監督・脚本 イ・ジエハン
出演 チョン・ウソン(チョルス)
ソン・イェジン(スジン)
私のプロバイダーのネット抽選に当たったチケットを握り締めて見てきました。うん、幸運。
チョン・ウソンを『上海グランド』で見かけたのが96年。
反日分子の若き闘士を演じていて、目ざとい人は注目していただろうね。
『ユリョン』の後、沈黙があって、『MUSA』ではあまり台詞のない役だったので、今回は彼の声を聞くことができた。
ヒーローではない役だけど、チョン・ウソンだとヒーローぽく見える。笑
冒頭、ヒロインが買ったコーラを忘れるところにドキッとした。
たまにヤッてる私って大丈夫だろ~か?
いや、私のは天然だしと落ち着く。やっぱり怖いね。
題名から内容が推察できるように、映画は正統派の愛の物語です。
死より切ない別れがある
チョルスとふとしたことがきっかけで、手痛い失恋を経験したばかりのスジンは出会い、恋に落ちる。
それまで独りで生きてきたチョルスは
幸せなんかない、君は自信過剰だ、
人生は怖いものだ、
生まれるのも独り、死ぬのも独り、
愛など信じないふうだったけど、スジンの一途な情熱にやがて心を開く。
この映画には数々の名台詞があって。
許すということは心の扉の一つを開けること。
スジンがチョルスに彼を捨てた母を許すように説く場面もいい。
野性的で荒々しく、愛に飢えたチョルス、それゆえ一旦手にした愛を全身全霊で守ろうとする本当は心優しい男を演じたチョン・ウソン。
ある意味、理想の男性じゃないかな。
チョン・ウソンさんはもっと注目されていい男優さんだと思う。
スジンが気を失った時、誰よりも先に、彼女を軽々と胸に抱いて走るチョルス。
それを見守るスジンの父親の驚いたような複雑な顔が印象的。
そう、娘が父から恋人へと、バトンタッチされる瞬間、
チョルスの愛がどれほど深いかが知れる、胸が熱くなる、父の目から見れば切ない場面だ。
二人を引き離すものなどない美しい愛の光景が輝くようであるほど、後に起こる悲劇が予想されて胸がチリリと痛い。
二人の幸せそうなこと!
ここでラテン音楽がふんだんに流れるのは爽やかだけど、カーウァイ映画を意識してるかな?笑
甘い夫婦生活はなかなかエロテックで、(笑)オッと思うような場面もある。
そう、スジンの魂(本能・感覚)の中にはチョルスが息づいている(身も心も一緒)ってことかな。
それは後の衝撃の場面にも繋がるのだけど。
ソン・イェジンは変わらず清純だけれど、今回は成熟した新妻役で健闘。
この人の繊細な演技力はこの映画の鍵かしらね。
ここから結末に触れています。
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肉体的な死よりも先に精神的な死が来る。
違う!魂は死なない!チョルスの叫び。
愛は消えない
俺が君の記憶で 君の心なんだ。
スジンが失禁して、チョルスがそれを他の家族に見せずに、片付けようとする場面が衝撃的だった。
奇麗ごとだけではなく、これが愛する人の全てを受け入れるということなんだと思う。深い・・
私も、病のせいで記憶は失っても、その人の心、魂は失われないと思う。
パンフレットの家中に貼ってあったメモの文を読んで、ついに涙腺決壊。
「犬でも当てられるよ、お母さんはおカズ代~」は面白い。
妻のためにどれも同じカードにしてあったのにね。
療養所で再会した時、スジンはチョルスの似顔絵を描いていた。
それは少しずつ子供の描くような、たどたどしいものになっていたのは胸を突かれた。
記憶は薄れても、チョルスを想っていたのだ。
「初めまして」彼がサングラスで、こみ上げる涙を隠す場面もいい。
「ここは天国ですか?」・・・
スジンはやがては赤ん坊のように無垢な人になってしまうのだろうけど、元々チョルスは彼女にとってお父さんで叔父さんのようだったのだもの。
二人はまた、「初めまして」から恋に落ちることもできるじゃない。(これは私の勝手な願望;)
そんなことも思わせる、あのラストは悲しいなかにも希望を感じた。
「サラガヨ」・・・
伝えなければ_____僕の人生は無意味です
でもね、チョルスを孤独から救ったスジンの人生は無意味ではなかったよ。
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