「アンデルセンの童話は、きった・はった・めでたしめでたし、というような調子じゃなくて、人間の心のヒダをていねいに描いているのですね。だから子どもの顔でも、丸くて、かわいくて、というのじゃなくて、かなり複雑なカゲを描かなきゃならないわけです。それが私にはとても面白いのです。
アンデルセンという人は、伝記なんか読むと、ずいぶん矛盾した人だったようですね。それだけに、人間の悲しいことを山ほど知っていたような気がします。
ちひろ・1969年」
「奥様にひきとられ、立派な娘に成長したみなしごのカーレンは、靴屋にあった美しい
赤い靴を一目で気に入りました。
堅信礼の日、赤い靴をはいたカーレンは、うれしくて踊り出しました。
病気の奥様をおいて、ダンスに出かけると、赤い靴は勝手に踊り出し、とまらなくなってしまいました。
赤い靴は、カーレンの足から切り離されてもなお不気味に踊り続けます。
深く反省したカーレンは、祈りの日々を過ごし、やがて、天に昇っていきました。」
(いわさきちひろ絵本美術館編、『ちひろのアンデルセン』講談社、1994年発行より)。
私の手元にあるものは、1985年8月改訂15刷です。
こうして久しぶりに読んでみるとちょっとこわくてゾクっとしてしまう話ですが、
ちひろさんの絵は美しいです。
きっとちひろさんは一つ一つの場面を、いろいろと工夫しながら楽しんで描かれたんだろうなと思います。
長い間忘れていました。絵本は、ペラペラと頁をめくっているだけでもいいものです。
電子媒体では絶対に味わえない、本のにおい。
ちひろさんは、『あかいくつ』の踊る少女の絵をくりかえし描かれたそうです。
アンデルセンという人は、伝記なんか読むと、ずいぶん矛盾した人だったようですね。それだけに、人間の悲しいことを山ほど知っていたような気がします。
ちひろ・1969年」
「奥様にひきとられ、立派な娘に成長したみなしごのカーレンは、靴屋にあった美しい
赤い靴を一目で気に入りました。
堅信礼の日、赤い靴をはいたカーレンは、うれしくて踊り出しました。
病気の奥様をおいて、ダンスに出かけると、赤い靴は勝手に踊り出し、とまらなくなってしまいました。
赤い靴は、カーレンの足から切り離されてもなお不気味に踊り続けます。
深く反省したカーレンは、祈りの日々を過ごし、やがて、天に昇っていきました。」
(いわさきちひろ絵本美術館編、『ちひろのアンデルセン』講談社、1994年発行より)。
私の手元にあるものは、1985年8月改訂15刷です。
こうして久しぶりに読んでみるとちょっとこわくてゾクっとしてしまう話ですが、
ちひろさんの絵は美しいです。
きっとちひろさんは一つ一つの場面を、いろいろと工夫しながら楽しんで描かれたんだろうなと思います。
長い間忘れていました。絵本は、ペラペラと頁をめくっているだけでもいいものです。
電子媒体では絶対に味わえない、本のにおい。
ちひろさんは、『あかいくつ』の踊る少女の絵をくりかえし描かれたそうです。
あかいくつ (いわさきちひろの絵本) | |
アンデルセン,神沢 利子 | |
偕成社 |