谷川俊太郎/詩、吉村和敏/写真『あさ/朝』の大型本、『あさの絵本』が10年ぶりに重版となったそうです。吉村さんがブログに書かれています。
「あさの絵本」重版・YouTubeの動画
https://kaz-yoshimura.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-f82683.html
わたしは『あさ/朝』を持っています。2011年4月29日付の吉村さんのサイン入り。東日本大震災のあと、不安と恐怖におののきながら池袋で開催された吉村さんの講演会に出向き、終了後のサイン会でサインしてもらいました。プリンス・エドワード島、ケベック、ノバ・スコシアで撮影された美しい東カナダの風景と谷川俊太郎さんの詩。大会社にいくのがつらくてつらくて仕方なかったころの朝、電車の中で開いていました。いつか子どもたちに絵本のよみきかせをしたいというのは数年前からのわたしのささやかな、叶いそうにない夢。
つらいニュース、不安なニュース、心配なニュース、怒りを禁じえないニュース、そして生まれる前からの右足股関節脱臼で緊急性はないものの手術をしないかぎりこの先生きのびていくのはきびしいであろう事実に心が疲れきってしまっています。体がすごく疲れているはずなのに頭と心はさらに疲れてしまっているようです。眠らなければならない時ほど眠ることができず、ウトウト夢をみつづけています。今夜は眠れるように谷川俊太郎さんの詩で一日を終わりたいと思います。
「-朝のリレー-
カムチャツカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭(ちゅうとう)を染める朝陽にウィンクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へ
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴っている
それはあたなの送った朝を
誰かがしっかり受けとめた証拠なのだ」