仮面ライダー出演などを経て今は超人気の若手俳優だそうです、全然知りませんでしたが。

ストーリーはネタバレですがこういうものでした。コンピュータにのめりこんでいた少年、學が部屋に遊びに来ていた小さな少女にデータを破棄されたことで怒り誤って彼女を殺して死体を遺棄するという大きな社会的事件を引き起こしてしまう。それによってバッシングされた海外駐在中だった両親は自殺に追い込まれ、少年を引き取った元南極越冬隊員だった祖父とその妻が彼を更生させるべく接するが彼はこの事件をきっかけに完全に言葉を発しない抜け殻のような生き方を選択してしまう。思い余った祖父が取った究極の策は南極で同僚だった友人を頼りにカナディアンロッキーの山中で孫と二人でサバイバル生活を始め、サバイバルの術を全て教えたと悟った祖父は末期がんを患っていたことから山中で自死し後は孫一人に生きるか死ぬかの選択を迫った。彼は生きられるのか、生きるためには何が必要かを学んでいく。

後半のトークショーで倉本さんは、今の世は人々はモノや情報にあふれた生活をしているが本当に必要なことは何なのかということを書きたかったと話していました。彼の自叙伝などを読んでいても40年を超える富良野生活でアイヌで初めて国会議員になった萱野茂さんとも交流があり、人間と自然との関りなどにずっと関心を持ってきたのだなということは分かります。「北の国から」の五郎さんの生き方にも根底にはそれがありました。彼のこだわりが良く分かる作品でした。

トークショーの中で面白かった話題は、この原作は1992年に書いたそうですがその当時映画化には仲代達也ではなく三船敏郎が予定され、彼が出るならばとカナダでの友人役にショーン・コネリーが内定していたということでしたが、倉本さんは高倉健でも良かったかなと話していました。

また、映画の中でグリズリーベアに遭遇する場面がありますが、これはCGではなく本物で迫力がありました。この出演費用が多くのスタッフを必要とすることで1日400万円を超えるといった話もありました。

来月の鑑賞作品は「赤ひげ」となりました。山本周五郎原作で黒澤明が監督した映画が有名ですが、倉本さんが脚本でテレビドラマ化していた話は知りませんでした。楽しみです。

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