(先日、ある人から「ホウノキだということで購入して庭に植えたのだが、大きくなってきたら、どうもホウノキではないように思えてしょうがない。一体何なのか見てほしいい」という話しがあった。そこで、出かけて撮ったのが今日の写真である。
これはモクレン科モクレン属の落葉高木の「ウケザキオオヤマレンゲ(受咲大山蓮華)」であるらしい。そして、「オオヤマレンゲ」と「ホオノキ」の「自然交配種(雑種)」である。確かに、「ホウノキ」と「オオヤマレンゲ」の両方の特性を持っているが、どちらかというと「ホウノキ」のDNAが濃い。モクレン科モクレン属の樹木は非常に「原始性」に近い樹木なので「自然交配」が起こりやすいのである。
私は植物学をおさめた学者ではない。ただ単に「岩木山が好きで、そこに咲く花が好きで調べているという登山者で花や樹木の愛好者」に過ぎない。
だから、そこには推論や仮説的な発想が多々あるだろうし、間違いもあるだろう。そのことは許して欲しいものである。)
◇◇「ウケザキオオヤマレンゲ(受咲大山蓮華)、ホウノキ、オオヤマレンゲ」などのこと ◇◇
「ウケザキオオヤマレンゲ」という「名前の由来」は、「花が上を向いて咲くこと、(受け皿のように)」によるらしい。このように花全体が上を向くので、「花弁に雨水が溜まっていること」もあるという。
「ウケザキオオヤマレンゲ」は花と葉の大きさの比率が、「ホオノキ」とはまったく違う。特に雌しべと花弁の大きさの比率が違う。「ウケザキオオヤマレンゲ」は花弁の高さより雌しべが飛び出たように見える。「ホオノキ」は雌しべに対して花弁のサイズが大きいので、雌しべはすっぽり白い花弁に包まれている。
もう一つの大きな特徴は、「しべ(蘂)」の色である。「ウケザキオオヤマレンゲ」の雌しべは緑色で、雄しべは全体が赤っぽい。「ホオノキ」の雌しべは茶色で、雄しべは白と赤のツートンカラーである。
ただし、「ウケザキオオヤマレンゲ」には個体によっては、雌しべが「茶色」がかったものもある。しかし、「ホオノキ」に比べると色が薄い。
「ホオノキ」は大きく開花したとき、花弁が平たく広がるが、「ウケザキオオヤマレンゲ」は受咲きで平たくは開かない。しかし、開花時期は「ホウノキ」と同じような時期となる。
「ウケザキオオヤマレンゲ」の葉は、親種の「オオヤマレンゲ」よりも全体が大きく波打つ感じが強い。
「ホオノキ」の葉は30から40cmと平均的だが、「ウケザキオオヤマレンゲ」の葉は「ホオノキ」ほど大きくなく20cmくらいである。
さらなる違いは「花」の香りである。「ホウノキ」は、どこなく丸みを帯びた美味そうな香りであるのに、「ウケザキオオヤマレンゲ」は「クスノキ科」の「オオバクロモジ(大葉黒文字)」の折った枝から発せられるような、鼻孔を軽く刺激するような香りが混じる。
「ウケザキオオヤマレンゲ」は、通常、「ホウノキ」よりも低木で、公園の植栽などにマッチする。または、庭木にもなり得る。純粋に鑑賞向けの樹木と考えていいだろう。
「ホウノキ(ホオガシワ)」は里山に多く、人が生活している近くに生えるので、高足駄や版木の「材」として使われたり、滅菌作用もあるし香りもいいので「朴葉」として食べ物を包んだりするなど「生活感」のある素晴らしい木だ。
しかし、高木となり、高い所に花を咲かせるので、花の鑑賞には適さない。高さは15~25mにもなる。
葉は大形で有柄の長楕円形。初夏に直径15cmほどのクリーム色で香気の強い9弁の花をつける。樹皮は漢方生薬となり、「健胃・整腸・去痰・利尿」薬となる。
「ホウノキ」は「ブナの森に静かに鎮座する白き衣笠の精霊、森の蓮花(れんげ)」だ。
…森はもうすっかり、夏緑である。濃い緑は暖かい暗さを運ぶ。その暗緑の中で白い斑点が点滅する。それはブナの森に咲く古代蓮、静かに鎮座する白い衣笠の精霊、朴の花だ。
朴の木は最も原始的な花の形を残している第三紀植物群の生き残り、ブナの森に咲く古代蓮だ。芳香があり、「多才」なクリーム色の大花を咲かせる樹木だ。
しかも、古くから人々に親しまれてきた樹木で、「万葉集巻十九」には「わが背子が捧げて持てるほほがしはあたかも似るか青き蓋(きぬがさ)」という僧恵行の歌もある。
花名の由来は、「ホオ」は「ほほむ(含む)」の意味で、冬芽や花芽が包まれた形によるとされている。…
その帰りに、弘前植物園に寄った。幸い「オオヤマレンゲ(大山蓮華)」がまだ咲いていた。もともと、これは奈良県大峰山系の一部だけでしか自生しないというものだ。当然本州北部には自生していない。別名を「ミヤマレンゲ(深山蓮華)」といい、雄しべは淡紅色である。その地方では「天女の舞」とも称される真っ白な花びらと香りのいい美しい花である。
◇◇ 沢には水生生物がいた(2)◇◇
「弥生跡地」にはもう1本の沢がある。これは、まさに「幸い」にも、ある程度本来の「沢」の様相を保っている。だが、そこにまったく「非自然な人工的な異物」がないというわけではない。また、まったく「人工的な改変」が加えられた形跡がないというわけではない。
「非自然な人工的な異物」というのは「通水管」である。これは太いもので直径が30cmを越えるし、細いものでは直径が10cm程度のものである。それは「蛇腹」の形状をしていて、まるで沢に巨大な蛇が 寝そべっているという風情なのである。
この「蛇腹」状の通水管からは水が流れ出していて、この沢に流入しているのだった。表土を剥ぎ取って「整地した」ために、保水力がなくなってしまったその場所の「雨水」の流路、またはその場所が扇状地形であるために湧水が多く、それを流すための「流路」として、この「蛇腹状の通水管」を埋設したのであろう。それが沢付近に姿を現して「大蛇」群を形成しているのであった。
もう1つの「人工的な改変」は、「沢」は掘り起こされてはいないが、「沢縁」が非常に浅くなっていることである。これは深い「沢縁」の斜面を重機で均した跡である。
3月の調査では確認出来なかったが、この均された「沢縁」にはチシマザサが回復していたことには驚いた。また、その上部にハンノキなどが生い茂り、この沢沿いだけは順調に摂理に沿ったかたちでの「遷移」が進んでいた。(明日に続く)
これはモクレン科モクレン属の落葉高木の「ウケザキオオヤマレンゲ(受咲大山蓮華)」であるらしい。そして、「オオヤマレンゲ」と「ホオノキ」の「自然交配種(雑種)」である。確かに、「ホウノキ」と「オオヤマレンゲ」の両方の特性を持っているが、どちらかというと「ホウノキ」のDNAが濃い。モクレン科モクレン属の樹木は非常に「原始性」に近い樹木なので「自然交配」が起こりやすいのである。
私は植物学をおさめた学者ではない。ただ単に「岩木山が好きで、そこに咲く花が好きで調べているという登山者で花や樹木の愛好者」に過ぎない。
だから、そこには推論や仮説的な発想が多々あるだろうし、間違いもあるだろう。そのことは許して欲しいものである。)
◇◇「ウケザキオオヤマレンゲ(受咲大山蓮華)、ホウノキ、オオヤマレンゲ」などのこと ◇◇
「ウケザキオオヤマレンゲ」という「名前の由来」は、「花が上を向いて咲くこと、(受け皿のように)」によるらしい。このように花全体が上を向くので、「花弁に雨水が溜まっていること」もあるという。
「ウケザキオオヤマレンゲ」は花と葉の大きさの比率が、「ホオノキ」とはまったく違う。特に雌しべと花弁の大きさの比率が違う。「ウケザキオオヤマレンゲ」は花弁の高さより雌しべが飛び出たように見える。「ホオノキ」は雌しべに対して花弁のサイズが大きいので、雌しべはすっぽり白い花弁に包まれている。
もう一つの大きな特徴は、「しべ(蘂)」の色である。「ウケザキオオヤマレンゲ」の雌しべは緑色で、雄しべは全体が赤っぽい。「ホオノキ」の雌しべは茶色で、雄しべは白と赤のツートンカラーである。
ただし、「ウケザキオオヤマレンゲ」には個体によっては、雌しべが「茶色」がかったものもある。しかし、「ホオノキ」に比べると色が薄い。
「ホオノキ」は大きく開花したとき、花弁が平たく広がるが、「ウケザキオオヤマレンゲ」は受咲きで平たくは開かない。しかし、開花時期は「ホウノキ」と同じような時期となる。
「ウケザキオオヤマレンゲ」の葉は、親種の「オオヤマレンゲ」よりも全体が大きく波打つ感じが強い。
「ホオノキ」の葉は30から40cmと平均的だが、「ウケザキオオヤマレンゲ」の葉は「ホオノキ」ほど大きくなく20cmくらいである。
さらなる違いは「花」の香りである。「ホウノキ」は、どこなく丸みを帯びた美味そうな香りであるのに、「ウケザキオオヤマレンゲ」は「クスノキ科」の「オオバクロモジ(大葉黒文字)」の折った枝から発せられるような、鼻孔を軽く刺激するような香りが混じる。
「ウケザキオオヤマレンゲ」は、通常、「ホウノキ」よりも低木で、公園の植栽などにマッチする。または、庭木にもなり得る。純粋に鑑賞向けの樹木と考えていいだろう。
「ホウノキ(ホオガシワ)」は里山に多く、人が生活している近くに生えるので、高足駄や版木の「材」として使われたり、滅菌作用もあるし香りもいいので「朴葉」として食べ物を包んだりするなど「生活感」のある素晴らしい木だ。
しかし、高木となり、高い所に花を咲かせるので、花の鑑賞には適さない。高さは15~25mにもなる。
葉は大形で有柄の長楕円形。初夏に直径15cmほどのクリーム色で香気の強い9弁の花をつける。樹皮は漢方生薬となり、「健胃・整腸・去痰・利尿」薬となる。
「ホウノキ」は「ブナの森に静かに鎮座する白き衣笠の精霊、森の蓮花(れんげ)」だ。
…森はもうすっかり、夏緑である。濃い緑は暖かい暗さを運ぶ。その暗緑の中で白い斑点が点滅する。それはブナの森に咲く古代蓮、静かに鎮座する白い衣笠の精霊、朴の花だ。
朴の木は最も原始的な花の形を残している第三紀植物群の生き残り、ブナの森に咲く古代蓮だ。芳香があり、「多才」なクリーム色の大花を咲かせる樹木だ。
しかも、古くから人々に親しまれてきた樹木で、「万葉集巻十九」には「わが背子が捧げて持てるほほがしはあたかも似るか青き蓋(きぬがさ)」という僧恵行の歌もある。
花名の由来は、「ホオ」は「ほほむ(含む)」の意味で、冬芽や花芽が包まれた形によるとされている。…
その帰りに、弘前植物園に寄った。幸い「オオヤマレンゲ(大山蓮華)」がまだ咲いていた。もともと、これは奈良県大峰山系の一部だけでしか自生しないというものだ。当然本州北部には自生していない。別名を「ミヤマレンゲ(深山蓮華)」といい、雄しべは淡紅色である。その地方では「天女の舞」とも称される真っ白な花びらと香りのいい美しい花である。
◇◇ 沢には水生生物がいた(2)◇◇
「弥生跡地」にはもう1本の沢がある。これは、まさに「幸い」にも、ある程度本来の「沢」の様相を保っている。だが、そこにまったく「非自然な人工的な異物」がないというわけではない。また、まったく「人工的な改変」が加えられた形跡がないというわけではない。
「非自然な人工的な異物」というのは「通水管」である。これは太いもので直径が30cmを越えるし、細いものでは直径が10cm程度のものである。それは「蛇腹」の形状をしていて、まるで沢に巨大な蛇が 寝そべっているという風情なのである。
この「蛇腹」状の通水管からは水が流れ出していて、この沢に流入しているのだった。表土を剥ぎ取って「整地した」ために、保水力がなくなってしまったその場所の「雨水」の流路、またはその場所が扇状地形であるために湧水が多く、それを流すための「流路」として、この「蛇腹状の通水管」を埋設したのであろう。それが沢付近に姿を現して「大蛇」群を形成しているのであった。
もう1つの「人工的な改変」は、「沢」は掘り起こされてはいないが、「沢縁」が非常に浅くなっていることである。これは深い「沢縁」の斜面を重機で均した跡である。
3月の調査では確認出来なかったが、この均された「沢縁」にはチシマザサが回復していたことには驚いた。また、その上部にハンノキなどが生い茂り、この沢沿いだけは順調に摂理に沿ったかたちでの「遷移」が進んでいた。(明日に続く)