本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

夢売るふたり【映画】

2012年09月24日 | 【映画】
「ゆれる」「ディアドクター」の西川美和監督作品を見ました。

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東京の片隅で小料理屋を営む貫也(阿部サダヲ)と妻の里子(松たか子)。
店は小さいながらも順風満帆だったが、火事で全てを失ってしまう。
ある日、貫也が常連客と一夜を共にし、すぐに里子の知るところとなるが、
里子は結婚詐欺で金をだまし取ることを考案する。
結婚願望の強いOLなど寂しい女たちの心の隙につけ込んで、
店を再開するための資金を稼ぐ二人。
しかし、夫婦の関係に影が差し始め……。
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ほぼ、非の打ちどころのない映画、という感想です。
長時間の平坦な映画だったわりには、最後まで夢中でした。


何よりも、松たか子演じる「里子」を、
あたし自身に投影してしまって、終始胸が痛かった…。
これに関しては、相方もほぼ同意見で、
「お前が行き過ぎたら、ああなるな。」と言ってました。


やばくない?あたし(笑)。サイコ予備軍??
いやいや、決してそんなことはないよ、というのを以下に弁明。

一見するとだいぶ恐ろしい女性に見えますが、
里子はそんなことはない、というのが個人的な見解です。

元々、詐欺を始めるまでの献身的な性格が、
旦那の不貞をきっかけにおかしくなり、歯止めが利かなくなってしまった。
何度も躊躇し、途中で止めようともしているんだけれど、
旦那も自分も、やけくそみたいな状態で突っ走り、挙句、最後の悲劇へと繋がる。

要するにきっかけは、旦那を愛するが故の些細な仕返しだったと思うんです。
恐らくそれまでも献身的だった彼女が本物で、旦那への愛も本物だったはず。
ただ、火事とか、その後の生活や自らの環境とかのせいで、
少しずつ、心が壊れてしまったのではないかと。

不運だったし、その後の行動についても、夫婦どっちも悪いよ。

でもあたしは女性だし、ものすごく里子の気持ちが理解出来てしまったので、
その辺で少し彼女に同情的になりました。
なので、その辺は相方と少し感想が違ってました。


いやー、もうね、途中途中の行動とか、セリフとか、
ああ、あたしだったらこうするかも、とか、
ここはこう思ってるんだろうなあ、とか、
いちいち理解出来過ぎて、こんなに見てて辛かった映画は久しぶりでした。

やっぱり危険??(笑)


しかしながら。

冒頭に「ほぼ」非の打ちどころなしと書きましたが、
正直、最後の最後、展開が無理矢理だったのだけが残念。
『衝撃の展開』と宣伝していたようなのでネタバレは控えますが、
あの一瞬の出来事で、それまでのリアリティが一気に崩れた感じ。ちょっと白けちゃった。
だって、真実が隠されたまま、何のお咎めもなしって、よく考えたらちょっと怖くない??
彼の将来が心配です。サイコ予備軍。
“誰だってサイコになる可能性がある”という暗喩だとしたら、監督ちょっとやり過ぎかも。



まあ、それはそれとしてもよく出来た映画だと思います。
かなりお勧めなんですが、好みによるとは、思います。


…読み返してみると、ほんとに冷静に見れなかったんだなー。
読みづらい感想ですみません。