たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2023年『ルーヴル美術館展-愛を描く』

2023年06月02日 14時52分46秒 | 美術館めぐり

下書き記事をようやく投稿。

2023年5月5日のことですが、何度目かの『ルーヴル美術館展』に行ってきました。前日までキャンセル可能の日時指定券を購入(日時指定券は5月7日で終了)。痛み止めの副作用と寒暖差による体のだるさがひどく4月28日分をキャンセルして予約しなおし。すでに神経をやられている足しびれまくり、杖を使いながら、おそらく悪化してきているであろう変形性膝関節症の末期でどこまで歩けるか不安でしたが、なんとか一年ぶりに新国立美術館を往復することができました。もう無理かなと思いましたが、まだ大丈夫でした。何度か訪れている場所なのでまた帰ってくることができたような感覚。スーパーと銀行と通院以外、外にでることがほとんどなく、人と会うことも話すこともなく、4月4日の東京宝塚劇場以来の遠出でした。平日だと帰りの電車がものすごく混むのであえて祝日。往路は各駅停車、何度も待ち合わせするので2時間近くかかりました。久しぶりにきたない顔をさらしながら六本木という大都会に行ってしまいました。入口の検温も消毒もなく、素顔の方ちらほら、ぼちぼち、1~2割ぐらい?なにも言われなくなったので自分も素顔でとおしました。

何度か腰をかけて休み休みしながら結局三時間ほど、さっとだけでもと思っても入ればやはり時間はかかります。ひとつひとつの作品を辿り直すことはできなくなってしまいました。辿り直したい作品ばかりで全く追いつかず、この世にいる間にやり遂げることはもう無理っぽくなってきました。

とにかく楽しかったです。名前を認識できている画家はドラクロワとグルーズだけでしたがオランダ絵画はフェルメールがきっかけで繰り返しみてきていることもあり懐かしいような感覚になったりもしました。どんどんどんどん生の感覚が失われていく中で、時を超えて絵画と向き合う心震えるひとときはなにものにも替えがたいと再認識しました。こういう時間、人生に必要。こういう時間をもてなくなったら生きていても意味ないなあと思いました。こういう時間をもつことが叶わなくなった時はもういいかな。最後の部屋だけ写真撮影可能でした。

もうルーヴル美術館を訪れることはできないし、飛行機に乗ってはるばるパリまでいってもこれだけの作品を一度にみることはできないのでありがたいかぎりです。ルーヴル美術館のモナ・リザの間にお金を出した日テレが今回もスポンサー。美術館展にはまだ先進国日本の面影があります。

 

30分ほど足休めにエントランスカフェでアップルジュースとお菓子、これで830円はお高いですが渇いた喉においしくしみました。

 

Ⅳ19世紀フランスの牧歌的恋愛とロマン主義の悲劇

作品紹介|【公式】ルーヴル美術館展 愛を描く|日本テレビ (ntv.co.jp)

「西洋には古代以来の歴史を持つ文学ジャンルの一つとして、田園の若い羊飼いや農民の清らかな恋をテーマにした「パストラル(牧歌、田園詩)」があります。そこで語られるのどかな理想世界は、フランスでは17世紀から18世紀にかけて、宮廷社会の規則のなかで生きる上流階級の人々を魅了し、演劇や美術にも主題を提供しました。そして、フランス革命により社会が大きな転換期を迎えた18世紀末から19世紀初めには、手つかずの自然のなかで純朴な若者たちが愛を育むというセンチメンタルな牧歌的恋愛物語が流行します。新古典主義の画家フランソワ・ジェラールの傑作《アモルとプシュケ》では、春の野の花が咲く自然のなかに配された、はかない思春期を思わせる恋人たちの姿に、無垢な愛に対する当時の関心を読みとることができるでしょう。

成熟の途上にある思春期の若者特有の両性具有的な身体は、新古典主義の絵画のなかで、しばしば男性裸体の理想美の表現と結びつけられました。羊飼いの美青年エンデュミオンを主題にしたジロデのエスキースは、この流れを決定づけた重要作品の習作として描かれたものです。またこの時期には、クロード=マリー・デュビュッフの《アポロンとキュパリッソス》のように、古代神話の男性同士の愛を題材にした作品が、かつてなく制作されました。それらには、ロマン主義の特徴である破滅的な愛のテーマが見いだされます。普遍性や理性よりも、個人の主観や感情を重視したロマン主義の芸術家たちは、ピュアで情熱的な、しかし許されない愛で結ばれた恋人たちが不幸な終わりを迎える文学作品―― 神話、ダンテ、シェイクスピア、バイロン―― に着想を得て、悲劇の愛をドラマティックに描き出しました。ドラクロワやアリ・シェフェールの作品には、その典型的な表現が見いだされます。」

 

フランソワ・ジェラール

《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》

1798年油彩/カンヴァス

186×132㎝

(会場で配布されているジュニアガイドより)

「背中の翼に弓矢とくれば・・・、愛の神様アモルです。小さな子どもではなく、若者のすがたで描かれています。アモルのとなりにいるのは、プシュケという人間の王女様です。

プシュケに恋をしたアモルは、自分の宮殿につれて行っていっしょにくらしますが、あるときプシュケがアモルとの約束をやぶったことで、二人ははなればなれになってしまいます。プシュケは一人で旅をしながら、いくつもの試練を乗りこえて、ふたたびアモルと出会い、結婚しました。

この絵が描かれたころのフランスでは、人工的な都市ではなく、自然の風景の中で若者たちが愛を育む純愛物語が、文学や美術で流行していました。

アモルとプシュケのはじめてのキスを描いたこの作品は、ピュアな恋愛にあこがれる人たちの心をつかんだのです。」

テオドール・シャセリオー

《ヘロとアンドロス》、または《詩人とセイレーン》

19世紀第2四半期

エスキース 油彩/カンヴァス

ウジェーヌ・ドラクロワ

《アビドスの花嫁》

1852-1853年頃

油彩/カンヴァス

テオドール・シャセリオー

《ロミオとジュリエット》

1850年頃

エスキース 油彩/カンヴァス

クロード=マリーデュビュッフ

《アポロンとキュバリッソス》

1821年

油彩/カンヴァス

アンヌ=ルイ・ジロデ・ド・ルシー=トリオゾン

《エンデュミオンの眠り》

1791年

エスキース 油彩/カンヴァス

ジャン=バティスト・ルニョー

《友情の杯を交わすヒュメナイオスとアモル》

1820年頃

油彩/紙

アリ・シェフェール

《ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊》

1855年油彩/カンヴァス

171×239㎝

(会場で配布されているジュニアガイドより)

「愛の物語は、いつも幸せな結末とはかぎりません。つらく悲しい恋愛も絵に描かれて、見た人を感動させてきました。

すきではない人と結婚させられたフランチェスカは、夫の弟であるパオロを愛してしまい、おこった夫は二人を刺し殺しました。ゆるされない恋愛をした二人は、死後もずっと地獄をさまようことになります。絵の中の二人は、苦しそうに涙を流しながらも、抱き合ってはなれようとしません。恋人たちの苦悩を描き出したこの絵もまた、「愛」の絵なのです。」

 

 

アモル、英語ではキューピット、

宝塚でよくあるかなあ、最近聞いた気がするなあと思ったら月組のショー『DeepSea』でした。すごい歌詞だ。

「熱狂的なアモール!

 灼熱 熱帯 アモール!

 愛を 愛を 叫ぶ

 アモール」

 

この本に掲載されている《かんぬき》《オダリスク》にも出会えました。

 

カフェからの夜景、

 

 


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