テレビが政治を腐敗・劣化させたことは周知の事実!
だが、しかし、だからこそ
情報伝達手段であるマスメディア=テレビをどう使うか!
橋下氏に相次ぐTVオファー 年末特番ある 全国ネット有力
スポニチアネックス 2015年11月23日09時00分
http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/sponichi/entertainment/sponichi-spngoo-20151123-0080
十二人の怒れる男
「民主主義の素晴らしさ」への限りない賛歌
http://www.geocities.co.jp/Playtown/1541/angry-men.html
「十二人の怒れる男」たちの質問力
http://www.mhigano.com/blog/2011/09/12-da52.html
その場しのぎの男たち
http://www.tim.hi-ho.ne.jp/yokosuka-enkan/sakuhin/2004/sonoba/sonoba.htm
三谷幸喜×劇団東京ヴォードヴィルショー
「その場しのぎの男たち」
http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/104325/index.php?m=01
後の先の逆突きを極めた空手家
全国防具付空手道選手権大会
https://www.youtube.com/watch?v=Jk0DqFPAwN0
先々の先と後の先についての一考察
三橋秀三(中京大学)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/budo1968/8/1/8_1/_pdf
白鵬「後の先」で勝つ!双葉山“妙技”を出稽古で連日敢行
http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2015/07/08/kiji/K20150708010689540.html
大阪人はなぜ「維新」に惹かれるか~
橋下徹の東京コンプレックス戦略
大阪府知事・大阪市長のダブル選挙は11月22日投開票され、維新公認の松井一郎氏(51)と吉村洋文氏(40)がそれぞれ当選を果たしました。いっぽうで国政政党「おおさか維新の会」への期待感には、大阪とそれ以外の地域で大きな開きがあるようです。なぜ橋下徹氏の「維新」は大阪で“だけ”支持されるのか?藤井聡・京都大学大学院教授が仮説的論考を試みます。
大阪人の潜在的願望に訴えかける、橋下徹の強烈なファンタジー
橋下さんの維新って、大阪ではそんなに強いんですか?
先日、東京である会合があったのですが、その席で、大阪の世論調査の報道が流れてきました。
橋下徹大阪市長に近い大阪選出の議員らが発足させる「おおさか維新の会」に「期待する」は28%で「期待しない」が56%に上った。
橋下新党に「期待」28% 関西圏では50% – 日本経済新聞(2015/10/25)
どうやら、大阪市長選では、維新の吉村候補が、(元)自民党の柳本候補に10ポイント以上の差をつけてリードしており、大阪府知事選では、維新の松井候補が、(元)自民党の栗原候補にさらにより抜本的な差をつけて優勢にたっている、という報道でした(新聞では数字は出さないのですが、専門家が見れば、「リード」「優勢」という表現から、おおよそどの程度の差がついているかが分かるようになっているのです)。
新聞記者たちの感覚では、これだけ差がつく結果が出れば、府知事選についてはもう松井さんの勝利が確定、市長選についても吉村さんがおそらくは勝利するのでは、という憶測が十分に成立する…というような種類の報道でした。
この報道が会食の席上で話題に上ったとき、多くの方が、
「えっ!?橋下さんの維新って、大阪ではまだそんなに強いんですか!?」
という驚きの反応でした。
大阪では2人に1人が「おおさか維新」に期待している
つまり「橋下維新」は、もう東京では(大阪以外では)、完全に「賞味期限切れ」なのでは…という雰囲気が、濃密に流れているのです。特に、昨今では維新の「分裂騒動」が何度も報道されていましたから、多くの方々が維新に対して「うんざり」する感覚をお持ちになっているようです。
最近の世論調査(全国)において、橋下氏が立ち上げた「おおさか維新の会」に「期待しない」という声が、「期待する」という声を圧倒している事実は、大阪以外でいかに橋下維新が賞味期限切れの状況にあるかを指し示しています(「期待する」は28%で「期待しない」が56%)。
ただし…大阪・関西では、2人に1人が「おおさか維新の会」に期待しており、期待しない声(42%)を大きく上回っているのです。
そして、そうした「期待」を反映するかのように、いま維新候補が、先に紹介したように大阪府知事選、市長選の双方で、非維新候補をリードしている、という次第です。
こうした状況に、東京、全国の方々が「驚き」を見せるのですが、その「驚き」の根底には、よくよく聞くと次のような印象があるようでした。
「なぜ大阪の人って『振り込み詐欺』みたいなものに、何度も引っかかっちゃうの?」
実際、こういうセリフで当方に質問してこられた方は、一人や二人ではありません(!)。
つまり、多くの関西外の方は、都構想の住民投票で「これがラスト!」って言ってたのにいきなり「再挑戦」って言っているし、「負ければ引退!」って言ってたのにやっぱり政界復帰する様子だし――そんなことを考えれば、橋下氏が「うそつき」であることなぞ誰の目から見ても明らかなのに、なんでまだそんな「うそつきの橋下さん」を大阪の人たちの多くがいまだに支持しているのか、「ワケ分かんなーい」というご様子なのです。
橋下徹氏は計算づくの「大阪限定」プロパガンダを仕掛けている
しかし、これには簡単な理由があります。
「ブラック・デモクラシー」論、すなわち「全体主義」論を踏まえれば、多くの大阪の人たちが橋下さんたちを支持する一方で、東京の方々が支持しないことの、大変にシンプルな理由が見えてきます。
ブラック・デモクラシー=全体主義では、ポピュリスト(人気を得るためなら何でもする者)のデマゴギスト(ウソツキ)は、彼自身の党利党略を実現するために、人々の潜在意識に働きかける「政策」を、政策的合理性を度外視しつつ「開発」して、世論的支持を得ることを目指します(同時に、その政策を批判する人々に、徹底的な封殺圧力、弾圧をしかけます)。
もしも、橋下氏がそうしたブラック・デモクラシーを展開するポピュリストのデマゴギストであるとするなら、彼がいま目指しているのは「大阪での支持」であって、「大阪外の支持」ではない、ということになります。
なぜなら、現時点で必要なのは、大阪ダブル選挙での勝利であり、それ以上でも以下でもないからです。橋下氏がポピュリストであるのなら、いまは東京での人気など度外視して、大阪での人気だけを得るようなプロパガンダを仕掛けるのが最善の策となります。
それはちょうど、詐欺師は狙い定めた相手だけに「信用」してもらえればそれで事足りるのであって、それ以外のすべての人から「胡散臭い」と思われようが、知ったことではない、ということと同じなのです。
次ページから、「橋下氏はブラック・デモクラシーにおけるポピュリストのデマゴギストである」という仮説が真であるという前提で、彼の政策提案を解説したいと思います。
仮説的論考~大阪人の劣等感を巧妙に刺激する「橋下維新」のファンタジー
そもそも、「大阪都構想」も「おおさか維新の会」も、大阪の人々の潜在的願望に訴えかける、強烈なイメージを持つものです。
「大阪都構想」という言葉の響きは何やら、大阪を豊かにするというイメージを持ちます。何よりそれは「東京に匹敵するようなもの」というイメージを持ち、大阪の人々が潜在意識の内に抱えている「東京コンプレックス」を強烈に刺激します。
しかも、「おおさか維新の会」という政党の言葉も、そんな大阪を豊かにする政策を中央の政治の力で実現する、というイメージを強烈に換気します。
そしてそれは、「どうしても大阪は中央に進出できない」というコンプレックスに対して再び、強烈に働きかけるものです。
(なお、個人的な印象を申し述べるなら、これらのコンプレックスは、「大阪の舎弟」ともしばしば言われる奈良県民の当方には、痛いほど分かるものなのです)
したがって、「大阪都構想」や「おおさか維新の会」というものは、専門的知識に基づいて考案されたものではなく、大阪の人々の潜在意識を読み、その潜在意識が求めるものとは何かを考えながら作り出されたファンタジーなのです。
人気TV番組を作る手法と同じ
それはちょうど、人気TV番組を作るときの手法と同一です。それは、視聴者が求めるものを、優秀なスタッフたちが企画会議で一生懸命考え、視聴者が求める番組を作りあげる、というプロセスです。
そしてこの現象は、ナチスドイツで「ドイツ人はアーリア人の末裔で、もっとも優れた民族である」というデマが全体主義の中で繰り返し宣伝され、人気を博していった現象と同じです。そんな「理屈」は、公正な論理に基づいて提案されているのではなく、「どうすれば人気が出るか?」という意志の下で作りあげられたファンタジーに過ぎないわけです。
一方で、「大阪都構想」や「おおさか維新の会」というファンタジーは、あくまでも大阪人の潜在意識、とりわけその東京コンプレックス、中央コンプレックスに働きかけることを前提として作りあげられたものでありますから、それが人気を博すのは、「大阪だけ」ということになります。
とりわけ、東京コンプレックス、中央コンプレックスを持たない当の東京のひとびと、中央の人々には、「大阪都構想」や「おおさか維新の会」の魅力なんて、皆目見当がつかない、ということになるわけです。
これこそが、いま橋下維新勢力が大阪で「だけ」人気があり、全国的な人気には至っていない、根源的理由なのです。
次のファンタジーは、東京を含む全国をターゲットに「開発」される
以上はあくまでも、「橋下氏がブラック・デモクラシー=全体主義におけるポピュリストのデマゴギストである」という仮説に基づいて申し述べた仮説的論説に過ぎませんが、こう考えれば、現在の世論状況、特に東京と大阪の世論状況の大きな格差が論理整合的に説明できることは、十分にご理解いただけるものと思います。
では、もしもこの仮説が正しいとしたら…これは、東京を含む全国の人々にとっても、今回の大阪維新現象は、極めて重大な意味を持つことになる、という結論が導き出されます。
今、(仮説的)「ポピュリストのデマゴギストである橋下氏」は大阪の世論をターゲットにして「大阪都構想」「おおさか維新の会」というファンタジーを「開発」し、提示しているわけですが、一旦、ダブル選挙が終われば、(仮説的)「ポピュリストのデマゴギストである橋下氏」は今度は、全国の人々、とりわけ最も大量に存在する東京の人々をターゲットにした「ファンタジー」を開発し、それに基づいたプロパガンダを徹底的に展開することになるはずです。
そうなったとき、東京を含む全国の人々はコロリと「騙される」ことになる見込みは濃厚にあるのです。
瞬く間に全国的人気を奪う可能性も
そもそも、2012年の12月の世論調査では、「維新」勢力は当時の政権与党であった民主党を抜き去って、自民党に次ぐ第2の支持率を獲得していたではないですか!
しかも、今年の5月の住民投票で都構想が否決された日の夜の記者会見では、(仮説的)「ポピュリストのデマゴギストである橋下氏」は、「さわやかさ」を超絶に演出して見せ、その演出に沿って多くの論者が彼を「さわやか」と言い「潔い」と称し、極めて高い評価を得ていたのではないですか!
つまりもしも橋下氏が、TVで人気タレントを演じていた時の才能を遺憾なく発揮しつつ(政策の合理性を度外視しつつ)、「ポピュリストのデマゴギスト」として、東京世論狙い、全国世論狙いの政策イメージを様々に開発し、世論に提示し続ければ、瞬く間に全国的人気を奪っていく可能性は十二分に考えられるのです。
繰り返しますが、「ポピュリストのデマゴギスト」(=人気を得るためなら何でもするウソツキ)は、政策の合理性を全て度外視し、ウソでも詭弁でもデマでも何でもいいので、とにかく「お茶の間で人気」がでるファンタジーを開発し、世論に提示し、人気を獲得していこうとするのです。
そうであるのなら、いま、大阪で起こっている維新現象は、近い将来、必ず、東京で生ずることとなるであろう――ということは火を見るよりも明らかなのです。(引用ここまで)