たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

宙組『白鷺の城』『異人たちのルネサンス』_東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング(3)

2019年02月23日 23時07分24秒 | 宝塚
「ミュージカル・プレイ
『異人たちのルネサンス』—ダ・ヴィンチが描いた記憶—
作・演出/田渕 大輔

万能の天才と謳われながら、その生涯に多くの謎を残すレオナルド・ダ・ヴィンチ。彼の創作の源が、ある女性への愛であったと仮定し、ダ・ヴィンチと彼を取り巻く人々との愛憎を描く。
15世紀のイタリア・フィレンツェ。この街にルネサンス芸術を花開かせた時の統治者ロレンツォ・デ・メディチは、軍事、外交にも優れた手腕を発揮し、ローマ教皇との対立を深めつつあった。若きレオナルド・ダ・ヴィンチも彼の庇護を受ける芸術家の一人。ダ・ヴィンチは依頼された作品の完成も他所に、気ままな創作にかまけてはロレンツォを苛立たせていた。そんな折、彼はロレンツォの愛人カテリーナが幼馴染みである事を知る。同じ庶子という境遇からいつも寄り添い、寂しさを分かち合った二人…だが今、美しく成長した彼女の眼に浮かぶのは、心を閉ざすかのような謎めいた微笑だった。」(歌劇団公式HPより)



「レオナルド・ダ・ヴィンチ

 1452年、イタリアのフィレンツェ近郊のヴィンチ村に生まれました。レオナルド・ダ・ヴィンチとは「ヴィンチ村に生まれたレオナルド」という意味です。13歳頃からフィレンツェで修業をしてから、ミラノで活躍し、43歳の頃に《最後の晩餐》を描きはじめます。48歳でフィレンツェに戻って《モナ・リザ》を描いたのち、64歳の時にフランス国王フランソワ一世に招かれてフランスに行き、67歳で亡くなりました。

画家としてだけではなく、科学・建築・天文学など、さまざまな分野の研究をしました。

あらゆるものを科学的に観察してスケッチに残す、万能の手を持つ人でした。」

(2017年8月-10月そごう美術館レオナルド・ダ・ヴィンチ展ジュニアガイドより)

 プログラムを読むと、田渕先生は、万能ゆえの苦悩を抱えた、一人の人間としてのダ・ヴィンチ像と真風涼帆さんの、トップスターになった12年の歩みが常人には知り得ない苦悩に輝いている姿が重なったところからこの作品のダヴィンチをイメージしたとあります。これは感性ですね。一般的に知られているダヴィンチの自画像は60歳頃と言われているそうなので、若き日のダヴィンチに忘れることのできない女性との出会いがあったと想像する余地があるのは楽しいものです。(美少年だった説もあるような・・・)。ルーブル美術館の『モナ・リザ』との出会いは忘れることができないし、ダ・ヴィンチ展やボッティチェリ展などもみているので興味深く観劇しました。ボッティチェリもヴェロッキオもレオナルドの手稿をもとに創作されたハング・グライダーの模型も登場してふむ、ふむと。

レオナルド・ダ・ヴィンチ(フィレンツェの若き芸術家) 真風涼帆

カテリーナ(レオナルドの幼馴染、ロレンツィオの愛人) 星風まどか

ロレンツィオ・デ・メディチ(メディチ家の当主) 芹香斗亜

ロザンナ(酒場の女将) 美風舞良

フランチェスコ・パッツィ(メディチ家の宿敵。金融業を営む一族の末裔)凛城きら

ジュリアーノ・デ・メディチ(ロレンツィオの弟)桜木みなと

ローマ教皇/ルドヴィコ・スフォルツァ公(ミラノ公) 寿つかさ

クラリーチェ(ロレンツィオの妻) 純矢ちとせ

グイド(フィレンツェ司教) 愛月ひかる

クレディ(ヴェロッキオ工房で働くレオナルドの仕事仲間) 和希そら

 真風さん、男役だけがもつ色気にあふれたレオナルドでした。カテリーナの星風まどかさん、等身大の役が続きましたがこの作品は想いを胸に秘める、儚い大人の女性。まどかさんの眉間にしわを寄せる感じが好きなのですが、幅がひろがり役を通してまた一歩も二歩も成長したかな。メディチ家の三代目の当主ロレンツィオを演じる芹香斗亜さんの冷徹さ、傲慢さ、強引さが素敵でした。カテリーナに迫り脅しにかかる場面とカテリーナが亡くなるとすぐにまた愛人をつくっている場面、表情にぞくっとしました。絵画のように美しく残酷な表情。キキちゃん、歌も演技もさらによくなってきていてすっかり宙組になじみ、生き生きと二番手でしかやれない嫌な奴をやっている姿が嬉しかったりさみしかったり・・・。グイドの愛月ひかるさんはラスプーチンを彷彿とさせる悪役でお似合いでした。夫に愛されていないことを知っているクラリーチェの純矢ちとせさん、レオナルドを慕うサライ少年の天彩峰里さんも印象的。酒場のベリーダンス、カーニバルのトルコダンサーとショー要素としての場面は楽しいものでした。フィナーレでは、真風さんが娘役さんたちをしたがえて踊る場面、キキちゃんを中心とした男役さんの群舞にトップコンビのデュエットダンスと短いながらも充実していました。こういうのをもっとみたかったかな。せっかくそろっている長身の男役さんたちがヴェロッキオ工房の仲間たちっていうのはもったいない。メディチ家を軸にしたストーリーも面白そう。田渕先生、まだまだ若いので今後のオリジナル作品に期待したいところです。

(舞台写真は宝塚ジャーナルよりお借りしています。)











真風さん、プログラムの表紙写真だけでもすごく色っぽくてきれい。ダ・ヴィンチだからペンを左手でもっているのがいいですね。ショー、芝居共になんどかみると味わいのある作品だったのかな。




ご興味があればこちらもお読みください。

2015年4月25日、ボッティチェリとルネサンス_フィレンツェの富と美https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/e76d4f1523efb10a905a57c3d771b4f2

2016年3月21日、ボッティチェリ展
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/cd514ff569589ee9a48e45a2f0153908

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