映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、性別を超えた世紀の一戦に挑んだ女子プロテニスプレヤー、ビリー・ジーンの闘いを描いた作品「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」です。
女子プロテニスプレイヤーとして1970年代に活躍したビリー・ジーン・キング。彼女は、プロ選手として男女の賞金格差に対して挑み、全米女子プロテニス協会を設立、現在の女子選手の地位向上に貢献したパイオニアとして、また後に同性愛者であることを告白し、性的マイノリティーの人たちのために戦ったことでも知られています。
今回の作品は、そうしたキングの人生の一端を女と男の歴史的テニスマッチと彼女の前に現れた新たなパートナーとの出会いの男女差別と性的マイノリティーの運動へと向かう二つの側面で描いています。
キングを演じるのはエマ・ストーン。当時の強いキングのイメージからは程遠い存在ですが、当時の背景を忠実に描くことで次第に、役柄が似通っていくように感じました。一方の対戦相手となった元世界王者のボビー・リッグスですが、道化を演じながらギャンブル依存症による家庭問題に加え、シニア選手としての地位の低さをキングと同じく抱えているように感じました。そんな苦悩を演じるスティーヴ・カレルは見事でした。
さて、この一戦が実現したのも表向きの男女差別とは別に、お互いの抱える心の問題への自己挑戦のように思えました。どこか滑稽でさえあるアメリカの現代史の一コマに笑いと感動を生み出していく。そんな魅力を持った作品です。