あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

7月の美しい調べ

2010-07-29 03:31:19 | ローマの休日
・・・という訳にどこかでなっていましたが、ローマのコンサートホールなどがあるAuditorium Parco della Musicaでは、"Luglio Suona Bene"というイベントが7月中ずっと催されていました。Auditoriumの屋外ステージLa Caveaでの毎晩のコンサートです。

私達はNeffaという歌手のコンサートに行きました。例のごとく、名前を聞いてもわからない私。ダ二ィが聞いたことのある曲が結構あるよと言うので、ラジオでよく流れるんだろうな程度の知識ででかけました。少しは知っている曲がないと飽きちゃうんですよね。

会場に着くと、私達のようにイベントマニアの知り合いダビデも奥さんと一緒に来ていました。このダビデ、みかけは普通のおじさんなのですが、無料で会場にもぐりこむことがほとんど趣味のような人で、ジャーナリストやテレビの人に混ざって平気な顔で入ってしまったり、色々な会場に知り合いやコネをしっかり作っていたり、おまけにチケットなしで入場したにもかかわらず、平気で前方中央に席を陣取っていたりする。悪い人じゃないのですが、こっちこっちなんて言われてついていくと、恥ずかしい思いをするかもしれないリスクがあったりします。そんなわけで、少しずつ少しずつ距離を置く付き合いになりましたが、会えばにこやかに挨拶は交わします。

さて、ダビデはまた後で登場させるとして、このNeffaという歌手、一曲目で早速、「あ~この歌の人か」と納得。確かにラジオでよく聞くものでした。私が気が付いていないだけかもしれませんが、テレビではMTV以外の音楽番組というものを見かけません。オーディション番組のようなものとか、コンサートや音楽祭の中継はよくあるんですけどね。そんなわけでもっぱら耳からしかイタリアの音楽情報が得られないため、姿を見ても曲とは結び付かないんです。

というわけでイタリアで大人気の歌手Neffaを紹介したいと思います。1967年、ナポリの近くの小さな町Scafatiで生まれたNeffaは本名はGiovanni Pellinoと言います。Neffaというアーチスト名はどこからきたのでしょう。以前クレモナのサッカーチームにGustavo Neffaというパラグアイ人の選手がいて、冗談でその選手に似ているなんて話から、その選手の名前をとったのだそうです。(本当に似ているのかなとその選手の写真を探してみましたが、正直私にはどこが似ているのかわかりませんでした。)

Neffaの音楽人生はドラム奏者として始まりました。私は音楽のジャンルの違いというのを良く知りませんが、初めはハードコアロックのグループ(Negazione)でドラムを叩いていたNeffaは、その後ヒップホップの世界に入り、Sangue Mistoというグループを結成してイタリアンラップ界で成功しますが、その後ソロ歌手に転向、今ではさまざまなジャンルの音楽を手掛けるアーチストです。

私は最近のNeffaしか知りませんが、なかなか聞きやすい曲が多いように思います。
このコンサートも45%ぐらい聞いたことがありました。私としては凄いことです。

ラジオでよく聞くLontano dal tuo sole

こちらも有名。映画Satruno Controのテーマ曲となったPassione
この映画に出てくる俳優たちは、イタリア映画界ではよく見ます。
帽子にTシャツは彼のスタイルのようです。

              
                帽子姿のNeffa

ちょっと古くなりますが、一番有名なのはこの曲La mia signorinaだそうです。
この日もアンコールの最後はこの曲で、みなさんステージに上がりノリノリに踊りまくっていました。
この歌の中に、Potrei anch'io fare il presidente ma sto con lei e non mi manca niente (僕も大統領になれるけれど、彼女がいるから他に何もいらない)という歌詞があるのですが、アンコールの時、「僕も大統領になれるけど、未成年には手を出さないよ~」と歌ってうけていました。つまりベルルスコーニ首相のスキャンダルを皮肉ったんですね。
全くこの国の首相はこんなに色々なところで皮肉られていて、それなのに選ばれているというのはどういうことでしょう???これだけ人の話題に上るということは、それはそれで成功なのかな。でもちょっと~・・・というスキャンダルが多すぎですね。

さて、目立ちたがり屋といえば、友人ダビデも負けていません。コンサートの初めに、Neffaは「こんなにスペースのある大きいステージだし、僕はあまり歩き回らないから、ステージに自由に上って来て踊って構わないよ~」と言ったので、最初は躊躇していた人々も、一人がステージに上がると次々にステージに上がり出しました。その時です。客席中央に座っていたダビデが立ち上がり、ステージに近づきNeffaに直接に叫びました。「ステージで観客に踊られたのでは、客席からあなたが見えなくなるじゃないですか。私はこの人たちのダンスを見に来たわけじゃない。」
もともと会場の係り員たちもセキュリティ目的で観客をステージにあげるのは避けたい様子で、Neffaも「そういうことだから、残念だけど・・・」とステージから皆を降ろしました。ブーイングになるかなと思ったのですが、意外に皆さん素直。

ところがコンサートの最後の方になり、かなり盛り上がってきたので、Neffaは再度「みんな、ステージの上に上がって来てよ」と言いだし、ダビデには直接「見えないようなら、ステージに上がって来て、僕の隣にくればいいでしょ」と。ステージに上がった観客も、ダビデの前だけは避けて踊っていたので、ダビデのところからはしっかりステージが見えていたと思います。私達やダビデの知り合いは大笑い。ダビデもNeffaと直接会話できたからか、目立てたからか、ご機嫌の様子で、ステージには上がりませんでしたが、歌って踊るおじさんになりきっていました。

最近コンサートに行っても、途中で飽きることが多くてあまり気が進んでいませんでした、この日は楽しい夜となりました。
ちょっと気だるい感じのNeffaの歌声もなかなか気に入りました。日本であまり聞くことのなかったイタリアの音楽もなかなかよさそうです。

              

              7月のトラステヴェレのお祭りの最後をしめる花火。
              帰り道にちょうどやっていました。

カラヴァッジョのうち?

2010-07-26 23:50:05 | ローマの休日
                        当日のボルゲーゼ美術館

この前お知らせしたカラバッジョの夜ですが、私達はボルゲーゼ美術館の前をぶらぶらして(長蛇の列は並べたものではなく・・・)、配っていたポテトチップスをいただきながら、Sant'Agostino教会とポポロ広場のSanta Maria del Popolo教会に行ってきました。

              
              夕暮れ時もまだ蒸し暑く、噴水に集まる人々。
              噴水もなかなか芸術的。

              
              夜のSant'Agostino教会のファサード

この教会にあるカラヴァッジョの作品は「Loretoのマドンナ」と呼ばれるものです。実在のモデルを忠実に描いていたカラヴァッジョの作品はあまりに世俗風すぎて、当初教会に受け取りを拒否されることもしばしばでした。二人の巡礼者の汚れた足までリアルに描くなど、普通の教会画には見られないですよね。

              

さて、この絵で聖母マリアが立っているところも、実はカラヴァッジョがローマで住んでいたところの入り口なのだそうです。ガイドさんが住所を教えてくれたので、早速行ってみました。教会のすぐ近くです。

               
               ちょっと暗いですが、確かにVia delle Coppelle 21

カラヴァッジョはとても人気があって、映画もあるし、ガイドさんの説明は知っていることが多かったのですが、このカラバッジョの家のことは知りませんでした。

そして、その通りにもう一つ面白いものを発見。

              

日付は1700年代。「外にゴミを捨てたら罰金が科されます」という告知文。当時のローマもゴミのポイ捨てが多かったのかしら。でも罰金制度があったなんて、今より進んでいる。ローマは上を見て歩く分には美しいのですが、下を見ると汚くてがっかり。また罰金制度を取り入れてもらいたいものです。

このカラヴァッジョの夜は画家の400年目の命日を記念してのイベントだったそうです。カラヴァッジョが人々の関心をこんなに引くのは、画家の芸術性だけでなく、彼の波乱万丈の人生からもでしょう。喧嘩が日常茶飯事だったカラヴァッジョは逮捕されることもしばしばで、殺人、投獄、脱獄、逃亡生活、そしてゲイだったらしいという話など、人間的にも確かに興味深いですね。最後は旅の途中で病に倒れ、トスカーナ地方のポルト・エルコレの浜辺に置き去りにされ亡くなりました。なんともドラマチックですね。



              
              Santa Maria del Popolo教会のカラヴァッジョ
              向い側にもう一作品とニ作品見られます。




こんどは・・・

2010-07-21 01:57:55 | ローマの平日
うちにはエアコンがないので、扇風機にへばりついている毎日ですが、そうしていると余計に体がだるくなっていくようで、思い切ってテルミニ駅まで行くことにしました。駅まで行けば少しはエアコンがはいっているだろうし、姪の成績アップのご褒美を送る約束も果たしていなかったので、その買い物もありました。

一歩外に出ると、やはりかなりの暑さです。うちの中も十分な暑さですが、この灼熱の太陽は直接に当たると暑いというより痛い感じです。それでも気を取り直し、地下鉄のホームでは「冷房車が来ますように~」と心から祈っていると、なんと運がいい、冷房車がやってきました。とはいっても、乗っている間に汗がひくほどの強さではなく、取りあえず外よりはマシという程度の温度です。日本のように乗ったとたんに「ひや~っ」とする感覚が欲しいのに。

そしてテルミニ駅につき、地下街に入ると・・・何かが違う。ちょっといつもより暗いかなあと思ってよくみると、通路には普通に電気がついているものの、お店の中はどこも真っ暗。今日は一体何の日なんだろう。祝日でもこの駅のお店だけはいつも開いているのに。ドアが完全に閉まっているお店もありましたが、入口で店員さんのような人々がおしゃべりをしているところもかなりありました。

あるお店の前で3人の女性店員が座っていたので、何があったのかを聞こうと近づいたら、こちらが口を開ける前に「閉まっている、閉まっている」と言うので、「どのお店もみんなお休みですか」と聞くと、変な顔をして「そうだ」と言う。私は駅についたばかりで何が起こったのかを知らないので、「後でまた開くのですか」と聞くと、今度は怖い顔で "Chi lo sa!"と言う。英語で言うとWho knows!ってことでしょうが、あの顔で言われたら、「そんなのわかりっこないでしょ!」って言われた感覚です。つまり「停電なんだから、いつ電気が戻るかなんてわかるわけないんだから、聞かないでよ!」って、つまりこんな感じだったのでしょうが、駅に着いたばかりの私にわかるわけない。どうして「早く電気が戻るといいですよね」的な対応をしないんでしょうかね。よくあることですが、なんだか質問はしないに限るという気持になります。

折角涼みにいったのに、電気がないのではエアコンもついているはずがありません。まだ暑くはありませんでしたが、思い切って出てきた私にはがっかりです。それにしても、次から次へと不都合の多い街です。やっぱり家にいるのが正解なのかしら。

帰りの地下鉄は冷房車ではありませんでした。次のを待とうかと思いましたが、次の地下鉄まで5分という表示が出て(これも当てにならない)、待つのも暑いし、待ってみてまた暖房車だったら余計につらい。よしそれなら少しの我慢と心を決めて乗り込むと、また別の不安が頭の中を横切りました。こんな停電のときにこんなのに乗ってしまって、途中で何かあって万一ここに閉じ込められたら死んでしまう!そう思った瞬間にドアが目の前でぴしゃっと閉まりました。乗っている間ももう怖くてどきどき。

外出が恐怖の今年の夏はまだまだ続くのでしょうか(ため息)。

あ~やっぱり

2010-07-18 01:31:16 | ローマの平日
うちは地下鉄B線沿線にあるので交通の便は比較的便利です。ただ・・・今の家に引っ越してきてから毎年夏になると繰り返し言っていること・・・どうして地下鉄B線はこの暑いのに暖房車しかないの?・・・もちろん暖房が本当に入っているわけではありませんが、まるでこの真夏に暖房が入っているかのような暑さなのです。まるで蒸し風呂状態。我慢大会じゃあるまいし、住人ではない旅行者なんて「冗談でしょ」って思うと思いますよ。

今年こそは変わるかな変わるかなと期待しつつ、今年は数台冷房車を見たものの、80%の可能性でまだ暖房車にあたります。問題は暑いだけでなく、汗だくの人々で臭いもたまりません。ぎゅうぎゅうに混んでいるときなどは、まるで拷問のよう。つい数日前もたった5駅乗るのに、3駅目でギブアップ。降りてバスを探しました。不思議なのは誰も文句を言わないのかなというところだったんですが・・・。

実は、今日こんな記事を見つけました。こちら
エアコンなしの地下鉄B線の中は50度の暑さ、倒れる人、気分が悪くなる人が続出という記事です。消費者団体のようなところが、このことで地下鉄B線にもエアコンを入れるべきと主張しているのですが、ローマの地下鉄やバスを営業しているATACは地下鉄の駅でミネラルウォーターを配るとか(以前にもやっていました)で誤魔化そうとしてます。それに対して、そんなことをやるのは第三世界のことで、近代国家であるはずのまして首都であるローマがこんなことでは恥ずべきというような意見ですが(当然!)、結局全車エアコン付きになるというのは夢のまた夢の印象です。

それにしてもミネラルウォーターをただで配るからいいでしょう、というのが全く納得いきません。それも主要な駅だけで全ての駅で配られるわけでもなく、家で使う分の水をそこでゲットしようとケチな人々がやってきて大量に持って帰ったりしそうです。

こんな記事が出たということは、おかしいと思っているのは私だけじゃないってことですよね。よかった。(まだ改善される希望あり!?)それにしても50度なんて、地下鉄に乗るのも命がけですね。暑さで倒れる人が出ているのだから、人ごとじゃない。途中で降りた私の判断は正しかった。まったく、お出かけすらできません・・・。

秋よ、来い、早く、来い!

カラヴァッジョの夜

2010-07-17 00:14:54 | ローマの休日
ローマに来るまでは、カラヴァッジョがこんなに人気のある画家だとは知りませんでした。日本でも確か目黒の庭園美術館でカラヴァッジョ展をやった時に見に行きましたが、今思うと凄い展覧会が開かれたのだなあと驚きます。

この週末、正確にいえば明日の土曜日(7月17日)の夜21時から翌日の9時までLa Notte di Caravaggio (カラヴァッジョの夜)というイベントが催されます。ローマのカラヴァッジョの作品のある教会や美術館をガイド付きで夜中じゅう見学できるというものです。つい最近までScuderie del Quirinaleでカラヴァッジョ展をやっていましたが、その時も入場するのに4時間待ちなんていう大人気でした。人気というのか、流行りなんでしょうね。

そんなわけで、普段は予約なしでは見学できないボルゲーゼ美術館もこの夜は予約なしで入ることができます。ただ凄い列かもしれませんね。ただそれを予想してか、外でも音楽や飲み物などのちょっとした屋台などが用意されるようです。今回参加しないバルベリーニ美術館の作品などもボルゲーゼ美術館に展示されます。

このイベントに参加のスポットは次のところです。
美術館
・Galleria Borghese
教会
・San Luigi dei Francesi
・Sant'Agostino in Campo Marzio
・Santa Maria del Popolo (ここは深夜1時まで)

予約なし、無料です。


ダ二ィもカラヴァッジョは大好きなので、もうかなりの作品を見てきました。今回は様子だけ見にいくかもしれませんが、何時間も列に並ぶ勇気は私にはありません・・・。
でも夜中の3時に美術鑑賞もちょっとステキ。

日課

2010-07-15 01:39:52 | ローマの平日
ダ二ィの毎日のフルーツ摂取量はとにかくすごい。朝食はオレンジ2個の搾りたてジュースとフルーツヨーグルト。お弁当に果物を、今なら桃とかキウイとかさくらんぼとかすももを持って出かけ、帰宅するなりメロンに喰らいついている。夕飯はほとんど食べないので、食事作りのない振りだけ主婦の私はかなり楽と言われれば否定はできません。

              
              うちの冷蔵庫は果物が野菜庫を占領。
              かぼちゃのようなのはメロン。日本人と切り方が違うような。


そこで私の日課の一つ(って、それだけだろうが)でダ二ィのためにするのがマチェドニア作り。マチェドニアはフルーツ好きのイタリア人たちの代表的なデザートで、フルーツポンチッて感じでしょうか。レストランなんかで出てくるのは、お酒なんかも入れてあったりするみたいですが、うちのは要は果物を切り刻んでオレンジとレモンの搾り汁と合わせるだけ。お砂糖も入れる人もいるようですが、かなり果糖だって摂取することになるだろうし、果物だけで十分甘いです。

今の季節だとモモ、アプリコット、キウイ、パイナップルなどを使います。
本日はパイナップルがなかったので、モモ(2種類)、アプリコット、キウイ。パイナップルを入れると甘い系になりますね。ジェラートの場合もそうなのですが、ダ二ィはコンビネーションにこだわりがあって、ダ二ィマンマはメロンも入れていたりすると思うんですけれど、メロンは入れるなと言われています。
イチゴの季節はバナナとキウイ。私は結構イチゴ入りが好きですね。
日本では高くついちゃって、日本滞在のときは単品で食べて貰いますけどね・・・。

              

とにかく果物を刻んで刻んで、レモン半分とオレンジ一個の搾り汁をいれて混ぜて、冷蔵庫でしばらく冷やす。指に傷があったりするとしみてこれがたまりません。ダ二ィマンマは一体何十年これを日課にしていることか。

私もこれから何年マチェドニアを作り続けるのかなあ。まあ楽な自称主婦です。

              

お屋敷訪問

2010-07-14 22:49:38 | ローマの休日
ラファエロの作品があることでも有名なVilla Farnesinaはテベレ川沿いヴァチカンからトラステベレの方に向かって少し行ったところにあります。今はテベレ川の方の正門からは入ることができず、裏側へ回って、コルシ―ニ宮の前から入ります。以前にも行ったことはあったのですが、今回ダ二ィと一緒にガイド付き見学に参加してきました。

名前のごとく、このお屋敷はルネッサンス後期にファルネーゼ家のものになり、この名前がついたのですが、もともとはシエナ出身の銀行家、アゴスティーノ・キ―ジが建てたお屋敷でした。この素晴らしい装飾を施されたこのお屋敷は、貴族のファミリーのものとてっきり思っていましたが、このアゴスティーノさんは銀行業でローマでも大成功を収めた大金持ちで、ビジネスだけでなく、当時の重要な芸術のパトロンでもありました。そのためこのお屋敷も建築家のバルダッサ―レ・ペルッツィの他、装飾にラファエロ、セバスティア―ノ・デル・ピオンボ、ソドマ、ジュリオ・ロマーノなどの大物芸術家の手が至る所に入っています。

ラファエロは依頼を受けた中心的な画家だったと思いますが、当時画家はヴァチカンのラファエロ間の装飾を同時に手掛けていたため、このお屋敷の仕事はほとんど弟子たちに任せることになります。デザインはラファエロがしていたようですが、彼の手になるものは有名な「ガラテア」だけです。

芸術的な説明はネット上にもたくさん書かれているでしょうから、ガイドさんが話していたそのほかの話のみご紹介します。

このアゴスティーノさんですが、どんなにお金持ちでも手に入らないものがありました。彼は当時かなりのプレイボーイでもあったようですが、叶わぬ恋がありました。お相手はマントバの貴族ゴンザガ家の姫マルゲリータ。どんなにお金があっても、相手は貴族のお姫さまとあっては諦めるしかありません。その後ベネチア出身の庶民の娘フランチェスカ・オルデアスキに出会い、妻として迎え、彼女がこのお屋敷の奥さまとなります。お屋敷の装飾画の中に、口に指をあててアゴスティーノとマルゲリータの秘密の恋を示唆しているものがあります。

1階は饗宴など主に社交の場としての役目を果たしていたそうですが、2階はキ―ジ家のプライベートの部分として使われていました。遠近法を用いて描かれた列柱の間から見えるローマの風景は、本当に柱から外に腕を伸ばせるんじゃないかというくらいの素晴らしい騙し絵です。いつまで眺めていても飽きない感じでした。(ただこの日は暑かった。)

奥に「婚姻の間」という小さめの部屋があるのですが、そこにはうっとりしてしまうほど美しい人々の姿が描かれていると思えば、ある部分はその上品さが全然なくなってしまっている人々も描かれています。ガイドの人が「あの馬の鼻の描き方なんてまるでマンガです」と言っていました。どうやら元々ベッドの置かれてあった部分の欠けていた壁画を、別のそして低級の画家が手掛けたらしい。いかにも、というほど差が見えます。ある兵士などは、頭がぐるっと180度回転してしまっているように胴部分と頭が釣り合っていない。言われてみると「はあ~まさにそうだ」なのですが、ガイドさんなしでは気がつかなかったでしょう。

そうそうこの「婚姻の間」に入るドアの左の壁に落書きがあるのですが、これは1527年、サッコ・ディ・ローマ(ローマ略奪 説明はこちらをどうぞ)のときに攻めてきたドイツ兵が書き残したものだそうです。(そんな古いものと思わなかった~。)意味は聞いたのに、ド忘れ。思い出したら後で付け足します。

壁画・天井がで埋め尽くされたこのお屋敷は、修復が常にきちんとされてきたお陰で保存状態がいいそうです。そのため、今も写真撮影は絶対禁止のようでした。隠し撮りの勇気もありませんでしたが、堂々撮りのおばさんを一人みかけました。

ガイドツアー、30~40分ほどです。イタリア語中級者以上向けかな。とてもはっきりと話してくれていましたが、やはりかなり難しかったです。私なんて最初、叶わぬ恋の話し辺りで、勝手にアゴスティーノさんが愛人のために建てたお屋敷と勝手な想像をしていたくらいですから。ダ二ィに確認して勝手に話を作っていると呆れられました。こちらは外国語で聞いているんだぞ~、30分以上集中力も持つものかと言い返しました。

このエレガントなルネッサンス様式のお屋敷は、説明がわからなくても美しいお屋敷です。
かなり重いサイトのようでなかなか開けませんが、こちらから画像で見られます。

有名人好きイタリア人

2010-07-10 08:19:38 | ローマの休日
7月5日~10日にローマでFiciton Festというのをやっていました。映画祭のようなものですが、対象がテレビドラマのようです。テレビドラマの一部の上映と製作者や俳優たちのインタビューなどがあります。詳しくはこちら。会場では映画祭のように赤いじゅうたんが敷かれ、ドラマ俳優たちがやってくるのを大勢の人がカメラを構えて待っています。おまけに無料イベント。

ダ二ィが大ファンのRomanzo Criminaleの2作目が発表されるというので、上演は10時半という遅い時間でしたが、行かないわけがないでしょうという反応。会場の近くにはお気に入りのジェラテリアもあって、例のごとく夕飯はジェラート。おいしいからいいんですけどね。日本人的にはちょっともの足りない。

このRomanzo Criminale、原作はGiancarlo De Cataldoという作家の小説です。主人公はローマの犯罪グループで、マフィアのようなものですが、マフィアというのはシチリアのものを指すのだとどこかで聞きました。この犯罪グループは本当に以前存在していたもので、モデルはいたかもしれませんが、ストーリーはあくまで小説です。数年前に映画も製作されて、私も観たのですが、実はよく覚えていません。でも日本で言えばやくざ映画のようなものでしょうか。兄貴分弟分の絆物語のような感じです。そしてそれがテレビドラマ化されて、そのRomanzo Criminale 1 を2年前のFiction Festで見ました。SKYが製作しているため普通のテレビでは見られず、その後ダ二ィはいつも実家に行って見てましたよ。

さて、会場では同時にその他のドラマの上映もやっていて、会場番号の信号が赤の内は中に入れてもらえません。そんなわけで私達も赤じゅうたんの前の方で待っていました。私はイタリアのテレビ俳優たちを良く知っているわけでもなく、有名人なのか係りの人なのかも見分けがつかないくらいで、正直どうでもよかったんですが、中にも入れないのでそこにいました。ところが、だんだんと背後に人が増え、いつしかそこから出られないという状況になっていました。


上の方にもカメラを構えたファン(およびミーハー)たち。


どうもこの人有名人らしい。女の子たちがキャーキャー言って一緒に写真を撮ってもらっていました。写真がボケボケにしか撮れないのでここで撮影は諦め。

Beautifulの俳優だとか、Ballando con le stelleに出てたなあという人も見かけました。有名人でも知らないと、騒いでいる皆さんのように楽しめなくて残念です。それよりも、後ろにいる若い女の子がどんどん押してくるのがストレスでストレスで困りました。満員電車で身動きのできないことをいいことに全体重をかけてよっかかってこられるような、あの不快感。だんだんイライラしてきましたが、文句をつけるとこういう若者はイタリアでも切れるかもしれないし・・・としぶしぶ私の方が少しずつ移動すると、数分後には彼女は一番前の列にちゃっかり陣取っていました。そこでダ二ィにその不満を話すと、文句でも言いそうになったので、「だめだめ、ああいう若者はどういう反応にでるかわからないから、放っておくに限る」と止めました。もっともダニエーレの人相では向こうがビビる可能性もあるのですが、「中国人はこんなところに来るな~」と言われるのが怖い私がいたりして。

10時半の上映とチケットにも書いてあるのに、席に辿りついた時はもう11時を過ぎていました。その後も席の数以上チケットを出したのか、それともどさくさに紛れて他のものを見に来た人も入って来ているのか、席のない人々が続出。セキュリティーの規則から立ち見は許されていないとかでごたごたやっている。いつものことですが、どうして主催者側はうまく運営できないんでしょうかね~(呆)。

このRomanzo Criminale、ダ二ィだけでなくファンはかなりいるようです。俳優たちが入ってくるとどおっという大歓声が上がりました。私達はそのうちの一人リバノの役を演じている俳優を数日前にトラステベレで見かけました。サインでももらっておけばよかったですね。失敗、失敗。

夏と言えば・・・

2010-07-06 07:58:41 | ローマの平日
暑くて暑くて外出を避ける毎日。頭もぼーっとしてきて、色々なことを忘れます。ついこの間も、家のドアにある二つ鍵穴の一つが鍵を差し込んでも回らないという騒ぎになりました。引っ越してきた当初は両方の鍵をかけて出かけていたのですが、最近では私もダ二ィも一つしか鍵をかけなくなっていました。ふとしたことから、普段使っていない方に鍵を入れてみたら回せない。いつものことながら、すぐにマンマに電話をするダ二ィ。(慣れましたけどね、最初は呆れました。)ドアを取り付けた改装業者に電話してアポをとったりなんだりと、問題があるうちは落ち着いていられないダ二ィで、そういう人と一緒にいると反対に冷めてしまう私。「いつも使っている方が使えるんだから、そんなに焦らなくてもいいんじゃないのぉ」というわけです。

そんなこんなで業者が来ることになった当日、そんなに出費が嫌なのか、ダ二ィは朝からまだ鍵穴と闘っています。ところが、なんと解決しちゃったんですよね。私達、本当にバカ!一つ目の鍵をかけてからでないと、もう一つの鍵はかけられないようにできていたんだった。それなのに二つ目の方にだけ差し込んで、回らん、回らんと騒いでいたんですから。暑さで鍵穴の中が溶けちゃったのかとまで話していたけれど、実は私達の脳の方が溶けて働かなくなっていたのでした。

・・・とこのくらい暑いローマの夏です。こんな時冷たいジェラートはおいしいですね。でもうちはダ二ィがジェラートを夕食にしてしまうような習慣があるので、ジェラートは夏だけでなく一年中のもの、もはや季節感がありません。でも、グラニ―タ(かき氷というか、どちらかというとシャーベットに近いかな)は、私達にも夏の季語です。そこで私達のお気に入りのグラニ―タが食べられるお店をご紹介。ここGelemonyというシチリアンジェラートのお店です。と言っても、ここでお勧めなのはジェラートでなくグラニ―タです。定番のレモンはもちろんのこと、いちご、モモ、スイカ、アーモンド、コーヒー、ピスタチオなど、シロップではなくてその物の材料で作っているのがわかる味です。ダ二ィによると、グラニ―タは伝統的にはシチリアのものだそうで、ジェラートはいまいちだけれど、グラニ―タはシチリアが最高とのこと。本当においしいです。

このお店、併設のMondo Arancinaというお店もArancinaというシチリアのライスコロッケがおいしくて有名です。ローマのライスコロッケ(スップリという)はトマトソースにチーズが入っているという味が定番のようですが、このArancinaは種類も豊富。本当においしいです。ここの切り売りピザも結構いける。

夏と言えば・・・今日冷凍庫にあった最後の冷凍鰻を食べました。実はダ二ィは鰻が大好き。日本で大丈夫かなと半信半疑で連れて行った鰻屋さん。ちょっとお高めの有名店ではありましたが、やはり最初の一回が好きになるか嫌いになるかの分かれ道。というわけで成功成功、その後浜松までわざわざ食べに行くほどに好きになりました。海外へのお土産用に空港でも真空パックの鰻は売っているのですが、一度買ってみたがっかり。色も真っ黒だし、全然おいしくない。そこで実家の近くのデパートの地下食料品街で見つけたのがこのお店「ての字」です。冷凍なのですが、出発ぎりぎりまで冷凍庫に入れておいて、現地についたらすぐにまた冷凍庫に入れるで大丈夫なのです。賞味期限も3カ月ぐらいあります。老舗のお店のようで、冷凍でも結構おいしいですよ。海外への持っていくのにはお勧めと思います。
これで夏バテに対抗する元気が出ました~。やはり食は大事ですね。でも最後の鰻が終わってしまいました。あ~残念。

Gelarmony (2店)
Via Marcantonio Colonna ,34
Via Oderisi da Gubbio, 201

Mondo Arancino(4店):
Via Marcantonio Colonna 38
Via Oderisi da Gubbio 201
Via Tuscolana 1266
Via Flaminia 42/44

ての字:私は玉川高島屋の地下で買いました。

日本の夏@ローマ

2010-07-06 02:42:54 | ローマの休日
7月6日と7日、ローマにUn'isola del Giappone(日本の島)が現れます。日本の映画や音楽そして(何と言っても!)日本食が楽しめるようです。ローマで日本の夏の夜が体験できるなんて、なんだか凄いですね。たった8ユーロですって。詳しくはこちらから。(イタリア語ですが・・・)

私も行こうかなって思っています。でもチケットには限りがあるみたい。

Un'Isola del Giappone
7月6日 19:30~
7月7日 20:00~
場所:ティベリーナ島