
今日は、朝から、9月11日(木)の大阪地方裁判所における福島第一原発事故損害賠償請求裁判=原告(避難民)本人尋問の最終回の傍聴人を増やすために、原告、支援者らと一緒に、各種団体の事務所を訪問してきました。
この類の活動を弁護団の弁護士が行うべきかについてはいろいろと異論があることは十分、承知しています。
各種団体の構成員の方から裁判に質問された場合、答えるのは、弁護団の弁護士しかいないので、弁護士が団体回りをするべきだと思います。

刑務所で加害者と面会「なぜ事故を起こしたか」息子を失った父親の思い 癒えない悲しみに苦しむ日々 札幌市
被害者らの想いは加害者になかなか伝わりません。それで、加害者に直接会って伝えたいと考え、実際に面会するのですが、その想いが全く伝わらずに、返って傷つけられることの方が多いのです。厳しいです。
共同通信によると、犯罪の被害者側に損害賠償金が支払われない事例が後を絶たず、政府が損害回復や経済的支援の在り方を検討するため、北欧など海外の事例を調査する方針を固めたことが8月2日、政府関係者への取材で分かったそうです。北欧の一部で国が損害賠償金を補償した上で加害者から回収する制度があり、政府は調査後に結果を公表し、日本での実現可能性を探るとみられるそうです。
国が北欧の制度を調査するということは、「国による立替払い制度」(=加害者(犯人)が被害者へ行うべき損害賠償を国がいったん立て替えて、国が税金債権のように加害者に支払いを求めていくもの)の創設に大きく前進していると思います。
今日、相談を受けた犯罪被害者は、誰に相談したらよいかわからないので、生成AI=チャットGPT(有料版)にずっと相談していたそうです。でも、結局、有益なアドバイスは得られなかったので、チャットGPTに教えてもらった法テラスで犯罪被害者精通弁護士を紹介してもらうことにした、と言われたのです。
どうしてこういうことになるのか、人間の知能の1万倍の能力があるはずの生成AIが、です。
私は、おそらく、被害者を支援する技法と戦略についての記述した文献がほとんどないためだと思います。つまり、チャットGPTが自分で考えて「推論」しようとしても、その元となる原材料が表に出ていないので、相談者(被害者)にアドバイスができないのです。
今日は、大阪市内のある警察署へ被害者の事情聴取に同行してきました。
その際、署内の壁に指名手配書が10数枚、貼られているのを見つけました。そして、その手配書には懸賞金が記載されていました。
その合計がなんと6800万円でした。そのうちの最高額は2000万円で、世田谷一家殺人事件
でした。

一攫千金を狙う人は、宝くじを買うのをヤメて、指名手配の犯人を捜しましょう。その方が被害者のためにもなるし、確実だと思います。
日本経済新聞によると、
520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故から8月12日で40年となるのを前に、遺族らが文集や絵本を相次ぎ出版した。「悲劇を繰り返さない」「命の大切さを伝えていきたい」。亡き人への思いとともに、惨事の記憶を風化させることなく次世代へと継承していきたいとの願いがにじむ。
「ずっと父を目標としてがんばってきたが、結局、父を超えることはできなかった」。15日出版された文集「茜雲(あかねぐも)そのあとに 日航機御巣鷹山墜落事故遺族の40年」。手記を寄せた遺族の男性は、事故で亡くした父親(当時56)への哀惜の念を示し「生きている限り、できることを一生懸命やっていく」とつづったそうです。
私は、組織事故の代表例ともいうべき日航ジャンボ機墜落事故に被害者家族の手記集『茜雲: 日航機御巣鷹山墜落事故遺族の二〇年 (総集編) 』
を読み返したいと思います。

「心情等聴取・伝達制度」がよくわかります。この動画でもよく分からないと思われた場合は、私= aoifast@gmail.comにeメールをください。
昨日の福島第一原発賠償訴訟(裁判)では、福島県いわき市から避難してきた耳が聞こえない、そのため言葉がほとんど出てこない原告本人の尋問が行われました。
大阪地方裁判所では初めての試みだったのですが、第22民事部(部長=裁判長は松本展幸さんです。)の皆さま、特に書記官の皆さまの多大なるご尽力のおかげで、原告本人尋問は大成功でした。
この原告本人尋問、最初は本当にできるのだろうか、と心配でした。というのは、民事訴訟法に通訳人の立会いの規定(154条)があるものの、裁判は「口頭弁論」という名前からもわかるように、本来、原告とその代理人弁護士、被告とその代理人弁護士、裁判官が会話しながら審理が進めていくものだからです。
その原告、漫画家を目指して、既に新人発掘のコンテストにおいて賞を受けている人なので、語るチカラが原告団の中でNo.1だったのです。漫画家って、各コマにどういう画を配置するかを考えないといけない、ここを間違うとヒット作は書けないので、語るチカラも鍛えられているのです。
なお、次回の裁判は、午後1時30分スタートです。
参照条文
第154条 口頭弁論に関与する者が(中略)耳が聞こえない者若しくは口がきけない者であるときは、通訳人を立ち会わせる。ただし、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、文字で問い、又は陳述をさせることができる。

昨日の『犯罪被害補償を求める会』の運営会議で、月1回のペースで犯罪被害者とその家族の交流会を開催していく方向で準備することになりました。
犯罪被害者の多くは、自分を責めて、周囲からも責められて、孤立します。その際、同じ状況にある人と話しができる機会があれば、孤立感が和(やわ)らぐ場合もあるのです。その意味で、犯罪被害者の交流会は必要なのです。