あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

今年のパスクワ

2011-04-29 00:33:20 | ローマの休日
パスクワとはイタリア語でイースターのことです。日本語では復活祭ですね。キリストが十字架に架けられて処刑された後に復活したことをお祝いするクリスマスに並ぶ重要な祝日です。キリスト教系の小学校に行っていた頃、イースターと言えばきれいに飾りの描かれた茹で卵をもらうイメージでしたが、イタリアでは同じ卵でも卵型をしたチョコレートを贈るのが習慣のようです。中が空洞になっていて、中にプレゼントが入っているものをプレゼントし合ったりします。スコットランドにいたときはチョコレートエッグやウサギ型チョコでした。アメリカは子供たちが卵探しゲームのようなことするようですね。
写真はダ二ィのマンマからもらった陶器のイースター卵。中に小さいチョコレートエッグが入っていました。

移動祝日のパスクワは今年は4月24日でした。家族第一のイタリアは、何かと家族・親戚の集まりが好き。ところが私はそういうのが大苦手。そんな日本人の奥さまたちは私以外にもかなりいらっしゃるようですけど。というわけで、このパスクワやクリスマスの時期が近づくと、お食事会があるのかなあと気が重くなります。特にプレゼントのストレスのあるクリスマスは出来る限り日本への逃飛行を試みます。

ダ二ィも私が親族会が好きじゃないことはわかっているのですが、行けばマンマが喜ぶと言われれば承諾するしかない。それでも今年はダ二ィの両親と弟さんだけでお昼を一緒に食べるだけで楽に終わりました。パスクワの日は、ローマは子羊の肉を食べます。パスクワのお菓子と言えば、クリスマスの時のパネット―ネのようなお菓子でコロンバというお菓子があります。鳩の形をしているそうですが、私には十字型にしか見えません(笑)。

パスクワはもちろん宗教的な祝日ですが、大半の人々にとっては「パスクワ=食べる」または「パスクワ=日本のゴールデンウィーク」のような感じのようです。パスクワの前には四旬節と言う日曜日を除く40日間(イエスのエルサレム入場から十なの日までの期間)を記念する期間があって、金曜日には肉を食べてはいけないとか、信仰心の強い人は自分の好きなことをしないなどの犠牲を捧げます。ダ二ィパパは毎年大好きなワインを飲まない、夕飯も小食で済ますを続けています。マンマによれば、それで太り気味の体重も減らせるし健康にもいいらしい。そういうマンマの方が体重を減らす必要がありそうなのですが。ダ二ィにも「その期間サッカーを見ないという犠牲をすれば、いいことあるかもよ~」なんて言っているのですが、返事なし。
パスクワまでは、カーニバル、灰の水曜日(ここから四旬節が始まる)、枝の祝日(イタリアではオリーブの枝をもらってくる)など、いろんな行事があるのですが、カトリック国イタリアも宗教的な意味で祝う人がどれだけいるのかは疑問です。

パスクワの前の週にはコンサートなどのイベントがあります。今年はFestival di Pasquaというイベントの中のベネズエラの若者達のオーケストラのコンサートに行ってきました。サン・アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会というプッチーニのオペラ「トスカ」の第一幕のシーンになった教会で行われました。修復がされたばかりで、以前は黒ずんでいた感じですが、なんだかきらびやか過ぎて少々違和感を感じました。でも美しい教会です。


始まる前のリハーサルの様子。一緒に行ったスペイン人の友人の後について行ったら、(気づかずにですが)するするっと関係者入口から入ってしまいました。まだ開場されていなかったのに、堂々と入り込むと何も言われないものですね(笑)

音楽を通して子供たちを教育すると言う"El Sistema"というプロジェクトのオーケストラだそうです。路上生活を余儀なくされた子供たちを犯罪に手を染めることから救い出すために始められたようです。
素晴らしいコンサートでした。





カラカラ浴場

2011-04-21 00:09:43 | モザイク探訪~ローマ~

イタリアに住んで、モザイクアートとの出会いからモザイク作品を見るのが目的に旅行先を決めることが増えました。前からそんな場所の紹介もしたいなと思いつつ、先送り先送りしてましたが、始めてみようと思います。

さて、第一回はカラカラ浴場。文化週間で入場料が無料だったのを利用して、再度行ってきたばかりなのです。本当はガイド付き見学ツアーが目的だったんですけれど、時間の30分前に行ったらもう定員オーバー。「もし予約して来ない人がいたら入れますか」と一応聞いてみましたが(それをしないと後でダ二ィになんで聞かなかったと叱られる)、係り員の人は「無理無理、もし50ユーロくれたらなんとかしてあげてもいいけど」、とお決まりのご返答。

カラカラ浴場は、その名の通り古代ローマ時代にカラカラ帝が作った公衆浴場遺跡です。世界最大級の古代浴場で、ローマ観光の代表的なスポットの一つですよね。夏には野外オペラも開かれることで有名です。場所が場所なので、機会があればオペラに関心のない人でもお薦めです。25ユーロから見られますよ。

今はもちろん遺跡なだけなわけですが、どんなに大きかったかは十分に体感できます。当時は温水・冷水浴場にサウナ、更には体育館や運動場、図書館もあったということです。床のモザイク、壁の美しい大理石、素晴らしい彫像など豪華絢爛の装飾も施されていたようです。温泉好きの私たち日本人にはどんなに素敵な娯楽場だったか想像できますね。

さて、モザイクですが、確かに一部しか残っていません。それでも過ぎてきた年月からすれば凄いことです。

 


なかなかモダンなデザイン。色も鮮やかです。



奥にも続いています。



壁画モザイクもあったようです。



この他にも残っている部分片が見られます。

カラカラ浴場の周囲は、今の時期は野の花もたくさん咲いていて、散歩するのにも最高です。
残念ながら、通常は入場料が要りますが・・・。(6ユーロらしいです。)

カラカラ浴場:最寄り駅は地下鉄B線 Circo Massimo

やっと出来上がりましたが・・・

2011-04-14 01:00:51 | めざせmosaicista!
モザイクの話も随分とご無沙汰していました。

昨日、一つ作品が出来上がりました。小さい作品なのに1年もかけました。というのも最初からあまり気分が乗らない作品だったんですよね。モザイク教室の先生が、毎年初心者以外の生徒にはテーマを与えるのですが、昨年は自然石でなくガラスでできたモザイク片での作品に挑戦しようということになったわけです。私も参加はしましたが、本当は自然石での作品の方が好きで、やはり製作に取り掛かるや否や、思う形に上手くカットすることができないし、材料も高いし、さっさと仕上げて自然石の作品に取りかかっている人を見ると羨ましくなるし・・・と今年に入ってからはかなり投げやりでした。

先生の持っていたカレンダーの中から選んだ題材はこれ。Thierry Onaというフランス人の画家の作品です。私は全く知らなかった画家ですが、インターネットではポスターの販売ページが多くありました。Onaさんのホームページもあります。(こちら



そして私の作品はこちら。仕上がる一歩手前の状態です。全てモザイクを埋め終わってから、セメントで裏から固めるわけですが、どうもその作業をする前の段階の方がまだマシだったので(泣)。



少しは似てますか?絵からコピーをするのはなかなか難しい。

コースの年度末(5月末)に展覧会をするのですが、そのパンフレットに載せてくれると言われていたのですが、先生はもう若くなく目がよく見えてないので、最後の仕上げをしたときに後悔するだろうなあと心配していたのですが、やはり最後のセメント仕上げをしたら、さらに美しくない。先生も今更撤回するわけにもいかないと思ったのでしょうが、他の上手な作品と共に載せられる私も恥ずかしい。

それでも一つの作品が仕上がるのはそれなりの喜びはあるものです。去年は展覧会に出品するものがなかったので、つまらなかったのですが、今年は少し楽しめそうです。




そして1ヶ月

2011-04-11 23:04:16 | ローマの平日
今日は4月11日。日本はもう12日になっていますが、イタリアはまだもう少し11日です。

東日本大震災の日から1ヶ月が経ちました。

それなのに今日も震度6という大きな余震のニュースがありました。そしてその後も頻繁な余震。
私が心配しているだろうと反対に心配して「また大きな余震がありました。お母さん達も私達も無事です。でも落ち着かないね」と妹がすぐにくれたメール。日本は私が年末年始に帰省した時とは違ってしまいました。

つい数日前のことのように思えるのに、あの大地震はもう1ヶ月も前のこと。
原発の真相、何を信じていいかわからないこと自体が一番苦しい。わからないから、日本にいる人々はもう1ヶ月も放射線を少づつでも浴び続けているの?本当に大丈夫なの?って思ってしまう。こうしてまたすぐに次の1カ月が経つのでは?
今日はまた新たな避難区域の発表もあったと読んだ。「大丈夫」を信じたくて、こちらの人々の「なんて恐ろしい!」のコメントに腹立ちも覚えたりしたけれど、本心は自分の家族がこちらに避難してきてくれたらどんなにいいかと思っている。

それぞれが自分がどうしたらいいかを考えるしかないらしい。誰かに教えてもらおうと思うのが間違いらしい。でも難題すぎる。

自分でも勉強しようとインターネットで色んなところを見ていたら、今回のことで多くの人が思いだしたらしいこんな曲にいきつきました。有名な忌野清志郎さんのことは知っていましたが、私は音楽界には弱いので、こんな歌があることは知りませんでした。一度聞いて、「本当にそうだ」と涙が出ました。平和ボケの私達日本人は、快適な日常生活がどんなリスクのもとにあるのかが、頭の片隅にもなくなっていましたね。

忌野清志郎 Summer Time Blues




23年前に出た曲だそうですね。現実になってしまいました。

~「日本の原発は安全です」さっぱりわかんねえ、根拠がねえ~
まさに、さっぱりわかんねえ、が苦しい1カ月でした。



第13回イタリア文化週間

2011-04-09 23:04:46 | ローマの休日

                     国立近代美術館

今年も恒例の文化週間(Settimana della Cultura)がやってきました。今年はいつもより少し早めで、4月9日~17日の期間で行われます。この期間イタリア中の国立や市立の美術館・博物館などの多くが無料で見学できます。その他にも文化的なイベント(ガイド付きの見学やコンサート、展示など)も無料で楽しめます。1週間も続くので、かなりお得ですよね。最近イタリアに対する愚痴が増えていましたが、こういう行事が多いのはイタリアの素晴らしいところです。そして見るものも豊富なことも。

私は初日の今日、国立近代美術館の近くでアルバイトをしていたので、今年は近代美術館から始めることに。近代美術館では、今ラファエル前派の画家ロセッティの特別展が開かれています。特別展は別に料金がかかると聞いて、何を考えたか常設展だけを見て帰ることにした馬鹿な私。ロセッティの展覧会が4ユーロ、普通なら近代美術館の入場料8ユーロとの計12ユーロを払って、特別展が見られるわけなので、当然4ユーロだけ支払ってロセッティの特別展を見てくるべきだったわけです。無料無料と思いすぎて、有料と聞いた途端に自動的に頭から排除されてしまいました。頭が回らないのは私だけかもしれませんが、うまく計算しましょう。

上の写真の立派な建物が国立近代美術館です。通りをはさんで蒸気機関車とモダンな電車が写っていますが、これは美術館とは関係がありません。今年はイタリア統一150年記念の年で、その数あるイベントの中の一つの展示のようです。150年の間のイタリアの発展という意味でしょうか。イタリアというと、なんだかコロッセオの時代にまで遡って、大変古い歴史があるんじゃないかって錯覚を覚えてしまいますが、イタリアはいくつもの小国家が集まり、常に分裂状態が続いていて、今から150年前の3月17日にやっと統一を果たしました。

 

文化週間公式サイトはこちらです。(イタリア語ですが・・・)

 


がんばれ日本!

2011-04-09 18:38:40 | ローマの平日

気がついたら昨年の10月からずっとご無沙汰をしていました。もともと「暇で、暇で・・・」とぼやいていたら、友人に「ブログでもかいてみたら」と言われたのをきっかけに書き始めたので、ちょっとしたお仕事をいただいた途端、忙しい気分になり遠ざかってしまいました。それでも3月の初めにシチリアに一週間ほど旅行したのをきっかけに、また旅行ブログでも書こうと張り切っていました。ところがローマに戻ってきた翌日の3月11日、東日本大震災が起こりました。

あの日の朝から2週間は何も手につかなくて、インターネットのNHKニュースから目が離せずにおりました。心が痛むといいますが、信じられないような地震や津波の被害の光景、被災された方々の姿や声は、本当に胸に刺さるようで、心臓のあたりに確かに痛みを感じます。このような形で突然に家族を亡くされた方の苦しみを想像すると涙が出て仕方がありませんでした。

私の家族は東京にいて、幸いにも元気で普通の日常を送ろうとしています。両親はもう十分良い人生を送ってきたから、残りの人生は世間にお返しするのみ、何も恐れるものはないと達観しておりますが、原発の問題が解決せずのまま、二人の小さい娘がいる妹は、普段と変わらぬ日常を続ける中で、風が強い、雨が降るには敏感になり、スーパーでは復興支援の被災地の野菜が並んでいるのに胸を熱くしながらも、食べ物のことは一番気をもむ問題です。「今日は余震が2回で済んでよかったよ」というメールが届きました。東京でそんな毎日だとすれば、被災地の人々は今もどんなに大きな不安の中にいることでしょうか。

今もし日本に住んでいたら、「東北の地震」という感覚になるのかもしれませんが、日本の外から眺めている日本人の方々には、「日本のこと」という感覚かもしれません。そして、外国の人々はもちろん「日本のこと」という感覚で話してきます。外に出れば毎日のように「日本はどうか、家族はどうしてるか」と必ず聞かれます。「うちは東京だから普通に生活している」と話しても、最初のころは「なぜ逃げないのか」と、こんこんと原発の恐ろしさを説明をされたりもしました。心配をしてくださるのは本当に感謝なこと、でも「日本=放射線汚染国」のように言われているようで、3週目には正直苛立ちに変わり始めました。もちろんそんな風に言わせるように導いている外国メディアのせいでもあるんだと思います。

日本人だって原発の恐ろしさを理解している、だからといって仕事も何もかも放って逃げることができるわけもなく、被災地の人々は何もかも失い、そして移動したくてもそれもできずに、原発の近くの避難所で不自由な生活を送っているのに、少しでも運が良かった人々が日常の生活を普段よりも頑張って続けて復興のために尽くそうと思うのが国民として正しいんじゃないの、と答えました。気まずい雰囲気になりました・・・。

それでも、イタリアの人々もたくさん募金をしてくれていたり、「がんばれ、日本!」と書かれたポスターを見かけたりします。チャリティーイベントにも人が集まっています。他の国でもそんな動きが多く見られているようで、それは感動的でとても嬉しいことです。私は今まで他の国で起きている不幸な出来事に無関心だったことを反省させられました。

日本は今桜の美しい季節ですね。縦に長い日本は、桜の時期も場所によりますが、この春小学2年生になった姪から「桜がきれいだよ~」とメールがきました。私たち日本人にとっては共通の春のしるしですね。どうしても桜が見たくなって、日本の桜が見られると聞いていたローマのエウル地区の公園に急いで行ってきました。「日本の散歩道」といった名前の小道が池に沿って作られていて、そこに桜の木が植えられています。残念ながら、ローマはここ一週間ほど半袖の夏日続いていて、懸念通り、桜は終わっておりました。(泣)

桜と言えば入学式。被災地の卒業式や入学式の映像を見ると、どうも目がしらが熱くなります。それでも子供たちの笑顔や歌声は元気を与えてくれますね。これも日本人なら持っている共通の思い出ですね。がんばれ、日本!日本中の人々が皆幸せな気持ちで桜の花を眺められる春が早くきますように。

 

少しだけ残っていてくれたエウルの桜。(ありがとう!)

 

災害で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。そして被災された皆さまには謹んでお見舞い申し上げます。痛みの大きさは計りしれませんが、少しづつでも早く和らいでいかれることを願って。