月1回のペースで開催されている読書会ですが、昨日は今年の直木賞受賞作、井与原新著「藍を継ぐ海」でした。彼は東京大学大学院理学系研究科で地域惑星科学を専攻し博士課程修了と言うちょっと変わり種の作家です。
直木賞とはいえ固い難しい本なのかなと読む前は思いましたが作品は5話の短編で成り立ち、実に新鮮な面白さがあったように感じました。短編5話の内の1つ「星隕つ駅逓」は北海道遠軽町が舞台ということで北海道でも人気だということです。
昨日は5つの物語に出てくる地名をちょっと懐かしい国土地理院の地図で探し、物語の舞台となっている日本の原風景を残す忘れられた離島、山村、極寒の地、海浜、過疎の町などを確認してその物語が展開される情景をも想像しながら話し合いました。
読書会のメンバーも視点が今までの小説とは少し異なり、かといって読みにくいわけでもなく面白かったが大方の感想でした。文学的な抒情感に溢れているわけではないけれど読後はすがすがしい気分になれる本でした。読書会の良い所は自分の好みの作家本だけではない新たな本にも巡り合えることではないでしょうか。
そしていつもながら主催者Oさんの丁寧なレジメとおもてなしのお茶とお菓子が素晴らしく、3時間半という長い時間ですが、いつもながらあっという間に感じて終えて来ました