狩江のお祭りと文化論

~愛媛県西予市明浜町狩江地区のお祭りや、四季折々の風景、暮らしを独自の観点からお伝えいたします~

ある謎の冠

2010-02-08 21:50:24 | 狩江の歴史をたずねて
前回は蛸が御神体を引き上げた話しでしたが、今度はある謎の冠のはなし。

これは地元のある網元に残るちょっとミステリーで興味をそそる実話。
 
戦後の昭和、まだ日本が混乱状態の時代、そこの網は普段どおり
今で言う”恋の浦”あたりで、いわし漁をしていて、網を曳いていました。
その頃はまさしく豊饒の宇和海と言われるように、群れになって沖から岸へと
魚の大群がやってきたそうです。それを追うようにまぐろなどの大型のウヲも
やってきていました。
その日、網の中になぜか見かけないものが混じっていて、引き上げると
なんと手のひらに収まるくらいの冠ではありませんか!
金属製であったために、それは緑青が付き、輝きは薄れていましたが
形は頭に載せるほどの、王族の女性が被るようなりっぱな冠でした。
日本史において、女性がそんな冠をつけたような姿はあまりありません。
一見して、これは大陸あたりの品物では?とみんな思ったようです。
精巧なかざりや細工も見受けられ、それは持ち帰られて、しばらくその
網元の家に保管されておりました。
その後、これはきっと何か大変貴重な史物ではないかということで
ある学校の先生に鑑定を兼ねてあずけられたそうです。
でも・・・・その後、その冠の所在がわからなくなってしまったそうです。

現在関係者の話によると、当時そのようなものにどれだけの価値があるかが
全く認知不足だったそうで、その後の所在を含めた追跡もしなかったそうです。
大変悔やんでおられました。今ではすぐ写真などに記録できますが、
話しをきいて残念でなりません・・・・・。
むかしむかし、この宇和海にそんな冠を積んだ舟が往来し、きっと嵐にあって
海の底深く沈んでいたのでしょう、いったいどんな人物がその冠を被っていたので
しょうか・・・・・、ロマンをそそります。


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