2008年国立西洋美術館『フェルメール展』で出会った「マルタとマリアの家のキリスト」に、2018年上野の森美術館『フェルメール展』にて再会しました。大きな絵でした。
(2008年『フェルメール展』公式カタログより)
「若い頃のフェルメール作品で現存するものはないと思われるなか、本作品は、通常、このたぐいまれな巨匠の初期の頃の作品とされている。彼の作品の大半を占める日常生活の一幕を描いた風俗画とは趣きを異にし、新約聖書を典拠とする宗教主題を、等身大のサイズで大胆な筆使いを用いて描いている。また本作品は、フェルメールの最初の修業の場がデルフトとは別の場であった可能性をも示唆する。1625-1650年頃のデルフトには、クリスティアーン・ファン・カウエンベルフ(1604-1667)など、スケールの大きい色彩豊かな風俗画や物語画を描く画家が1、2人はいたものの、本作品は《取り持ち女》(ドレスデン国立美術館コレクション)などといったほかの初期作品と同様に、フェルメールの義母の遠縁にあたるアブラハム・ブールマールト(1564-1651)やその弟子ヘンドリック・テル・ブシュッヘン(1588-1629)など、ユトレヒトのような都市で活躍する画家らが実践する国際的潮流をフェルメールが見知っていた可能性を示す。とはいうものの、彼らのうちの誰一人として、ピーテル・アールチェン(1509-1575)やヨアヒム・ビューケラール(1530頃-1573)といった16世紀の南ネールランドの画家が頻繁に取り上げていたこの宗教主題に取り組もうとはしなかった。」
(2008年『フェルメール展』公式カタログより)
「若い頃のフェルメール作品で現存するものはないと思われるなか、本作品は、通常、このたぐいまれな巨匠の初期の頃の作品とされている。彼の作品の大半を占める日常生活の一幕を描いた風俗画とは趣きを異にし、新約聖書を典拠とする宗教主題を、等身大のサイズで大胆な筆使いを用いて描いている。また本作品は、フェルメールの最初の修業の場がデルフトとは別の場であった可能性をも示唆する。1625-1650年頃のデルフトには、クリスティアーン・ファン・カウエンベルフ(1604-1667)など、スケールの大きい色彩豊かな風俗画や物語画を描く画家が1、2人はいたものの、本作品は《取り持ち女》(ドレスデン国立美術館コレクション)などといったほかの初期作品と同様に、フェルメールの義母の遠縁にあたるアブラハム・ブールマールト(1564-1651)やその弟子ヘンドリック・テル・ブシュッヘン(1588-1629)など、ユトレヒトのような都市で活躍する画家らが実践する国際的潮流をフェルメールが見知っていた可能性を示す。とはいうものの、彼らのうちの誰一人として、ピーテル・アールチェン(1509-1575)やヨアヒム・ビューケラール(1530頃-1573)といった16世紀の南ネールランドの画家が頻繁に取り上げていたこの宗教主題に取り組もうとはしなかった。」
2018年『フェルメール展』at上野の森美術館
2018年『フェルメール展』_牛乳を注ぐ女