映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は詩人で気鋭の監督・園子温の「ヒミズ」です。
原作は、ギャグコミック作品で人気のあった稲中卓球部の古谷実が、ギャグを封印して挑んだ問題作品で、園子温監督により待望の映画化となりました。
映画ヒミズは、東日本大震災後のある町で、クズの親を男女の中学生を中心に繰り広げられる、力のうずまく愛憎劇です。
男子中学生の住田は、アル中で暴力をふるう父親と男と一緒に失踪する母親を持ち、ボート屋と震災で家を失ったホームレスたちをボート屋のある土地を無償で提供しています。
クラスメートの女子、茶沢も父親の破産をきっかけに、母親のギャンブルと暴力に怯えながら、哲学的な言葉を発する住田に恋焦がれています。
住田の父親の借金返済の手助けをしようとした、思いもしない事件に巻き込まれるホームレスの男、ついに父親を殺害してしまう住田。そして、住田の力になろうと、奔走する茶沢。そして、住田と関わっていく人々と事件。
今の社会の矛盾と住田と茶沢の純粋無垢な姿が交錯しながら、ラストへと疾走していく。息のつけない作品です。
住田役の染谷将太と茶沢役の二階堂ふみの演技にも注目してみてください。俳優の個性を最大限に導き出す園子温監督の手腕により眩しいまでの輝きを放っています。