次は、上記を受けて、二つ目のポイントについて、です。
2.上記の各紙の社説に示されているように「国会」の「怠慢」を批判する社説が多いことに、特徴があります。しかし、これは事実を隠蔽するスリカエです。
事実は国会の多数政党である自民党の憲法の主権在民主義、国民主権無視にあることを隠蔽していることです。1票の格差の是正の各党の政策的違いを、憲法の原則から比べ、批判してこなかった各紙の曖昧さを免罪するものです。このことは「各党」「与野党」という曖昧な言葉でゴマカシ、1票の格差是正の憲法的原則の具体化を主張する政党を国民の眼から遠ざけてきていることにも示されています。
さらに言えば、1票の格差是正の議論を民意尊重の議論から党利党略問題にスリカエて、政治不信を煽っていることです。このことが、定数削減を求める国民の声として、さらにスリカエられ、「1票の格差の抜本的改革」を遅らせてきたのです。そのことが、自民党政権の延命を助ける役割を担ってきたこと、その自民党政治を批判する国民の声の高まりを「政権交代可能な小選挙区制」というコピーにスリカエて、憲法違反を温存し、日米軍事同盟容認派を多数派に祀りあげてきたこと、このことを免罪していることです。
この最大の原因は、現在の日本のマスコミ自身が日米軍事同盟容認派だからです。国会で日米軍事同盟廃棄派が、法案提案勢力に伸張すれば、これらの動きを報道しなければならなくなります。
さらに言えば、党首討論をはじめとして国会の質疑時間が長くなり、日米軍事同盟容認派の主張が国民のなかに浸透していく可能性が大きくなります。そのことでさらに、日米軍事同盟廃棄派は国会で多数を形成することで、安保条約第10条の行使権の具体化、かつて財界を国会証人喚問席に座らせたことがありましたが、この証人喚問の再現の可能性が大きくなってしまいます。
このことだけは何としても避けたいという思惑を反映した日米軍事同盟深化派と容認派の合作として、「1票の格差是正」問題を遅らせてきたことの本質があるのです。
以下見てみます。
北海道 最高裁判決後、与野党は違憲状態解消に向け協議を重ねた。しかし党利党略が絡んで結論を出せず、衆院選挙区画定審議会の区割り勧告期限を過ぎて「違法状態」にもなった。…憲法の裏付けが不十分なまま政治が行われている異常さを、国会議員は忘れてはならない。 与野党は衆院選直前に小選挙区を「0増5減」して1票の格差を2倍以内に収めることで合意し、選挙区画定審議会が区割り作業に入っている。新たな区割りが決まり次第、早期に選挙を行うのが筋だ。
河北新報 衆院解散に当たり、小選挙区定数を「0増5減」とする選挙制度改革関連法が成立。2倍未満に一定の道筋を付けたものの、区割りの見直し、公職選挙法の改正は間に合わず、関連法成立も半ば政治の努力ぶりを司法に示すポーズにとどまった。…「0増5減」でさえ区割り改定の対象となる選挙区が多く、政治が腹を決めないことには調整作業にも弾みがつかない。 国民の意思が正しく反映する国会は民主主義の土台。「違憲」を突き付けられなければ本腰を入れないようでは情けない
デーリー東北 今回の衆院選は違憲状態を知りながら実施された。最高裁としては警告が無視された形であり、踏み込んだ憲法判断をせざるを得ないだろう。…国会が今後も選挙制度改革に後ろ向きなのでは政治そのものの正当性が問われるだろう。危機意識を持って見直しに取り組まなければならない。
信濃毎日 ただ「0増5減」は区割り変更の遅れから選挙に間に合わなかった。違憲状態のまま選挙が行われ、格差はむしろ広がった。 与野党協議で格差是正を優先させていれば、最高裁判決から選挙までの間に区割り見直しは十分可能だった―。判決はそう指摘して「憲法が求める合理的期間は経過した」と断じている。与野党間の改革論議は迷走、停滞を続けたままだ。政治家にこれ以上任せておくわけにはいかない。与野党は選挙制度審議会を直ちに設置して、新しい選挙制度の設計に入るべきだ。
新潟 本当に期待にかなうような議論だったのか。「0増5減」はまさに小手先の数合わせであり、しかも昨年の衆院選には適用せずに、解散に踏み切ったのだ。政権奪回へ解散を迫っていた自民党が、その条件として民主党と合意したという背景もあろう。政争の産物にほかならない。今回の高裁判決については、各党とも「重く受け止める」と神妙だが、真剣に制度改正へ取り組む気はあるのだろうか。格差を解消し違憲状態から脱することはもちろんだが、懸案の定数削減も含めた抜本改正は掛け声だけで終わってはならない。区割り変更による格差是正と、定数削減の問題をセットにするから議論がまとまらず、各党が合意できないという意見も聞く。党利党略が先行し、駆け引きばかりが繰り返されて結論が出せないのではないか。「身を切る改革」という言葉は聞こえはいいが、いざ実行となれば政治家の身分に関わるため、いつも及び腰になってしまう。大政党も中小政党ももろ手を挙げて賛同できるパーフェクトな制度は、まずあり得ないだろう。
福井 立法府は、国会の怠慢を厳しく指弾した判決の重みをどう抜本改革につなげるか。明確な答えを出さなければならない。
山陽 衆院の選挙制度改革は、「0増5減」に加えて比例代表定数を削減する議論も行われている。自民党は比例を30減の150とし、うち30議席を得票率第2位以下の政党に優先配分する案で調整している。中小政党に配慮したものだ。ただ、比例定数を減らすこと自体に反対があり、削減幅をめぐっても政党間の主張は隔たりがある。政党の個々の利害にとらわれて見直しを先送りすることは許されない。司法の警告を真摯に受け止め、協議を急がなければならない。
愛媛 国会は政局を優先させ、問題を放置したと批判されても仕方あるまい。長期間、しかるべき行動をとらなかった国会の姿勢は、裁判所の猶予限度を超えたということだ。
徳島 …結局のところ、「0増5減」での改正は最大格差を2倍未満に抑えるための対症療法に過ぎず、憲法が求める「1票の価値の平等」に向けた取り組みとは言い難い。国会に残された道は、議員定数の削減を前提とした制度の抜本改革で、国民に成果を示すことしかないだろう。各党の利害が絡む難しい問題だからといって、これまで通り「決められない政治」を続けるわけにはいかない。気を付けなければならないのは、各党の顔色をうかがうことで複雑怪奇な仕組みになったり、制度の理念が曖昧になったりすることだ。目指す方向性の見えない選挙制度では、民主主義の根幹が揺らぐことになる。自公政権の覚悟と見識が問われている。
高知 高い「違憲リスク」を抱えた総選挙実施の責任は、ひとえに政治自身にある。 ねじれ国会下で、喫緊の課題だった選挙改革でも党利党略が先行し、議論は遅々として進まなかった。 本県などで小選挙区定数を削減する「0増5減」と、最高裁が「投票価値の平等に反する」と指摘した「1人別枠方式」を廃止する関連法が成立したのも、政争の中で「解散の条件」となったことがきっかけだった。 対症療法でさえ司法の警鐘から1年8カ月を要した。区割りが間に合わず、違憲状態が是正されなかった事実は重い。
西日本 自民、公明、民主3党は衆院の定数削減を含む選挙制度改革について、今国会終了までに「結論を得た上で必要な法改正を行う」ことで合意しているが、各党の利害が絡んで調整は難航している。
佐賀 選挙制度改革の論議は、自民党が出した「0増5減」案を軸に進んだが、消費税増税を最優先とする民主党は「身を切る改革」として比例定数削減にこだわった。0増5減を先行実施していれば、少なくとも違憲の事態は避けられた。政治的な思惑で遅延したことは否めない。
熊本日日 今後も違憲判決が相次げば、衆院議員は「憲法上の正当性がない」とみなされる可能性もある。 それなのに、国会の緊張感は乏しかった。自民、民主、公明3党は昨年11月、衆院の選挙制度改革で合意したが、初の実務者協議が開かれたのはこの3月に入ってから。
南日本 与野党は選挙制度改革の協議に入ったが、各党の利害が対立し空回りを続けた。 結局、昨年11月、当時の野田佳彦首相が安倍晋三自民党総裁との党首討論で定数削減の実現を条件に衆院解散を約束し「0増5減」の関連法を成立させたが、区割り改定は間に合わなかった。…各党は党利党略に走り、異常事態を拡大させた責任の重さを自覚すべきだ。 解散に当たり、自民、公明両党は定数削減を含む制度改革の今国会中の実現を民主党と約束した。 自民党は小選挙区比例代表並立制を維持し、比例代表定数を30削減する案を軸に党内調整を図る方針だが、選挙制度の抜本改革や小選挙区定数の削減を主張する公明党とは隔たりがある。与野党合意はさらに困難だろう。今国会中にまとめるという気概が重要だ。
琉球新報 問題は中小政党が納得し得る案かどうかだ。…与党公明党の山口那津男代表ですら制度改革について「国民は選挙のたびに大きく議席が振れることに強い疑問を持っている。より民意を反映できる制度を考えれば、比例代表の定数を削減するのは国民の意向に逆行する」と慎重姿勢で、かつての中選挙区制度も排除すべきではないとの立場だ。小選挙区制度は政権交代が可能な二大政党制を目指したが、現状は中小政党が乱立している。中小政党や国民の間ではかねて、この制度は「日本の政治風土になじまない」という指摘も少なくない。民意を生かすためにも「死に票が多い」とされる小選挙区制を、もはや見直しの聖域とすべきではない。地域主権や道州制導入が叫ばれる時代に東京一極集中、中央集権など都市中心の価値観で選挙制度を見直せば、反動で地方は疲弊しかねない。
沖縄タイムス 政府も政党も「選挙のやり直しはないだろう」と事態を甘くみてはいないか。だが、その姿勢そのものが「憲法の尊重・擁護義務」を軽視した姿勢だといわなければならない。…国会は昨年11月16日、衆院解散のその日に、小選挙区の定数を「0増5減」とする選挙制度改革関連法を成立させたが、新たな区割り作業に時間がかかり、選挙に間に合わなかった。最初から間に合わないことを知りつつ、衆院を解散したのである。(引用ここまで)
どうでしょうか?民主党・自民党・公明党の合作として仕組まれた総選挙の責任を問うものがあったでしょうか?ここに自民もダメだったが、民主もダメだった。
では・・・、これだけは何としても避けなければならないということで、第三極という枠組みを仕掛け、民主の分裂を仕掛けることで、多党化という煙幕と世論調査と選挙後の枠組みという世論操作によって、投票を棄権する国民を1千万人も作り出し、国民に支持されてもいないお坊ちゃま自民党に議席をプレゼント!
共産党と社民党を排除する装置が、一見すると成功しているような現在の政治がある!まさに狙いどおり!ということです。まるでドラマを見ているようなストーリーです。