あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

ベルルスコーニ氏からお手紙届きました

2013-02-22 14:28:15 | ローマの平日
日本のニュースでもちらほら取り上げられているかもしれませんが、今イタリアでのニュースの話題の中心となっている選挙、いよいよあさってが投票日。ダニィにも届きました、このお手紙。



ダニィは今までもベルルスコーニ氏を支持したことはなく、昨日も友人に「開封もしてないよ」と話していましたが、ごめん、私が開けました。

中身はこちらです。



宛名はファーストネームで、「Caro 名前」(親愛なるダニィへ)です。ちょっと馴れ馴れしい?イタリアでは普通なのか。
というわけで、もう一通他の党から来ていた郵便物をチェックしてみました。「Gentile Signor 苗字」(親愛なる苗字様へ)となってました。CaroもGentileも英語ではDearに当たるのでしょうが、Caroは親しい間のやりとりで、Gentileはフォーマルな形式です。SignorはMr.に当たるものです。というわけで、やはりベルルスコーニ氏は馴れ馴れしいようです。

レターサイズの用紙に両面びっしりの手紙の半分以上が、モンティ政権の批判とIMU(不動産税)のことで占められています。不動産税はもともとあった税ですが、モンティ首相が財政改革の一つとしてこの不動産税が前にはなかった一軒目の不動産にも課されることになったため、もともと他の税金や物価の上昇、失業率の悪化ですでに苦しくなっていた国民の生活がさらにこの課税で苦しくなったのは確かです。私はお恥ずかしながら政治について大変無知ですし、特に外国生活だとどうしても外国語で理解するのが面倒になってしまうのですが、よく「リム(L'IMU)のせいで・・・」と不満たらたらの声は聞いてました。その国民の不満のうまく利用しようとベルルスコーニ氏、この選挙戦では減税を売り物に、この悪名高きIMUの廃止、既に支払われた分を還付するとしています。

このお手紙にも還付金の受け取り方として、銀行振り込みでも、郵便局の窓口で現金でも、と具体的な方法も記されています。万一こんなことが現実になったとして、郵便局に殺到する人々のことを想像すると怖い怖い。順番に何かをすることができない人びとに、整理券を配ろうが、予約制にしようが、理解できない人びとが多くて、とにかく窓口に人が殺到するのは避けられません。怖い怖い。

それよりももっと怖いのは、これを読んで取りあえずお金が入ると思い、投票してしまう人々が少なからずいるということです。最近ちょっと話をした人の中にもいたんです、そんな人が。とにかく税金が苦しい、生活が苦しい、モンティはひどい奴だ、ベルルスコーニのときの方がよかったと。とりあえず目の前の生活でいっぱいの人には、ある意味そう考えてしまうのも仕方がないのかもしれませんが、そんな人々が増えているようですし、少し前までは恐らくベルルスコーニ氏が勝つことはないだろうと言われていましたが、どうも最近になって、最後まで結果はわからないという見方が強まってきたような印象です。

このお手紙、結局はお金をちらつかして票を買おうとしているって、そんな感じにも見えなくないですね。モンティ氏がベルルスコーニ氏のことを「ハーメルンの笛吹き」に例えたらしいとか、的を得た例えだなあと感心しました。ベルルスコーニ氏の吹く魔法の笛に騙されて、踊りながらついて行くイタリア国民たちは、最後泥沼で溺れるのでしょうか。

いづれにしても、私には選挙権がないので外から眺めているだけですが、この国の住人になってしまった以上、結果はふりかかるんでしょうね。インターネットでちらほらと読んでいる限り、どんな結果になってもこの国の救世主になれる人はそもそも存在しないようなので、あまり変わらないんじゃないかという状況のようです。がっかりですね。少なくともこれ以上悪くならないでと願うばかりです。

ベルルスコーニ氏からのお手紙、そろそろゴミ箱行きです。ブログの話題提供には貢献いただきました。

この季節のお気に入り野菜~ブロッコレッティ~

2013-02-17 17:49:34 | ローマの平日
肉を食べないダニィとの生活では(魚は食べます)、我が家の食の中心は野菜です。ダニィについては、野菜と果物のどちらの比重が高いか、これは疑問です。もしかすると果物のような気もします。今のこの季節、うちには、りんご、オレンジ、みかん、パイナップル、キウイ、なし、バナナが常備されてます。私は日本にいた頃は、かなり肉も食べていましたし(日本の肉は確かにおいしい!)、日本は世界のグルメ国ですからね、かなりいろんな種類のものを食べていました。イタリアも日本のテレビで見ると、グルメ王国のように見えますが、実際の毎日の食生活はあまりバラエティには富んでいません。特に男性はマンマから「嫌いなものは食べなくていいのよ」と育てられたのか、好きなものだけ、同じようなものばかりを食べているという人が目立ちます。同じものばかり食べていて飽きないの~?と思うのですが、いろいろなものを食べるという考え方がそもそもないらしい。

とはいえ、イタリアの肥沃な土地で、強い太陽光を浴びて育った野菜たちは、繰り返し食べても飽きないという力があります。確かにおいしいです。イタリアに来てまずはまったのはカルチョーフィでしたが、このブロッコレッティ(Broccoletti)もなかなかのものです。私がおいしいと言ってから、繰り返し買ってこられちゃうんですけれど、それでも飽きずに週に複数回食べています。



太くて固い茎や黄色くなった葉、開いてしまっている花を切り落とすと、最初の量の半分以下になってしまいます。カルチョーフィもそうなのですが、なんだかとても勿体ない。でもやはり茎部分はかなり立派で固いです。花の部分が確かに私たちの思うブロッコリーに似ているので、ブロッコレッティ(イタリア語的にはミニブロッコリーということですが)と呼ばれるのでしょうね。でもどう考えてもブロッコリーではないですよね。



さて、このブロッコレッティ、ローマではこう呼ばれるのですが、他の地方、例えばナポリではfriarielli、フリアリエッリとなんとも発音しにくい名前で(この野菜とソーセージのピザはナポリピザ特有のものです)で呼ばれていたり、その他にもrapiniとかbroccoli di rapeとか呼ばれるようです。cima di rapeという野菜の仲間のようですが、ダニィは南部に行くとcima di rapeと呼ばれるというので、同じものなのか、その野菜の品種改良されたものなのか結局よくわかりません。そのcima di rapeから調べて行くと、日本では菜の花に行きつき、そういえば菜の花に近いかも、と突然納得しました。
どうやらイタリアが主な原産地のようで、特にローマのあるラッチオ州、ナポリのあるカンパーニャ州、そしてこの野菜とオレッキエッティというパスタの料理で有名なプーリア州が主産地だそう。

どのように食べるか。生では固いのでサラダは無理ですね。ローマではオリーブオイル、塩、唐辛子で炒めます。こんな簡単な料理なのですが、かなりおいしいですよ。苦味のある野菜なのですが、その中に甘味も感じる、そんな味です。ネットで調べていたら、このブロッコレッティを茹でて胡麻和えにするというレシピを書いている方がいらっしゃいました。いけそうな感じです。

この間日本に帰った時に、近所のスーパーでブロッコリーロマーノを発見しました。ちょっと怪獣の背中を想像させられる(って私だけ?)見かけのブロッコリーです。日本はなんでもありますね。ブロッコレッティももしかしたら売られているのかもしれませんね。


食の話ついでに、今日ダニィの両親とランチに行ったお店をご紹介します。ダニィは時どきレストランのクーポンを買い、クリスマスや誕生日に親戚・家族にプレゼントしているのですが、両親の場合は私たちも一緒に行くことになります。買う前にはそのお店のサイトや口コミなどを調査して、それで決めるのですが、今回はガンベロ・ロッソ(イタリア版ミシュランと言ったところかしら)にも選ばれたお店で、L'invincibileというお店です。ベジタリアンランチのコースで、内容があまりにシンプルだったのであまり期待もしていませんでしたが、料理もワインも目に舌にも満足で、レベルは高かったです。ただ量が多すぎて、お得感より最後は苦しくなってしまったのが残念でしたが。
クーポンなしでは、ちょっと私たちにはお高めのお店・・・。



前菜。ちょっと写真が下手でおいしそうに見えませんねえ。

ドルチェの前に、小さなグラスにはいったcrema di latte al basilico(ミルククリームバジリコ風味)とかいう見かけがシャーベットなるものが出されました。デザート前のお口直しにということでしたが、これがなかなか良かったです。初めて体験しました。バジリコの風味が口に広がります。

ご関心がありましたら、ローマにいらしたときにでも是非。

L'invincibile: Via degli Stefaneschi 3/5/7 (トラステベレ地区です。もしかするとコロッセオ地区に引っ越すかもとのことでした。)

魔女の一撃

2013-02-09 21:10:58 | おもしろいイタリア語
前回の話(聖アントニオ)で帯状疱疹のことfuoco di sant'Antonio(聖アントニオの火)と呼ばれていることを書きましたが、colpo di strega (魔女の一撃)っていう症状もあります。さて、何でしょう?

ちょっと前に読んだことなんですが、私の記憶では、魔女は男性を騙すのに若い美しい女性の姿で現れます。そして男性はその美しい女性の手に接吻をしようと体をかがめた瞬間に、女性は醜い魔女の姿に戻り、すると驚いた男性の腰に鋭い痛みが。これが「魔女の一撃」です。ちょっと身をかがめて女性の手の甲にキスをする姿勢をとってみてください。ちょっと間違えたポーズをしてしまうと、この「魔女の一撃」に襲われるかも。

もうお分かりですね、「魔女の一撃」はぎっくり腰のことです。美しい女性にはこういった落とし穴があるかもしれませんよ、って感じでなんだかとてもイタリア的な発想だなと思われますが、いかがでしょう?



聖アントニオ

2013-02-09 17:56:57 | 聖人のお話
また2か月も投稿をご無沙汰してしまいました。テンプレートの変更され、メッセージやコメントをいただいていた方への返事も失礼しておりました。本当にごめんなさい。急いで返事を書きますが、もうブログに戻って返事を確認していただけないかもしれないと思うと本当に自己嫌悪です。反省。

さて、久し振りの投稿は聖人のお話ですが、実はイタリア語カテゴリーとどちらにするか迷って、聖人のお話に持っていくことにしました。

きっかけはこうです。実は2月の初めごろに背中の下の方にぶつぶつと何か出てきて、物心ついてからアトピーと共存の私は湿疹が出ても「あ~また何か出たか」という程度なのですが、今回のは痒みではなくてどうも痛みなのです。ダニィにも時々出るのと似ているので、もしかして「あれ」かなと思ったら、やはり「あれ」でした。

この「あれ」はイタリアではfuoco di sant'Antonio(聖アントニオの火)と呼ばれている皮膚疾患です。普通、疲れているときや、ストレスを感じているときなどの体が弱っているときに、普段は隠れているこの「聖アントニオの火」が発火するというものです。さて、何でしょう?
はい、そうです、帯状疱疹です。もちろん正式にはイタリアでもl'herpes zosterってなんだかもっと怖そうな名称があります。

私の初めての帯状疱疹体験でしたが、かなり痛いと聞いていたので、想像していたよりは大したことないという実体験でした。範囲が狭かったお蔭かもしれません。時々ひやっとするような痛みが走ることがありましたけど。その前にも新年早々中耳炎らしき症状が出て、耳鼻科にも行ったのですが、なんだか治りが悪かったので、今回はダニィの実家のマンションにあるホメオパシーのクリニックを試してみました。これも初めての体験でしたが、この体験談はまた改めてしたいと思います。結果としては抗ウイルス剤などももらわずに、1週間後には治りました。

さて、この帯状疱疹がなぜ「聖アントニオの火」と呼ばれているのか?当然そういう疑問がわくわけですが、周囲のイタリア人に聞いても答えはまず得られません・・・とはいえ、ネットリサーチによると、この聖人が皮膚疾患に対する守護聖人とされているということはわかりました。ただ「聖アントニオの火」と言ってそれが帯状疱疹の意味にとられるのはイタリアとマルタだけで、他の国、例えばアメリカやイギリスでは丹毒、フランスやドイツでは麦角菌中毒のことを言うようです。

というわけで、聖アントニオのことについて私の本棚の本から調べたことをご紹介します。そうそう聖アントニオと言っても、皮膚病の聖人の聖アントニオはイタリアではSant'Antonio Abeteと呼ばれている聖人で(日本語では聖大アントニウスと呼ばれているようです)、聖アントニオは他にもいます。

聖アントニオの生涯についての歴史的な情報として、エジプトのアレッサンドリアの司教(326-372年)であった聖アタナシオという別の聖人が書き残しています。聖アタナシオは聖アントニオの友人でした。

聖アントニオは251年にエジプトのコマ(メンフィス)に生まれました。18歳のときに両親を失い、20歳には全財産を捨てて、隠者の生活に入ります。隠遁生活の苦行の中でさまざまな誘惑に苦しめられ、克服していくエピソードがこの聖人の最も有名なところでしょう。人間の持つさまざまな欲が怪物や悪魔として表わされ、聖アントニオを攻撃するようすが絵画の題材にもされてきました。




マティアス・グリューネヴァルト(Matthias Grünewald)の「聖アントニオの誘惑」
左下に皮膚病患者のようなのがいますが・・・


苦行者としての生活を続けながら、時には隠遁生活から離れ、彼に従う信徒たちのために自身を捧げました。死を待つ病人や死刑囚に寄り添い、また様々な奇跡も起こしました。

311年、マッシミーノ・ダイア(マクシミヌス・ダイア)皇帝の迫害に苦しめられているキリスト教信者たちを支えるためにアレッサンドリアに戻ります。

晩年は砂漠での隠遁生活に戻り、祈りと小さな畑を耕すだけの最低限の生活を営みました。357年1月17日、106歳という長い人生を終えます。

<その他の情報>
聖アントニオに付随するシンボル:T字型の十字架、呼鈴、豚、火 (絵画などで聖アントニオを見分ける助けになります。)
肉屋、ペットの守護聖人でもあるそうです。

アトピーっ子から今はアトピーおばさんの私は、聖アントニオは重要な聖人でした。ローマには聖アントニオ教会があるのかな。見つけたらまたご紹介します。



ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch)の「聖アントニオの誘惑」