あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

ビスケットの恐怖

2012-06-27 10:20:38 | おもしろいイタリア語
今サッカーの欧州選手権(っていうんですよね?)をやっていますが、予選のときにイタリア人たちが恐れたのがこれ、"Biscotto"、つまり日本語で「ビスケット」。イタリアのスーパーへ行くと、ビスケットはパスタと同じぐらいにたくさんの種類があって、いかにイタリア人の食生活にとってビスケットが大事かってことがわかりますが、サッカーのビスケットは恐ろしいものなのです。例えば、「ビスケットの悪夢再来」というこの記事

イタリア人たちが毎朝食べる大好きなビスケットが恐怖になるというのは実はこういうことなのです。今回予選ではイタリアはスペイン、クロアチア、アイルランドとグループを同じくしました。強豪スペインとはやれやれ引き分け、まずまずのスタートだったとは思いますが・・・。予選通過国が決定する最後の試合、イタリア対アイルランド戦、そしてスペイン対クロアチア戦が残っていました。私はこの選手権のしくみがよくわかるわけではありませんが、要はスペインとクロアチアが2-2(それ以上の点でも)で引き分ければ、イタリアはどんなに頑張っても、10-0で勝っても、本選行きはなくなるという話でした。つまりスペインとクロアチアが一緒に本選に行こうと両チーム間で取り決めて、2-2以上の引き分けに持っていくような試合をすれば、この二国はいとも簡単に本選行きを手に入れることができたわけです。もちろんスポーツマンシップには反しますけれど。つまり二つのチームが自分達の有利になるように取り決めて試合を行うことを「ビスケット」と言うのです。

実は以前にもイタリアは今回と同じ様な状況になったことがありました。2004年の欧州選手権のとき、スイスとデンマークによる「ビスケット」試合でイタリアは苦い思いをしたのです。スイスとデンマークなんてちょっと驚きました。スペイン、クロアチアよりも「スポーツマンシップ」を尊重しそうなイメージの国なのに。今回もその苦い経験から、試合前からイタリアは沈みムードでしたが、スペインとクロアチアは正々堂々とスポーツマンシップにのっとって戦ってくれました。

ところで問題はなぜ「ビスケット」なのか。気になって調べてみたら(イタリア人に聞いてもわからない人がほとんど)、競馬で馬のドーピングにビスケットを使うことから来ているようです。なんとも単純な理由でした。


トレンディ地区ガルバテッラ

2012-06-15 00:53:06 | ローマの平日
私の住む地区ガルバテッラはローマの観光の中心街からちょっと出たあたりにあります。地下鉄の隣の駅はピラミデでそこまでは大抵の観光地図にも載っているでしょう。ただ反対の隣の駅はローマ四大教会の一つサン・パオロ教会があるので、広い意味ではまだ観光地区の中でもあるでしょう。この地区には1920年ごろから公営住宅の建設のプロジェクトが始まり、実は変わった建築スタイルの家々が立ち並ぶことで、建築に興味のある人びとがわざわざやってくる所でもあります。そのプロジェクトは当初イギリスのガーデンシティをモデルにして始められ、そのため低層でお庭のある、まるで田舎にいるようなのんびりとした雰囲気のステキなお家が今も残っています。ただ公営住宅のプロジェクトでもあり、高級感というのとは違います。そんなわけで、庶民地区のイメージの強いガルバテッラでしたが、最近どうもイメージがかわりつつあるようです。

とはいえ、引っ越してきた頃、私はとてもがっかりしていました。駅の周りはゴミだらけ、落書きだらけ、なんだか躾のない若者がぶらぶらしている、住人のゴミだしの仕方も酷いし、素敵なお店というものは全くなく、道はペットの落し物だらけ・・・。住人は自分の町をきれいにしようとする気がないのか、といつも怒っていました。昔からのローマっ子たちが今も住む地域とあって、ローマ弁で話す人々、サッカーのローマの試合があると、建物が揺れるぐらいに周囲がざわめく・・・とまあ本当に庶民の町であります。この変わった建築の家々もなんだか夜はお化け屋敷のようにも見えていました。






ところがこの家々は、都会での夢の庭付き一軒家もあるわけです。今、価格も上昇、手放す人もなかなかいないので、人気が上がり続けているとのこと。(ちなみに我が家は普通の建物の3階。)私の通うモザイク教室の地区は、大使館などもあるようなちょっと高級住宅街の近くにあって、来られるマダムたちも豊かな方が多かったりします。口が動かないと手も動かないイタリア人たちですから、作業中もいつもおしゃべりをしています。(私は口を動かすと作業が進まない。)そこで、住んでいるところの話なんかにもなるのですが、この間もそんな話になったので、「ガルバテッラは汚いし、このあたりとは全然違う」という話をしました。「ローマはどこも同じよ、この辺も汚いわよ。ガルバテッラなんて今人気の地区じゃない」と言われました。「へえ~、そうですかね」と言うと、このマダム「トレンディ、トレンディ」と英語で連発してました。

確かに、最近のガルバテッラの「トレンディ」化はちょっと目に見える形で表れてきたのは本当です。日本では実家の近くにもあるイタリア料理・食材の専門店Eatalyがなんと家のすぐそばに出来ました。何か工事をしているなとは思っていたのですが、まさかこんなものができるとは。



4フロアあって、イタリア料理に関するありとあらゆるものが揃っています。中に入るなり東京にいるような気分になりました。



イタリア中のハムやチーズ。



パスタコーナー。いろんな形のがあって、博物館のよう。



もちろんワインは欠かせない。

そうくればオリーブオイルももちろん凄い種類。ドルチェ類もローマではあまり見られない、イタリアの他の地方のお菓子も売っています。そして、買い物をするだけでなく、食事もでき、お料理やワインのコースなど、さまざまなイベントも企画されるようです。急にガルバテッラが気に入ってきました。

このEatalyは、もともと鉄道の駅の建物でずっと使われず廃墟化していた所を改装して作られました。駅自体は別の場所にあって、私も時々利用しています。今まではTrenitaliaという鉄道会社しかありませんでしたが、最近ナポリーローマーボローニャーミラノをつなぐ新しい鉄道ITALOというのができ、それもこの駅にとまるようになりました。



赤い車体のおしゃれな電車です。料金も安く設定されているようで、今までは競争のなかったTrenitaliaもこれで料金を改定したり、サービスをよくするかしら?電車では不便なことが多かったので、このイタロが頑張ってくれるといいな。

このEatalyがオープンして翌日には新しい橋の開通式もありました。3年ぐらいかかって工事をしていたのですが、やっと開通。こんな橋必要なのかなと思っていましたが、出来上がるとなかなか立派です。



開通式にはローマ市長が挨拶され、大勢の人が見に来ていました。朝からヘリコプターの音がうるさく。

橋の反対側の地区も今大規模な範囲で工事中です。若者のための文化施設という話から最近はショッピングモールができるという噂に変わりました。まあいつになることやら?という問題はありますが、今後のガルバテッラ楽しみです。

コロッセオまで来られたら、ちょっと足をのばして来てみてください。



日が沈む頃、橋を渡ってウォーキング。なかなか気持ちがいいです。ガルバテッラに住みたがったダニィは先見の明があったのかな。





日本に行ってまたローマへ

2012-06-12 12:17:42 | ローマの平日
しばらく投稿をしないと、ブログのテンプレートが変わってしまうらしいので、取り戻すために取りあえず投稿しなければならないらしいです。しばらく投稿できずにいたのは、3週間ほど日本に行っていたというのもあるのですが、出発前も精神的に忙しくて(旅の前の恒例の状態)ブログどころではありませんでした。

今回の日本滞在はダニィと彼の友人カップルも一緒で、そんな日本での旅の珍道中(読んでくれる方の今後の旅の情報にもなるかな)を書きたいとは思ってはいるのですが、なんだか今回はとても疲れて、ローマに戻ってきた今もぐたっとしています。最近日本に行く度に日本がいいなあという思いが強くなり、ローマに戻るなり日本シックなのです。数年前に突然どうしてもイタリアが嫌になって、日本に帰ってしまった知り合いがいましたが、当時はなんとも感情的と思っていましたが、ちょっとその気持ちがわかってしまえる私にも危機が迫ってきているのでしょうか。

もちろん日本シックになるのは、それだけ日本がいいと思えるような点を目にしてしまったからというのもありますが、ローマに戻ってきてがっかりということがあったからでもありますよ。イタリアが大好きという人には、楽しい話でないので、ここまでで他のページにお移りください。私も以前はイタリアが大好きで、イタリアに住めればどんなことでも我慢するなんて思っていたこともあったのですけれど。

ローマへの帰りの飛行機はアリタリアでしたが、飛行機は新しくきれいで、スクリーンも問題なく使えたし(以前使えないことが何度かあった)、食事も量は減りましたが(これは今どこの航空会社でもそうなんじゃないかしら)まあ悪くはなかったし、乗務員もさほど感じが悪くなかったので合格点とします。日本シックの私は、映画「Always~三丁目の夕日~」を見て、東京タワーを目にしただけで涙してました。

さて、空港に到着して最初のイベントはというと、入国審査ですね。そうパスポートをチェックされるところです。成田空港の入国審査は窓口がたくさんあって、5分も待てば通過できました。外国人であるダニィたちなんてむしろ先に通過したほど。ところがこちらは、例のごとく長蛇の列。「早速か・・・」のブルーな気持ちと闘いながら、日本人の多そうな列に当然並びます。(多分その方が速いでしょ。)ところが列がなかなか動かない。というのも列がまっすぐでなく団子状態だからなのです。(こちらも例のごとく。)おまけに開いている窓口が少ない。そこで後ろの日本人の方々の会話。「なんで窓口がこんなに少ないんでしょうね。」「もうこの時間だから働いている人が帰っちゃったんだろう(笑)、日本でもこの時間(19時頃です)は働いてないもんなあ。(ホントか?)」旅行者はこれも海外バカンスの一つだから笑っていられるのでしょうが、全てがこんな調子での生活者には早速のがっかり。

忍耐、忍耐、そしてまた忍耐でいると、なんと窓口が一つ増えたのです。なんだ帰ってない人がいるんじゃない。どうも開いた窓口の方につられる人が多いらしく、急に私の前の人々が消え去り、お蔭でやれやれ外に出られる瞬間がやってきました。そこで疲れていても、日本人は礼儀があると見せねばと、ボナセーラと言ってパスポートの表側を上に係りの人に出すと、その人は隣の人とおしゃべりを続けたまま、私のパスポートを受け取ると、なんとくるりと一回転しただけで戻してきたのです。スタンプを押してくれないのはいつものことですが(お蔭で私のパスポートは日本出国・入国スタンプがたくさんあるのに、その後どこに行っていたのかが不明状態)、中身を見る振りもなく返してきたのは初めてでした。ここはこのままで行ってしまっていいのか。私はテロリストだぞと嫌味でも言いたいところなのに、情けなくもその勇気もエネルギーもなし。せめて「スタンプを押してください、前に問題になったことがありますので」と言うと、なんだか難しい言葉を並べられたけれど、要はスタンプを押しませんでしたっけととぼけた返事で、いやいやながら押してもらったわけです。全く腹が立つ。

入国審査で待たされたお蔭で荷物はもうベルトコンベアーの上で回っていましたが、同じ飛行機の乗客は皆待たされているようで、荷物だけがぐるぐる回っている様子も珍しかったです。なんとも不運なことに、その後迎えに来てくれていたダニィからの電話はこう。「ごめん、車が煙を出して故障。いつも車を停めている駐車場まで一人で来てくれる?」Made in Italyの夫が悪いのか、Made in Italyの車がいけないのか、その後、駐車場で待つこと2時間。

その日はそれで終りましたが(それ以上起こりようがないか、家についてすぐに寝てしまったので)、街は相変わらず汚いし、地下鉄ではまだ人が乗り込んでいるのにドアが閉まるし(確認なんかしないですから)、犬がしゃがんだかと思うと私の目の前で用を足しているのに、飼い主は知らん顔だし、うちのベランダには上の階の人の落し物が相変わらず発見されるし、通りを渡りたくても車は止まってくれないし、隣の家の人の喧嘩の怒鳴り声が恥ずかしげもなく聞こえてくるし・・・。

そして、昨日のこと。ダニィと近所のスーパーに行き、レジを通るといつもの如くダニィはレシートを確認しながら出口に向かっていましたが、出口のところでUターン。「間違えがある。」はぁ~?早速~?以前から2度に1度はあるんじゃないかと思っているんだれど、ローマに戻って最初の買い物でとはがっかりどころか悲しくもなる。私はこれはわざとやって気づかない客から騙し取っていると確信しています。じゃなければ、こんなに頻繁に、いろいろなスーパーで起こるわけがないのでは。それとも一種の慣習というもので許される間違えなのでしょうか。スーパーの人は申し訳なさそうな顔をするどころか、「本当なの?」とういうような訝しげな顔をして、急ぐどころか、もたもたと調べ、なかなか返金をしない。きっと、待つのが面倒な人にもういいと言わせる作戦に違いない。

そしてこれもいつものことですが、私にとってイタリア代表のダニィに文句をつけないと気が済まない。「絶対にわざとだよ。こういうやり方は先進国ではありえない。第三世界に住んでいると思うと鬱になる~。おまけに謝りすらしないし。腹立つなあ。」するとダニィは「今日からのお買い得品で変え忘れたんだよ」と言う。「はぁ~?こんな閉店時間間際まで誰も気が付かないで通常価格で買いものしていったわけ?今だって絶対に修正してないに決まってる。わざとしているんだから、指摘されても直すわけがない」と言い返すと、「じゃあ明日も行ってみる?」と開き直る。

日本に滞在中のこと。水道メーターの検針に来た人がインターフォンで「すみません。水道の検針に来たのですが、いつもより水道の使用量が多いようなんですが、何かありましたか」と。日本は後で苦情になることを恐れて、常に気を付けているのでしょうが、それでもなんだかとても丁寧・親切に感じてしまった私。「すみません、実家に帰省している私のせいです。わざわざお知らせありがとうございました」とインターフォンの前で深々とお礼を言っているのでありました。