あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

キプロスの旅(4)~首都ニコシアで②~ 入国スタンプ事件

2014-02-22 23:04:53 | 旅 ~イタリア国外~
毎度の如く、キプロスの旅行記も途中で止まったままでした。薄れた記憶をたどってもう少し続けます。

首都ニコシアに行けば、そこから近郊の観光地行きのツアーバスか何かが出ているものと思いこんで、ニコシア3泊を予定してきた私たち。早速期待を裏切られる結果となりました。ホテルのレセプションで聞くと、「うちのホテルはどことも提携していないので・・・」との回答。「では、どこか旅行代理店とかないですか」と聞くと、ニコシアからのツアーはないという。キプロスには世界遺産が3か所あって、私の今回の目的のパフォスのモザイクのほかに、トロードス地方の壁画教会群、ヒロキティアの古代の住居跡というのがあります。世界遺産なのだから簡単にアクセスできるものと思ったら、どうやらそうでもないらしい。

取りあえず街中の観光案内所に確認することにしました。前日のようにホテルの無料送迎サービスを利用して旧市街へ。お土産屋や観光客向けのレストランの集中する一角に観光案内所はありました。なんだか横柄な感じのおばさんがいて、ツアーのことを質問したり、トロードス地方へ行く方法を尋ねたりしたものの、なんだかあまり情報を持っていないようで、しかもそのことを隠そうとしているような態度が気になりました。トロードス地方へはバスが出ていて、その時刻表を見せてくれたのですが、行先はどうもその地方の中の大きな町に着くというだけで、世界遺産の教会を見て回ることとは全然関係ない情報だということがわかりました。なんとも役立たずな案内所のおばさんです。観光客のために働いているのに、どうしてそういうことに気が付かないのでしょうかね?いつもそのおばさんなのか、そこのところはわかりませんが、「使えない」案内所という印象でした。


開店準備の朝のお土産屋さん街

やはりレンタカー要ですね。ここの観光は。または、パフォスからならば、観光ツアーがあります。つまりニコシアは首都というだけで、観光の中心はパフォスなのでした。ニコシア3泊・・・仕方がない。ホテルは快適だし、たまにはのんびり旅行もいいかも。

気を取り直し、昨夜は真っ暗ですぐに戻ってきてまったので、じゃあ、もう一度トルコ側(北キプロス)に行ってみるかということになりました。検問所も昨日確認しているし、手続きも経験済みだし、昨日のドキドキ感無く、検問所に向かったのですが・・・


検問所の上にはためくトルコの国旗

昨夜とは打って変わって、観光客などグリーンラインを超える人が大勢いました。なので検問所ではちょっとした列ができていたのですが、私が並んでいた列の横の窓口が先に列がなくなり、何も考えずにそちらの方にパスポートを出しました。後で思えば、なんで昨日もらったスタンプの押してある紙も一緒につけて出さなかったのか大後悔。おまけにダニィも後になってから、何かあの検問官は胡散臭いと直感で感じたというのですが、それならその時に言ってくれればいいのに。

前の記事にも書きましたが、北キプロス側に入るときには、パスポートではなく、そこに用意されている別紙に入国スタンプを押してもらうことという注意事項があるのですが、昨夜の経験から、こちらが何も言わなくても、検問官の方でさっさと別紙を用意してくれるものと思い込んでいました。ところが、パスポートをペラペラめくっていたかと思うと、がちゃん、嫌な音が・・・。そう、パスポートにスタンプを押されてしまったのです。有り得ない、有り得ない、まず99%の外国人はパスポートに押されることを望んでいないのだから、嫌がらせとしか考えられない。私が青くなって、何か言おうとしたのと同時に、ダニィも検問官に怒鳴りかかってました。相手は、何を言われているんだかわかりませ~んっていう態度でしたが、隣のもう少し偉そうな人がやってきたので、ダニィがその人に苦情を言うと、ノープロブレム、ノープロブレムと言うのみです。ノープロブレムじゃないよとつっかかると、ノープロブレム、アンダースタンド?と今度は威嚇するような顔になって(逆切れ?)言ってきたのです。相手は警官なわけだし、北側で問題を起こすと、助けが呼べないというのも書いてあったので、このまま通路を逆行してギリシャ側に戻るか(また出国手続きをして戻ると、ギリシャの検問所の方でもしかしたら入れてもらえないかもという心配)、でも逆行して捕まえられたらどうしようというものあり、その場でおろおろしていると、先ほどの検問官たちがにやにや笑ってこっちを見ているのです。不安と悔しさで涙が出そうでした。ダニィの方はちゃんと別紙にスタンプを押してもらえたのですが、私の方がもうそこで観光するような気分ではなく・・・。万一、ギリシャ側(南キプロス)に戻れなくなって、ここに残されて日が暮れたら・・・昨夜の人っ子一人いないゴーストタウンのような怖い状景が頭に戻ってきます。インターネット情報の中には、ギリシャ側に戻れないと、トルコに渡って、そこからイタリアに戻るしかないような話もありました。

ダニィは落ち着いていて、折角来たのにトルコ側の観光ができないのをちょっと残念に感じていたようでしたが、私がそれどころでない気分だったので、取りあえずギリシャ側に戻ることにしました。再度出国窓口に行き、仕方なくパスポートの入国スタンプの横にさらに出国スタンプも押され、ギリシャ側の入国ゲートに進みます。出るときは、何もチェック無しでしたが、入るときは検問があります。ダニィが先にパスポートを出し、平静を装い私もパスポートを渡しました。日本のパスポートが幸いしたのかわかりませんが、写真のページをちらっと見ただけで返されました。心配損でしたが、やれやれ、ネットで脅かされたようなことは起きず、無事にレストランの並ぶにぎやかな繁華街に戻りました。たった数メートルの距離なのに、まるで別世界です。武力で占領しようというような国には行くもんじゃない。

ダニィがイタリア人の体験談の中に、修正液でスタンプを消したという話を読んだというので、「さすがイタリア人だね、やることが大胆。でも修正液の跡が残ってたら、後で問題にならないのかな」と言ったら、「違う、違う、ギリシャ側の検問官が、入国を許可するために修正液で北キプロスのスタンプを消してなかったことにしたってこと」と。私が読んだ中にも、スタンプを押されて困ると言った人(これは日本人の話)が、上からCancelledというスタンプを押されたというのもあったけれど、有り得えな~い!!!

その後もパスポートに傷がついたことで、ずっと嫌な気分で、今度は帰りに出国するときに何か言われるのかなとか、新たな心配も出てきます。ネットの情報収集で私なりに理解したことは、スタンプを押されてしまった日本人は結構いるようだということ、今のパスポートを使っている限りは、ギリシャと南キプロスには今後入国できない可能性があるということ、でも他の国では問題にされないだろうということ。何も悪いことをしていないのに、ギリシャに入国許可されないというのは理不尽ではありますが、パスポートの有効期間にギリシャに行く予定があるわけでもなく、まあ希少価値のスタンプを手に入れたと思うことにしました。パスポートは2020年まで有効なので、後6年・・・ギリシャに行けるようになる頃は、今以上にりっぱなおばさん年齢だと思うと、少々悲しくなりました。