監督 クァク・キョンテク(チング)
出演 チョン・ウソン(チョルミン・トンケ)キム・ガプス(父親)
キム・テウク(ジンムク)
2003年、韓国
むかしむかし、男の子は母親を亡くし、父親と近所の人に育てられました。
そんな、古きよき時代を思わせるような映画です。
傑作ではないけど、私は好きです。こういう映画。
刑事の父親の職場、警察署で、男の子はまるで野良犬(トンケ)のように愛犬、これまたトンケと一緒に伸び伸び育った。
身体は育ち過ぎくらい育ったが、心は子供のころと変わらず。
素直で単純。
ある事件をきっかけにトンケは高校を辞めてしまった。
この事件がこの映画の唯一の笑うに笑えない悲劇です。
長身のチョン・ウソンが右肩を下げて、ヒョコヒョコ歩く姿はまさに野良犬!
ヒーローっぽさをかなぐり捨ててトンケになっています。
10代から20そこそこの役はちょっとしんどかったかな。笑
でも、カッコ悪いのに、カッコいいです?
トンケは野良犬みたいに食べて、のん気。
辣腕刑事の父親は息子を放し飼い。
大雑把な愛情は犬を育てているみたいで、後は野放し。
でも、しっかり手綱は握って、父親の同僚もトンケをそれとなく見守っているのもいい。
これじゃ不良になんてなれない。
この温情家で正義の人、父親役の俳優が渋いです。演技派なんだろうな。
トンケは家事がどんどんうまくなる。笑
キムチ漬けの鮮やかなこと。
目玉焼きを取り合う父と息子って・・楽しい。
韓国には高校中退者のための学校や施設なんていうのもあるらしい。
トンケは落ちこぼれ組か。
高校の先輩だった宿敵とのけんかも、いつも父親の息がかかって中断。
いいお父さんです。
父親は町と人々を蝕む土地買収をする町の権力者を逮捕する。
トンケは馬鹿ではない、正しいことと間違ったことは知っている。
刑務所の中でのトンケと宿敵の決闘は面白い。
野良犬は一度噛み付いたら決して離さない!
決闘許可に一筆書いて提出するのも愉快。
負けたほうが罪をかぶること。さっぱりしたもんだ。笑
ここから、結末に触れています。
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トンケの弟、犬トンケはあろうことか食べられた。
同僚が父親に言う。「けんかの仕方がそっくりですね」
嬉しそうな父親。
待てよ、ということはトンケの父親も優秀青年じゃなかったってこと?^^
父親が思わず言った言葉に傷ついたトンケ。
あれは本心なのか?
でも、父は母親よりも新しい命、トンケを選んだのだ。
トンケはどうなる、やはり蛙の子は蛙?
弱いものの味方なのも父と同じで、幼い頃から張り込みにも付き合った。
いずれ、父親似のいい刑事になるのかもしれない、
恋も芽生える予感の夕暮れの道をトンケは背を丸めて歩いてゆく。