映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。ドキュメンタリー作品の2本をまとめて紹介します。
1本は、2009年のカンヌ映画祭に出品された「ふたりのヌーヴェルヴァーグ・ゴダールとトリュフォー」を。
映画界に革命を起こした二人の青年、ゴダールとトリュフォー。後にヌーヴェルヴァーグとしてフランス映画に旋風を巻き起こしました。
彼等の作品と二人のインタビューや出演者たちの証言を通して、ヌーヴェルヴァーグの全貌を明らかにしていきます。
映画のワンカットを観ているだけでも、彼等がおこした革命のすごさが伝わってきます。ゴダールとトリュフォーの友情と確執と別離も織り交ぜながら、二人の生き様も興味深い作品でした。
感情的で攻撃的なゴダールが、政治色の強い作品を生み出していく中で、情緒的で平和主義的な傾向にあるトリュフォーは、映画を愛し、内面を追求していく作品を作り出していく。異なる作品の対照的に紹介されるのところが、ドキュメンタリーの良さです。
そいて、二人のライバル関係は、過去の生き様と性格に反映されていることを感じました。
2本目は、ナチスとユダヤ人を役者であり、監督でもあった一人のユダヤ人、クルト・ゲロンを通して描いた異色作品「ナチス、偽りの楽園」です。
ナチス・ドイツの行ったユダヤ人迫害で、思い浮かぶのはアウシュヴィッツ収容所ですが、他にも収容所が存在し、そこでも大量虐殺が行われた事実を知りました。
また、当初はユダヤ人の中に特権ユダヤ人が存在し、ゲロンは、その一人で、ハリウッドに招聘されながら、ファーストチケットの航空券で無いことで、招聘を断ってしまいます。
そのことで、彼の運命が一変し、ナチスのプロパガンタに利用され、最後にアウシュヴィッツで処刑されてしまいます。
一人の才能ある人間が、運命に翻弄されてしまう。差別と独裁による歴史上の最も残酷な運命が、一人の男を通して描き出されてたところが興味深い作品でした。