あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

渚にて On the beach

2012-12-04 23:59:46 | 映画
東北の震災から少し経った頃だったと思いますが、父から観るようにと送られてきたDVDがありました。それがこの映画「渚にて」なのですが、2時間以上の大作でなかなか腰を据えて観るチャンスがありませんでした。今日のローマは一日中雨のまさしくDVDを観るに絶好の日となったので、雑誌などと一緒に積み重なってたこのDVDを取り出してきました。

DVDの裏に書かれている映画の説明はこうです。

渚に静かにしのびよる人類最後の日 スタンリー・クレイマー監督が描く地球の終末―。
1964年・・・

ネビル・シュートの小説をもとに1959年に製作されたアメリカ映画です。最初から最後まで同じような静かな雰囲気のままなのですが、内容はかなりどきっとするものです。時は1964年、私自身もまだ生まれていなかった時代が背景ですが、それからほとんど50年も経つ現在でも映画の伝えるメッセ―ジが十分に有効な映画がどれくらいあるでしょうか。映画の作られたのが1959年ですから、当時は未来のことを描き、予測される危険に対しての警鐘を鳴らす目的だったのでしょうが、その1964年も世界は映画のような間違えは犯すことなく、いまだに生き延びている私たちではありますが、この映画の鳴らす警鐘はまだまだそしてさらに激しく鳴り続けなければならない時代にあるのではないでしょうか。。

72年ぶりにイタリアに帰ってきたレオナルド・ダ・ヴィンチの作品

2012-12-02 21:12:39 | ローマの休日

1940年にナポリで盗まれ消息を絶ったレオナルド・ダ・ヴィンチのTavola Doriaと呼ばれるこの絵画は、なんと東京富士美術館に所蔵されていました。もちろん美術館が盗んだわけではありません。さまざまな経由を辿り、なんと東京のこの美術館に行きついたということです。この度、富士美術館は今後の日本とイタリア間の美術交流を盛んにすることを目的に、この作品の故郷イタリアに絵画を寄贈することなったのです。今、ローマの大統領官邸であるクイリナーレ宮で、この絵画を11月28日から来年の1月13日まで平日なら無料で鑑賞することができます。(月曜日は休み、日曜日は5ユーロですが、クイリナーレ宮の見学付き)。昨日早速行ってきました。

私はこの八王子にある東京富士美術館の存在も知りませんでしたが、創価学会の美術館のようです。結構立派な所蔵品もあるようです。今度帰国の際はちょっと遠いけれどいってみようかな。美術館のサイトにもこのニュースのことが載っています。こちら

盗まれた作品というだけでもミステリーに満ちていますが、この作品はその他にも重要なミステリーを解くための鍵となるかもしれません。この絵画はフィレンツェのヴェッキオ宮の大広間の壁にレオナルド・ダ・ヴィンチが手掛けた「アンギエリの戦い」をテーマとした壁画の中心部分の画家自身のコピーと言われています。この壁画を手掛ける際に、ダ・ヴィンチは過去の苦い経験から、フレスコではなく油絵の壁画という新しい手法に挑戦したのですが、途中で絵の具が流れ出すという失敗にあいます。そこで描いた絵を救うことのできなかったダヴィンチはこの壁画の製作を諦めてしまいます。その後この未完成の作品はその中心部分の素晴らしさに多くの画家によって模倣されるのですが、その後この大広間の壁にはヴァザーリによる壁画で飾られることになり、ダ・ヴィンチの壁画は姿を消すことになります。しかし、このダ・ヴィンチの作品はヴァザーリの壁画の下に今も隠されているのではないかと言われているのです。

ヴァザーリの壁画に描かれている旗に小さくCerca Trova (探せさらば見つからん)と書かれているのを見つけたサラチー二という教授が、ダ・ヴィンチを称賛していたヴァザーリがダ・ヴィンチの作品を塗りつぶしてその上に描くわけがないと、きっとその言葉はダ・ヴィンチの壁画が隠されているというメッセージではないかという考えだそうです。どうやら日本でこの謎についてのテレビ番組もあったようですね。ヴァザーリがダ・ヴィンチの壁画を塗りつぶすのではなく、その上に別の壁を作ってそこに壁画を描いたのだろうという推測のようです。ヴァザーリの壁画を破壊するわけにもいかないでしょうし、でも今の技術なら謎が溶け、幻のダ・ヴィンチの「アルギエリの戦い」が再びその姿を私たちの目に見せてくれる日がくるかもしれませんね。

「タヴォラ ドリア」でネット検索していると何やらいろんな人が書いています。盗品といういわく付きのこの作品は、日本では一般には公開されてなかったような書き込みがありました。日本に長年あったようなのに、この貴重な作品を日本人が見る事ができなかったのは残念なことですね。イタリア警察もずっと捜索を続けていたわけだから、当然国家間の問題にもなるんでしょう。今後は日本にまた4年間貸出をされるようなので、その間に見に行かれてみてはいかがでしょう。多分東京富士美術館(八王子)に展示されるのではないでしょうか。それにしても、今回の美術館の寄贈の決断で貴重なこの作品が日の目を見る事ができ、ダ・ヴィンチも救われますね。ナポリターノ大統領も謝辞を述べています。

ローマにいる方は来年の1月13日までクイリナーレ宮で鑑賞できます。クイリナーレ宮に入るには荷物検査があるので、はさみやカッターなどが入っていないか気を付けて行きましょう。ダニィはマンマのところから拝借してきたレモンが1個ポケットに入っていました。検査機を通ると、ピーピーなって、レモンを取り出させられているかとはらはらしていたら、小銭がポケットに入っていて、もういいって通してもらっていました。数年前、成田空港でもスーツケースを開けさせられ、中からトマトが出てきて取り上げられていたダニィです。