岐阜県美術館で開催中のエコール・ド・パリを代表する画家・パスキン展を観賞。
テーブルのリューシーの肖像
生誕130周年を記念して開催中のパスキン展は、パリ市立近代美術館やヨーロッパの個人コレクションを中心に1000点余りに及ぶ油彩画、水彩画、版画などの作品が並ぶ、この地方では大変貴重な展覧会となっています。
パスキンと言えば、透明感のある柔らかな色彩の女性や少女像が特徴ですが、彼の描く女性は、どこか物憂げな姿や哀愁のある表情に惹き込まれます。彼の作品を観賞するほどに、画面の女性たちと彼との愛の語らいが感じれました。
パスキンは、1885年にブルガリアに生まれ、ヨーロッパやアメリカ、アフリカなどを放浪し、挿絵画家として活躍。パリで油彩画を学び、エコール・ド・パリ全盛の時代に成功をおさめ「モンパルナスの王子」の異名で華やかな生活を送っていたパスキン。そして、かつての恋人リュシーとの再会がきっかけとなって45歳で自らの命を絶ちます。その死を悲しんだパリが画廊が葬儀の日に彼を悼み、店を閉めたエピソードがあるほど、パリの人々に愛された画家でした。
その悲しい生涯と共に、彼の作品の中には哀愁の中にあふれる愛が存在し、観る者を魅了するのかもしれません。
※岐阜県美術館は8月24日(日)開催。熊本県立美術館で10月30日~翌年1月12日まで。