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芙蓉鎮 Hibiscss Town

2006-09-26 07:23:45 | 中国映画 (19)

Fuyoutin

監督:謝晋 シェ・チン
出演:劉暁慶 リュウ・シャオチン(胡玉音)
    姜文 チアン・ウェン(秦書田)
    鄭在石(谷燕山)徐松子(李国香)
    祝土彬(王秋赦)
1987年 中国
文化大革命の激動の時代。
庶民は偶然に権力を持った人間に虐げられ、それでも、明日に希望を持って、生きて、生きて、生き抜く。

>>文革の嵐が吹く1963年春。
湖南省の南端にある小さな町・芙蓉鎮では米豆腐を売る働き者で若い胡玉音(劉暁慶)の店は繁盛していた。
米豆腐は安くて美味しい。
お客の来そうにない国営食堂の女店主・李国香(徐松子)はこれをにがにがしく思っていた。

街きってのインテリでありながら右派の烙印を押され〈ウスノロ〉と呼ばれる秦書田も胡玉音が気になる様子。

李国香は底意地が悪く、胡玉音に嫉妬しているだけなのだ。

李国香は解放戦争を戦いぬいた米穀管理所の主任・谷燕山(鄭在石)に米の特配をたのむが、聞いてもらえず、胡玉音には米豆腐の原材料の屑米をまわしているのが気に入らない。
屑米は元々捨てるものなのに。

政治工作班長に昇格した李国香はこの時とばかり胡玉音を文革の敵、ブルジョア資本主義者と責め、ささやかな新築の家を取り上げた。
胡玉音の夫も殺されてしまった。

玉音は屑米を丁寧に挽いて、鍋の底に穴が開くほど働いてきた。誰かを搾取して得たお金ではない。

権力を持つ価値のない者が権力を持つことは恐ろしい。

積年の恨みか谷燕山まで弾劾する。
所長の身分も剥奪され、往来で、酔って荒れる谷燕山の声を聞き、秦書田は呟く。

「まだ、(彼の)心は死んでいない」

たとえ尊厳を傷つけられても、人間の心は簡単には死なない。感動します。

罪人扱いの胡玉音は秦書田と同じ道路掃除に身分を落とされる。
心の広い秦書田は失意の胡玉音の面倒をよくみた。

やがて、二人の心は通じ、二人っきりの結婚式に谷燕山がそっと祝いにくる。
もとはと言えば屑米のとばっちりが原因で谷燕山は失脚させられたのに。
互いに疑心暗鬼のなか、谷燕山は人間として立派だと思う。

けれど、結局、李国香の画策もあり、秦書田は10年の刑、胡玉音には3年の刑がいい渡される。

秦書田は子を宿した妻に言う。

「生きるんだ!豚のように生きるんだ!どんなことがあっても生きるんだ!」

はっと、目が覚める場面です。

秦書田はウスノロと呼ばれても、いつも飄々と腰を低くして逆らわず、決して自分を卑下せず、自分を見失わない。
結局、こういう人が生きる術に長け、強いのだと思う。

さて、以前、1994年製作の『生きる・活着』という映画をビデオで見ました。
『芙蓉鎮』はそれより7年前の1987年の製作です。
まだ、コン・リーはデビューせず、劉暁慶が人気のあった頃の映画だそうです。

どちらの映画も文化革命時の庶民の受難を描いています。

姜文は当時24歳。若くて身のこなしも軽くて綺麗です。
演技派です。ユーモラスでもあります。

ここから結末に触れています。

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ひとりになった身重の胡玉音を街の人は人目をはばかりながらそっと助ける。
谷燕山も難産に苦しむ彼女を病院に運ぶ。

1979年、悪夢のような文革がようやく終わり、最早、中年の秦書田は赦され妻子の元に帰る。
途中、党の幹部になった李国香とすれ違い、彼女が結婚する(虚栄心からの嘘?)と聞く。

「庶民的なよい家庭を作ってください。庶民をいじめないで」

李国香の手先となり、庶民を苦しめた無教養の王(ワン)という男。
王は時代についていけずに気がふれ、裸足でドラを鳴らして歩く。
そんな王に秦書田は米豆腐を食べさせてやります。

これが人生というものでしょうか。皮肉です。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
わぁ懐かしい。そうか、『鬼が来た!』の鬼才ウェ... (まっき~)
2006-09-26 12:49:25
わぁ懐かしい。そうか、『鬼が来た!』の鬼才ウェンも、かつて俳優だったんだっけ。
今ね、加入して間もないスカパーの映画チャンネルで『古井戸』とかやっていて、懐かしくて涙出ます。
返信する
★まっき~さん (あいり)
2006-09-27 06:40:32
★まっき~さん

『古井戸』って、チャン・イーモウが出演してるのね。
それは貴重だ!

姜文って監督なの。知らなかった。
何撮った人かしら。調べてみよう。
ありがと♪
返信する
おお、懐かしい! (バーバまま)
2006-09-27 07:41:27
おお、懐かしい!
そうそう、米豆腐。
来る日も来る日も、ひたすら街路のお掃除。
それも、何年も。

アジア映画に興味を持ち始めた最初の頃、これを見て、
>「生きるんだ!豚のように生きるんだ!どんなことがあっても生きるんだ!」
こうやって、中国人民は、4千年の歴史を生き抜いてきたんだなあ・・・
と強い衝撃を受けました(遠い目)。
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★バーバままさん (あいり)
2006-09-27 21:36:20
★バーバままさん

おお~!この映画をご覧でしたか。
米豆腐が美味しそうで、気になりました。笑

>>アジア映画に興味を持ち始めた最初の頃
何時ごろでしょうね。

文化革命・・いったい誰のための改革なんでしょう。
それでも、4千年を生き抜いて。
4千年は重くて、長いですね。

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