映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ジョナサン・プライスとグレン・ローズが夫婦役で共演した心理サスペンス作品「天才作家の妻 -40年目の真実-」です。
物語は、ノーベル賞を受賞した夫のジョセフと彼を支える妻のジョーン。二人だけが知る40年間にわたる隠された真実。その真実を暴こうとする記者の登場により、二人の間にさざ波が立ち始めます。真実を明らかにすべきか葛藤する妻、そんな彼女に気付かず、滞在先で身勝手な行動をとる夫、天才作家の父を疎ましく思う作家志望の息子。三者三様の心の機微がくり広げられ、授賞式を迎えます。
この作品のタイトルを知れば、たいていの方は、二人に隠された真実に気づくと思います。そんな、気づきを徐々に明らかにしていくのですが、最後の最後まで、その事実は明かされないまま進みます。そんな内容ゆえに、本来はもどかしさだけを感じるものですが、ビョルン・ルンゲ監督の演出とジョナサンとグレンの重厚な演技が、見事に支えあって飽きさせません。
心理サスペンスの触れ込みがあった本作でしたが、二人の演技がどこか舞台を観てるように思え、二人の感情のメリハリとセリフを通じての表現が素晴らしく人間的なドラマが強調されたすばらしい作品でした。