先日、岐阜県現代陶芸美術館で開催中の「フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア」を観賞しました。会場は、同時開催のマリメッコスプリッツの展覧会もあり、女性ファンもかなりの数でした。マリメッコスピリッツは次回紹介するとして、今回は未知の世界であったフィンランド陶芸を紹介します。
昨今の北欧ブームもあってか、フィンランド文化と共に調度品や家具なども注目されていますが、フィンランド陶芸に関しては、まだまだ知られていないように感じます。僕もフィンランド陶芸関しては、ブランドしてのイッタラやアラビア製陶所を思い出すぐらいで、ほぼ知識ゼロでした。
今回の出品作品は、アラビア製陶所で雇われていたデザイナー作品を中心ですが、どの作品も西洋や東洋の陶芸文化を取り入れながら、その主張はどこか控えめです。しかしながら、どの作品も独創的で文化の昇華具合がとても心地よく、眺めていると心地よさを感じます。そうしたディテールが花器や食器などに生かされ実用的で生活を豊かにする要素をもっているように思いました。
そうしたデザイナーの独創的な作品も当時は一般には受け入れがたかったようですが、今の時代に通じるデザインは普遍的で現在の北欧ブームの礎的存在に思いました。
今回の展示は、フィンランド陶磁器やガラス作品の世界的コレクターであるキュオスティ・カッコネン氏のコレクションを中心に構成されています。また、フィンランドの黄金期を築いたブリュック陶板作品は、芸術作品として評価も高く、ネット販売で北欧文化を牽引する名古屋のスコープさんのカイピアイネンによるビーズバードのシリーズにも注目です。そのユニークで複雑な造形には目を見張ります。
あまり馴染みのない展覧会だけに、フィンランドの陶芸文化を知る上で貴重な展覧会です。北欧スタイルが好きな方に必見の展覧会だと思います。ぜひ足を運んでください。