今までにない手法で描いた話題作「6才のボクが、大人になるまで。 」を観賞
この映画は、タイトルの通り6才の少年が18才になるまでの12年間の家族の記録を映像化したものです。こう言えば、ドキュメンタリ作品と思う人も多いと思います。実は、この映画は12年間わたり4人の俳優が演じたフィクション作品で、そこが未だかつてない手法でとられています。
こんな斬新な映像を作り上げたのは本作を含めベルリン映画祭で2度の銀熊賞(監督賞)を受賞したリチャード・リンクレイター。6才の主人公メイソンを演じるエラ・コルトレーンはオーディションにより選ばれ彼の12年間の人生を投影するように送りナチュラルな演技力が印象的。姉役のローレライ・リンクレイターは監督の娘で弟のメイソンとは好対照な性格でこの作品のスパイス的な存在。そして二人の父と母を演じるのはすでに俳優としての成功を収めてきたイーサン・ホークとパトリシア・アークレットが演じています。二人がこの作品に傾けた情熱をひしひしと感じました。
物語は父と母の離婚の中で引越しを繰り返す姉弟の心模様と仕事と育児の両立の中で二度の離婚を経験しシングルマザーとしてたくましく生きる母と子供たちに深い愛情を持ちながら、夢と現実の中で葛藤する父の姿を淡々と描いています。そして12年間の年月の中で起こる社会の変化とアップルをモデルに流れるサブカルチャーが、主人公のメイソンに成長と共に関わって2時間40分を超える時間を忘れさせるほど、家族の人生と関わる人々のように見守っているような感覚を持ちました。