あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

外国に住むということ

2009-05-20 02:02:02 | ローマの平日
サンロレンツォ地区のモザイク教室へ通うのに、私はいつもテルミニ駅から71番というティブルティーナ駅行きのバスに乗ります。(歩けない距離でもないのですが・・・。)ということは帰りも反対方向にテルミニ駅に向かって71番に乗るわけです。どうもこのティブルティーナ駅方面は出稼ぎ外国人の人々が多いようで、いつもイタリア人ではないだろうなという乗客が大勢乗っています。

今日は教室の帰りに停留所に着くなりバスが到着。ラッキーラッキーと乗り込むと、中は結構混んでおりました。ローマのバスは道が悪いせいかなり揺れるので、転ばないように(お年寄りみたいですが、本当に揺れるのです)私はまず自分の場所を確保します。と、すぐに後方から怒鳴り声のような声が・・・喧嘩かな?それともよくある喧嘩に聞こえてしまう大声の人々の会話かな?周囲もざわざわしてきて、どうやら喧嘩の方らしい。対象者はどうもお年寄りの女性と若い黒人男性。お年寄りの方は私の所からは見えず、国籍などわかりませんでしたが、どちらもイタリア語で言い合っています。こういうヒステリックな喧嘩はローマではよく見かけるのですが、いつ居合わせても嫌なものです。

私のすぐ近くの人が「相手はお年寄りなのだからいい加減にしないさいよ。あなたのマンマがそんな風にされたらと考えてみなさいよ!」と大声を出しました。すぐ後ろの男性が「全く黒人は・・・」と一言。そして私の前にいた女性が「黒人は関係ないでしょ。そういう発言は最低!」と攻撃を開始。バスには他にも黒人の人々がいて、人種差別の言葉を発した男性はここでは自分の立場が弱いと判断したのか黙ってしまいましたが、女性の方は怖い顔で批判を続けていました。(彼女の彼らしき人は黙りこくったまま。)黒人とお年寄りはそれでも言い合いを続け、周囲もざわざわ、ついにバスを停車させて運転手がやってきて、一瞬はおさまりましたが、運転手が運転を再開するとまた始まっていました。

人種差別を非難した若い女性の前には薄黒い感じの肌の外国人がいて、女性はその人と話を始めました。その外国人は「イタリア人だって50年前は貧しくて外国に出稼ぎに言って、差別を受けてきているのに、一旦豊かになったら、我々のように働きに来ている外国人に対して同じ扱いをする。」と言うと、女性は「全く賛成。私の父だって、スイスに働きにいってたわ。」(彼女は若いので時代が違うような・・・。)「ところであなたのお国は?」「バングラディッシュ。」「ああ遠くから来ているのね。」「自分だけでなくて、遠くから働きにきている人はたくさんいるよ。中国人なんかかなり多いよね」と隣の私に同意を求めたような一瞬の視線。そこには「私は中国人ではありません!」と言いたいけれど、声が出ず黙っている私がいました。メイド・イン・チャイナでなくて、私はメイド・イン・ジャパンであることで、品質は上だぞとでも言いたいような、これも人種差別的思考ですよね。でも正直な感情ではあります。あしからず。

中国人に対して良い感情を持っていない人がいる事実は確かで、それを考えると時に人からどういう目で見られているのかという恐怖に襲われるときがあります。この場に自分は場違いなのかとか、変な人に思われていないかとか、泥棒をするんじゃないかと心配されてないかなど、そんなことが頭に浮かんだりするわけです。

日本国籍は決してマイナスではありません。むしろまだ日本ブーム的なところはあるように思うし、スーパーでもお寿司が売られ、地震の後では日本の技術が褒め称えられて報道されていたし、先日もお弁当におにぎりを持って言っただけで、「お米のサンドイッチ」と凄いもののように騒がれたり、でも外見だけでは絶対的に滞在人口の多い中国人と思われる可能性が高いわけですよね。それにバス71番に乗っていたら、それだけで日本人ではなくなってしまう。

外国に住むということはこういうこととだと実感する一幕でした。


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