たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

宙組博多座『黒い瞳』『VIVA! FESTA!』ライブビューイング

2019年02月24日 20時41分16秒 | 宝塚
 今日も現実逃避、連絡を待つ日々、束の間の人生の休日。連絡をもらえたとしても駅から遠くって場所悪すぎて公共交通機関頼みではどうにもならないの通い切れないんじゃないかと、家で誰とも話さずに過ごしながら考えていると気持ち追い詰められてくるし、いつなにがどうなるかわからないのでいけるときにいっておきたい、だってこの世にいる間だけだからと自分に言い訳しながらまたまた映画館へ。最寄りの田んぼの中の巨大ショッピングモールにある映画館は車がないとどうにもならないので、遠いけど駅からすぐ近の映画館へ。とってもいい二本立てでした。

『黒い瞳』、1988年の月組初演をみていますが、『神々の土地』を演じた宙組に今この作品をあててくださったことに感謝したい。キキちゃんのブカチョフを観たい気持ちもありましたが、『神々の土地』でラスプーチンを演じた愛月ひかるさんがブカチョフを演じられることに言葉にならない感慨深いものがあります。時代は違えと帝政ロシアで虐げられてきた最下層の人々の気持ちを代弁した役所というのが共通していて、どちらも実在の人物で情念を燃やす役所。期待どおりでした。

 初演を観たのは、お正月の東京宝塚劇場、当日券で観劇した記憶があります。怪我のため?休演した紫吹淳さんにかわって新人公演でブカチョフを演じた大空祐飛さんが真琴つばさんのニコライと対等にわたりあっていたのを鮮明におぼえていて、もう一度観たいと思っていた作品。敵対する立場にありながら友情をはぐくんだニコライとブカチョフ、ニコライがブカチョフの最期を見届けるという切ない展開も記憶にあります。

 真風涼帆さんのニコライ少尉は白い軍服がよく似合う精悍で麗しい若者ぶりでした。マーシャに出会って詩を詠む場面の可愛いこと。星風まどかちゃんのマーシャはあて書きと思えるほどぴったりでした。お下げ髪とピンク色のドレスと白いもふもふがこの上もなく似合う可憐な娘。同時に捕らえられたニコライが自分を守るため黙秘していることに気づき、ニコライを守るため命をかけてエカテリーナ女帝に会いにいく強い意志をもった娘。やっぱりこういう可愛いまどかちゃんに会えるの嬉しい、大人っぽい役も演じられるようになってきましたが、ここはまどかちゃんと呼びたい。エピローグの雪の精も清らかで可愛いくて天使でした。真風さんは声にすごく艶があって歌えば声量もあるし、生き生きと感情豊かにニコライを演じていました。お二人とも大劇場二作を経て脂がのった充実期にはいってきたと感じました。初々しさを残しつつ、堂々たるトップコンビぶり。

 月組初演は風花舞さんの退団公演でした。風花ちゃん、今も可愛らしいですが可憐さと強さをもった風花ちゃんにマーシャはすごく似合っていました。ダンスの表現力が素晴らしい風花ちゃん。細かいところまで全部記憶しているわけではありませんが、ニコライを救うためペテルブルグを目指すマーシャの姿をダンスで表現する場面。必死に必死に雪の中を走りぬけていく、愛と勇気と祈りの男役さん三人にリフトされる演出、素敵でした。こうだったこうだったと、まどかちゃんのマーシャを観ながら思い出していました。比較はできません。マーシャにニコライが惹かれていくだけの魅力がないと成立しない物語で風花ちゃんもまどかちゃんも素敵なマーシャ。

 そしてやはり柴田先生の脚本は素晴らしいなと思いました。先日オンデマンドで初代ヴァルモンの高嶺ふぶきさんが紅ゆずるさんとの対談で柴田先生の脚本がすごく好きだと話している映像をみました。退団作品で自由に楽しくやらせてもらえたことに感謝していると。今すぐに思い浮かぶところでは、杜けあきさんの退団作品『忠臣蔵』、高嶺ふぶきさんの退団作品『仮面のロマネスク』など、原作あるいは原案があるものを宝塚にあてて脚色し、どうにもならない人間のいとなみを描く力がすごい。(忠臣蔵の数あるエピソードをあますところなくもりこみながら二時間半のミュージカルとしてまとめあげた柴田先生、天才だと今も思っています。)

 『黒い瞳』は恋愛と同時に女性が演じる男同士の友情、親子、夫婦の情愛が描かれています。ブカチョフがニコライに温情を感じてマーシャを救うべく橇を走らせる場面、ブカチョフが処刑される結末を知っているので胸あつでした。ブカチョフのたどり着く先は破滅しかないと諭すニコライと自分のたどり着く先には死しかないとわかっていても立ちどまることはできなくなったブカチョフの友情。自分の部下にならないかと言われて女帝に忠誠を誓う身でそんなことはできないとニコライが語る場面、捕らえられたブカチョフの最期を見届けたいとニコライが語る場面、表情がアップでわかるのがライブビューイングのいいところ。感情を抑えた凛々しい表情でした。マーシャがエカテリーナ女帝にニコライの命ごいをする場面涙がでました。桜木みなとさんが『異人たちのルネサンス』に続いてまどかちゃんに片思いしてふられて嫉妬に狂う役どころ。金髪で反乱軍に寝返ったりマーシャを閉じ込めて結婚をせまったり、いやらしさ満点の見事なくず野郎ぶり。女帝エカテリーナはこの人しかいないという純矢ちとせさん。ニコライ従僕の寿つかささん、マーシャの育ての父のミロノフ大尉の松風輝さん、ミロノフ大尉の妻でマーシャの育ての母の美風舞良さん、コサックの士官蒼羽りくさん、コサック軍の参謀の澄輝さやとさん、表情もそれぞれアップで映し出されて印象的でした。ストーリーテラーの役割をする愛と勇気と祈りの三人のダンスと語りも素敵でした。カメラワーク、よかったですね。コザックのダンスシーン、演出・振付が謝珠栄先生なので難易度が高そうでしたが見事でした。40人ほどなのでプリンシバルキャスト以外は役かけもちで大変だったと思いますが宙組ならではの舞台。長身の男役がそろっているところが生かされていてよかったです。現実を忘れて心が清められたようなひとときでした。

『VIVA FESTA』はソーラン宙組が、まあ様のサヨナラショーでも歌われすっかり宙組の持ち歌になりました。真風さんの出番の長さと多さにトップスターさんの肺活量はどうなっているのかとあらためて感嘆しました。大階段ではなかったですが、長身の男役さんがそろった燕尾服のダンスシーン、いいですね。真風さんの額にはうっすらと汗。そこからさらにデュエットダンス、まどかちゃんのお団子キャップが凝っていたしピンク色のドレスがこれまた素敵。歌もダンスも上手くってオールマイティ。

 とってもいい二本立て。脚本に間違いがないとわかっているので安心して観劇できるのはいいですね、正直・・・。

 終演後そばをいただきながら取り急ぎ、忘れないうちにしたためてみました。明日の予定がないからこんなことしていられるんですけどね、居場所が決まるとそれはそれでほんとにきびしい・・・、と思う・・・。





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