あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

キプロスの旅(3)~首都ニコシアで①~

2013-12-06 23:59:49 | 旅 ~イタリア国外~
キプロス島探索の第一日目は首都ニコシアから。到着が夕方だったので、ホテルの人に車で送ってもらい、夕食を食べに出かけました。ダニィが作ってきたレストランリストの中の最初のお店で車から降り、なかなか良さそうなところ思っていたら、ダニィはなぜか(高そうと思ったか!?)他のところも見ようとか言い出し、取りあえずニコシアの旧市街の方に向かうことにしました。土地勘もなく、道を聞き聞き、私たちはなんとか再度バスターミナルのところに行きつき、ホテルで入手してきた地図を頼りに、とりあえずメインストリーらしきところを目指しました。ギリシャ語だかトルコ語だか、慣れない通り名は地図で探すのも一苦労。それでも、なんとかマクドナルドなどのあるお店がたくさん並ぶ明るい通りに出ました。ダニィがネットで調べてきたレストランを探すのですが、人に尋ねても発音が悪いのか見つけられません。ある店員さんに、「じゃあ、どこかお薦めのところを教えて」と紹介してもらったお店に向かって行ったところ、北キプロスへの入口のある検問所に着きました。以前にも触れましたが、キプロス島の北37%はトルコが占拠して独立国としていますが、南キプロスや世界はそれを認めていないので、国境があるはずがないのですが、トルコ側からすれば国境があるわけですね。そこで北側に入るには入国審査がある検問所を通らなくてはなりません。そんな状態になってもうかなりになるので(1974年から)、住民や観光客の国境を行ったり来たりが現在では簡単にできるようになっているとのことでした。


<ビルの展望台から見た北側。山の上にトルコの国旗が。「ここはトルコ人のものだ!」と言っているようですね。こういうのを見ると、この国の状況を実感します。最近、日本もこういうことが他人事ではなくなってきていますが、紛争はいいことなどもたらしません。>

そんなわけで、北側でトルコ料理食べてくるって、そんなアイデアも当然出てきます。南キプロスだけならば、ダニィはパスポートを持って行かなくてもいいところでしたが、北側へ行くことを考えてパスポートを持って楽しみにしていたぐらいでしたからね。ただ、出発前にインターネットでそのことについ調べてたところによると、北側には行かれるけれど、その際にパスポートではなく、別紙に入国のスタンプを押してもらうこと、というのも万一パスポートにスタンプを押されてしまうと、南キプロスに入れなくなる可能性あり・・・とのこと。そうなっても自己責任で解決するしかなく、北キプロスにはもちろん日本大使館はなく、南キプロスもアテネにあるギリシャの日本大使館が管轄だそうで、一応その電話番号は控え持っていました。でも、ちょっとドキドキです。

南側はチェックも何もなく、一応入口となっている方から入ります。以前は普通にお店などが並んでいたのだろうなという南でも北でもないゾーンを歩いていくと、北側の検問所窓口が現れます。時間はもう夜の9時頃だったかもしれません。一緒に入っていく人がいないのに、ちょっと不安を感じましたが、検問所の人はもう慣れているかのように、パスポートと交換に例の別紙を渡してきました。そこにパスポート番号と名前を書かされ、スタンプを押され(90日間有効になっていました)、グリーンラインと呼ばれる境界線を越え「入国」しました。北側に一歩入ると、そこは全くの別世界。南側は東京でもローマでも見るような(というよりはちょっと田舎っぽいか)普通の夜の繁華街の雰囲気でしたが、北側はまるでゴーストタウン。地図もガイドブックもなしで、こんなところを歩いていて大丈夫なのだろうかと、正直怖くなりました。危険ではないという話でしたが、とにかくほとんど人がいないのです。検問所の近くには、おせじにもきれいとは言えない食堂のようなところがあって、飲食をしている人が少しはいましたが、そこから離れると、紛争中を思わされるようなぼろぼろの建物が並んでいて、古めかしいポスターが貼ってあったり、電気も薄暗く、どこからか撃たれるのではないかと思うぐらいな感じです。たまに、人がベンチに座ってたり、歩いていたりはあるのですが、人が現れるたびにむしろギクッとしてました。

 <まるでゴーストタウン。>

ダニィのレストランリストには、北側のお店もあって、そんな数少ない人たちに場所を訪ねると「ああ、そのお店は確かにあったけど、今は閉店してなくなっちゃってるよ」と、評判のいいお店だったはずなのに、どうなっているのだろう、ここは。他のお店を紹介してもらい、薄暗い道を歩いて行くと、急に明るい所に出ました。どうもモスクかなにからしい。ライトアップされていて、素晴らしい。

 


恐る恐る頭から持っていたスカーフを被り中に入ると、中にはお祈りをしている人びとがいました。ダニィがずかずか入っていったので、私も後からついて行くと、しばらくして父と子のような二人が近づいてきました。父親のような男性が「今は見学時間でないので、明日9時から見学できるので、また来てください」と英語で話しかけてきたのですが、子供の方はその後もしつこくダニィの腕を引っ張って何か言っているので、ダニィは気を悪くし、私はなだめなだめ、そそくさと外に出ました。どうやらそこは北ニコシア側の最大の見どころ、セリミエモスク(旧聖ソフィア大聖堂)だったようです。

明るいのはそこだけで、真っ暗な街の中を教えてもらったお店を見つけ出す気も萎え(ちょっと不気味さの漂う雰囲気でしたから)、ここはさっさと南側に戻り食にありついた方が懸命ということになりました。途中、インターネットで見たような見どころスポットがありましたが、戻る道もあやふやで、ここはとにかく南へのゲートを目指しました。復路はスタンプを押された紙に出国スタンプを押され、南側に戻ると窓口の人は手でどうぞなんて感じだったので、パスポートを出すこともなく、ネオン明るい街中に無事戻りました。

ところで、まだ食べるところは決まっていません。教えてもらったところも見つからず、気を取り直し、ダニィのリストのお店をまた探し始めましたが、この街はどうも道が曲がりくねっていて、地図を見ていても本当にわかりにくい。でも実際はそんなに大きな街ではないので、同じところに何度も戻ってきてしまったりするんです。ダニィが途中で「まあいいんじゃないか」風のお店があったというから、そこで食べることにしました。

Taverna Zanettosというお店です。ただメニューはキプロスの名物メゼのみ。メゼっていうのは、料理の名前ではなくて、20種類ぐらいの料理が出てくるセットメニューと言ったところでしょうか。色んなものが味わえるので、とてもお得感があります。ただ、先に始めた他のお客さんたち(どうも旅行者)のテーブルを見ると、テーブルにあふれんばかりの料理で、ほとんど手が付けられていない状態。メゼでも種類があるのかなと思ったのも束の間、出てくる出てくる、私たちのテーブルも料理であふれました。一つの料理が結構な量ありで、これって最終的にいくらとられるのだろうかと心配になったぐらいです。楽しいのは楽しいのですが、最後の方はこんなに残していいのだろうかと頑張らねば状態になり、美味しいも何もわからなくなりました。とにかく完食は無理ですが、お店の人も慣れているのでしょう、残しても問題ないと最初から言われましたが、途中でもったいないのでここで終わりにしてくださいと伝えたら、なんか気を悪くした感じでした。


<途中経過。これで全部ではありませんよ。>


こんなに食べて一人2000円ぐらいでした。デザートまでちゃんと付いています。後からきた現地の人びとらしいグループはどんどん食べていたので、キプロスの人には普通なのかもしれません。ダニィはメゼは経験したから、これで最後と言い切ってました。確かにちょっともったいないです。(残り物を使い回ししてないといいけれど・・・。)

メゼでも他のお店ではまた違うかもしれないし、キプロスに行ったら一度は注文してくださいね。ここのお店も悪くなかったけれど、最後は食べ過ぎで苦しくなってしまったので、味の方の記憶が薄らいでしまいました。一刻も早く、シマウマ柄のベッドに横たわりたい気分で一杯だったし。キプロス第一日はこうして終わりました。

Taverna Zanettos
Trikoupi 65 Street, Old Nicosia