妄想による愉快な国際時事ネタ解釈
四生の盲者日記
セーフガード
あらすじ
1. 日本がシータケ、ねぎ、タタミオモテ産業(百姓)保護の為に緊急輸入制限を発動。
2.中国は筋を通さなければならない(体面上)ので、日本製品(自動車、携帯電話、空調機機)に100%の特別関税を報復課税。
3.そこんところが理解できない日本のマスコミは例によってから騒ぎ。
小泉首相お得意のタイムリーなコメントのおかげか、日本のマスコミは意外に冷静なのが印象的、自動車屋はライン止めたらしいけど。
それにしても、中国の課税対象品の設定は絶妙、自分とこも相手んとこも大して痛くないものばっかり選別した上で、筋はしっかり通してる。
とか感心していたら、そのような中国人の習性をおそらくは理解していないであろう偉い人たちが中国の真似をして筋通そうとしたのか「報復関税はルール違反だ。」などと誤解を招くような事を言い出したから、または彼らの口を借りてマスコミが書き立てたから、事態が面白くなってきた。
1.経済産業省の言い分
(前略)
平沼経済産業相は、中国の報復措置に対し、「農産品への関税割り当ては、WTO(世界貿易機関)のルールに則ってやっており、国内法にも照らして、慎重に、厳重に決めた。これに対する報復は、WTO上認められていない。はなはだ遺憾だ」と述べた。
しかし、同相は、「日中関係は、重要な関係で、一日も早く協議を進めていきたい。まず協議を始めたいが、具体的な日程は、決まっていない」と述べた。
また、報復の原因とされるネギ、シイタケ、畳表へのセーフガード(緊急輸入制限措置)暫定発動については、「WTOルールに則って決めた。(発動)撤回は、今考えていない」と述べた。
(後略)
[ロイター2001年6月22日]
2.経団連(今回の騒ぎで困る人たちの会長さん)の言い分
今井敬経団連会長は22日、日本のセーフガード(緊急輸入制限)に対する中国の報復措置について、「世界貿易機関(WTO)のルールに反し、大変遺憾」とした上で、「両国の経済は相互補完関係にあり、冷静に話し合ってほしい」と双方の政府に注文した。
セーフガードそのものに関しては、「自由貿易の立場から望ましくない」としたが、「(今回の暫定発動は)政府が慎重に判断したもので、いますぐ取り下げるという問題ではない」と述べた。[時事通信社2001年6月22日]
3.農林水産省(今回の騒ぎの元凶)の言い分
武部勤農相は二十三日、鹿児島市内で講演し、中国産農産物への緊急輸入制限(セーフガード)暫定措置に対する中国側の報復関税について「貿易協定上、日本にだけ特別関税を課すことはできないはずで、ルール違反も甚だしい」と厳しく批判した。
農相は日本の措置について「世界貿易機関(WTO)のルールに従ってやっている」と説明。「中国はWTOに未加盟だが、加盟後だったら、あんな対抗措置は勝手にできない」と述べた。
(後略)
[西日本新聞2001年06月24日]
しかしなんか、記事を読んだ限り、皆様WTOを錦旗にしてますけど、なんか勘違いしてませんか?だってWTOにまだ加盟してないじゃん、中国。武部センセイなんか「加盟後だったら、あんな対抗措置は勝手にできない」って、確信犯といおうかなんといおうか。まあ、文脈上武部センセイがいってるルールは「貿易協定上のルール」らしいから、ぎりぎりセーフ!。
今回の騒ぎは特にその傾向(マスコミの情報操作)が強いような気がします。全体的にトーン低いですけど。
日本の偉い人たちの発言(の新聞記事)が遠慮がちだろうと、当然、中国は大真面目に噛付いてきますわなあ、あの人達は体面一番ですけん。↓
4.対外貿易経済協力省の言い分
中国の対外貿易経済協力省が主管する日刊紙・国際商報は27日、ネギなど農産物3品目に対する日本のセーフガード(緊急輸入制限)発動は「世界貿易機関(WTO)ルールへの違反」とする同省当局者の見解を一面トップで伝えた。
中国はセーフガードをめぐる日中交渉で同様の主張を展開してきたが、これほど明確に掲げたのは初めて。中国が報復措置として発動した日本製自動車などへの特別関税について、日本側が「WTOルール違反」と批判したことに反撃したものとみられる。
[時事通信社]
体面一番は分かるんですけど、なんか勘違いしてませんか?だってWTOにまだ加盟してないじゃん、お前ら。反論の論拠がずれてきてるって。それにしても「反撃」ってなんだ?時事?
したら、まあナショナリズムが横溢した国ですから、妙に力みかえった記事も出てきます。↓
5.大衆紙の言い分
大衆紙の北京青年報は「日本はようやく痛みを感じた」と題する評論を掲載。「日本は貿易戦争を芽の段階で摘み取る機会を逸した」と指摘し、日本政府が農産物の緊急輸入制限発動を撤回しないことを批判した。
[西日本新聞2001年06月24日]
別に、痛くねえって。あとねえ、「貿易戦争」って変な言葉もうやめません。正式に宣戦布告しなきゃ国際法上戦争じゃないんですから。今の日本国憲法で一体誰が他国からの宣戦布告書を受け取れるの。中国語で「Mao Yi Zhan Zheng」って書いてあったからそのまま「貿易戦争」って訳したんでしょうけど。「貿易問題」ぐらいに意訳しても罰は・・・あたるかしらん。
まあ、戦後教育受けた日本人にいってもしょうがないんですけど。
時系列順に今度の騒ぎをまとめてみた。
2001年4月23日 セーフガード発動(200日限定 11月8日解除)
2001年5月22日 中国日本送り木箱検疫強化
2001年6月04日 日中協議
2001年6月18日 中国政府 報復課税を発表
2001年6月22日 中国政府 報復課税を発動
2001年6月22日 平沼経済産業相談話
2001年6月22日 今井敬経団連会長談話
2001年6月22日 小泉首相談話
2001年6月23日 武部勤農相談話
2001年6月27日 対外貿易経済協力省反論
2001年6月28日 中国向け自動車ライン停止
日本のセーフガード発動から、約2ヶ月中国は木箱の検疫強化以外なにもしてない。うーむよく分からん、やはりWTOに加盟してない悲しさなのだろうか?したって、中国と日本は貿易協定結んでるんだからそっちから折衝してけばいいじゃん。それともあれかなあ、これまで日中貿易協定というルールに基づいてゲームしてきたのに、日本が突然WTOルールを持ち出してきたから戸惑ったのかもしらんなあ。
日中貿易協定に、セーフガードに類する取り決めがあるかどうかは知らん。まあ、アメリカもそうだけど、中国も自分勝手な国だから(国家は全てそうです)自分に都合のいいようにって解釈すっからね。
武部センセイじゃないけど、だからWTOに加盟させんといかんのだろうなあ。
とか思っていたらなんかすごい記事がでてきた。↓
6.毎日新聞
中国を脱出、米国への政治亡命を求めている中国人警察医が27日、米下院外交委員会で証言し、中国当局が処刑した死刑囚の遺体から腎臓(じんぞう)などの臓器と皮膚を摘出、移植を希望する国内外の患者に高値で売りさばいていると告発した。
この告発を重視した下院の共和党議員団は同日、臓器・皮膚移植の研究を目的とする中国人医師へのビザ発給および米国への入国を禁じる法案を提出した。
衝撃的な証言はワシントン・ポスト紙やCNNテレビなども大々的に取り上げており、米国では今後市民の反中国感情が高まりそうだ。
証言したのは、天津市の軍警察病院でやけど治療を専門に行っていた王国斉医師(38)。
王氏によると、この病院では処刑が行われるたびに医師が刑場に出向いて救急車で待機、銃殺された直後の遺体から臓器や皮膚を摘出していた。腎臓は少なくとも一つ1万5000ドル(約190万円)で売却されており、王氏は100以上の遺体からの臓器摘出に携わったという。
しかし、絶命前の体から摘出した例もあったことから、次第に罪悪感を募らせた王氏は、今年になって偽造旅券を購入、亡命目的で米国への団体旅行に参加した。
王氏を支援している中国系米国人の人権活動家、ハリー・ウー氏は27日、中国で大量に行われている死刑(98年に1769人)の大半について、当局による組織的な臓器摘出・売却が行われている可能性が高いと指摘した。
[毎日新聞2001年6月29日]
亡命者がいった事の新聞記事だから、どこまで本当か知らんけど。WTOに臓器売買をどうこうする(できる)項目あったか?
んな、体を切り売りできるほど国民がいる(=人間の価値が安い=人件費が安い)国で作る椎茸やら葱やらと、世界一人件費が高い日本で作る椎茸やら葱やらとじゃ手間が同じだったら絶対勝てっこねえじゃん、ロボットにでもやらせない限り(ロボットでも、減価償却費が安くないと駄目だぞ)。
臓器売買はいいとして、日本/中国政府とも今回のセーフガード/報復関税の落とし所を考えているのであろうか?半世紀前だったら立派な開戦理由ですぜ。
まあねえ、200日限定だからほっといてもなあなあになるんだろうけど、それはそれでアジア的な風景ではありますな。
蛇足だが、この先ロボットがよくなってきて、人間並みの作業が「安く」できるようになったら、この手の安価な人件費を売り物にしてる国家はどうなるんだろうね?ロボット差別とか古典SFっぽい事も実際に発生すんのかなあ。その頃まで生きてみてえなあ。
1. 日本がシータケ、ねぎ、タタミオモテ産業(百姓)保護の為に緊急輸入制限を発動。
2.中国は筋を通さなければならない(体面上)ので、日本製品(自動車、携帯電話、空調機機)に100%の特別関税を報復課税。
3.そこんところが理解できない日本のマスコミは例によってから騒ぎ。
小泉首相お得意のタイムリーなコメントのおかげか、日本のマスコミは意外に冷静なのが印象的、自動車屋はライン止めたらしいけど。
それにしても、中国の課税対象品の設定は絶妙、自分とこも相手んとこも大して痛くないものばっかり選別した上で、筋はしっかり通してる。
とか感心していたら、そのような中国人の習性をおそらくは理解していないであろう偉い人たちが中国の真似をして筋通そうとしたのか「報復関税はルール違反だ。」などと誤解を招くような事を言い出したから、または彼らの口を借りてマスコミが書き立てたから、事態が面白くなってきた。
1.経済産業省の言い分
(前略)
平沼経済産業相は、中国の報復措置に対し、「農産品への関税割り当ては、WTO(世界貿易機関)のルールに則ってやっており、国内法にも照らして、慎重に、厳重に決めた。これに対する報復は、WTO上認められていない。はなはだ遺憾だ」と述べた。
しかし、同相は、「日中関係は、重要な関係で、一日も早く協議を進めていきたい。まず協議を始めたいが、具体的な日程は、決まっていない」と述べた。
また、報復の原因とされるネギ、シイタケ、畳表へのセーフガード(緊急輸入制限措置)暫定発動については、「WTOルールに則って決めた。(発動)撤回は、今考えていない」と述べた。
(後略)
[ロイター2001年6月22日]
2.経団連(今回の騒ぎで困る人たちの会長さん)の言い分
今井敬経団連会長は22日、日本のセーフガード(緊急輸入制限)に対する中国の報復措置について、「世界貿易機関(WTO)のルールに反し、大変遺憾」とした上で、「両国の経済は相互補完関係にあり、冷静に話し合ってほしい」と双方の政府に注文した。
セーフガードそのものに関しては、「自由貿易の立場から望ましくない」としたが、「(今回の暫定発動は)政府が慎重に判断したもので、いますぐ取り下げるという問題ではない」と述べた。[時事通信社2001年6月22日]
3.農林水産省(今回の騒ぎの元凶)の言い分
武部勤農相は二十三日、鹿児島市内で講演し、中国産農産物への緊急輸入制限(セーフガード)暫定措置に対する中国側の報復関税について「貿易協定上、日本にだけ特別関税を課すことはできないはずで、ルール違反も甚だしい」と厳しく批判した。
農相は日本の措置について「世界貿易機関(WTO)のルールに従ってやっている」と説明。「中国はWTOに未加盟だが、加盟後だったら、あんな対抗措置は勝手にできない」と述べた。
(後略)
[西日本新聞2001年06月24日]
しかしなんか、記事を読んだ限り、皆様WTOを錦旗にしてますけど、なんか勘違いしてませんか?だってWTOにまだ加盟してないじゃん、中国。武部センセイなんか「加盟後だったら、あんな対抗措置は勝手にできない」って、確信犯といおうかなんといおうか。まあ、文脈上武部センセイがいってるルールは「貿易協定上のルール」らしいから、ぎりぎりセーフ!。
今回の騒ぎは特にその傾向(マスコミの情報操作)が強いような気がします。全体的にトーン低いですけど。
日本の偉い人たちの発言(の新聞記事)が遠慮がちだろうと、当然、中国は大真面目に噛付いてきますわなあ、あの人達は体面一番ですけん。↓
4.対外貿易経済協力省の言い分
中国の対外貿易経済協力省が主管する日刊紙・国際商報は27日、ネギなど農産物3品目に対する日本のセーフガード(緊急輸入制限)発動は「世界貿易機関(WTO)ルールへの違反」とする同省当局者の見解を一面トップで伝えた。
中国はセーフガードをめぐる日中交渉で同様の主張を展開してきたが、これほど明確に掲げたのは初めて。中国が報復措置として発動した日本製自動車などへの特別関税について、日本側が「WTOルール違反」と批判したことに反撃したものとみられる。
[時事通信社]
体面一番は分かるんですけど、なんか勘違いしてませんか?だってWTOにまだ加盟してないじゃん、お前ら。反論の論拠がずれてきてるって。それにしても「反撃」ってなんだ?時事?
したら、まあナショナリズムが横溢した国ですから、妙に力みかえった記事も出てきます。↓
5.大衆紙の言い分
大衆紙の北京青年報は「日本はようやく痛みを感じた」と題する評論を掲載。「日本は貿易戦争を芽の段階で摘み取る機会を逸した」と指摘し、日本政府が農産物の緊急輸入制限発動を撤回しないことを批判した。
[西日本新聞2001年06月24日]
別に、痛くねえって。あとねえ、「貿易戦争」って変な言葉もうやめません。正式に宣戦布告しなきゃ国際法上戦争じゃないんですから。今の日本国憲法で一体誰が他国からの宣戦布告書を受け取れるの。中国語で「Mao Yi Zhan Zheng」って書いてあったからそのまま「貿易戦争」って訳したんでしょうけど。「貿易問題」ぐらいに意訳しても罰は・・・あたるかしらん。
まあ、戦後教育受けた日本人にいってもしょうがないんですけど。
時系列順に今度の騒ぎをまとめてみた。
2001年4月23日 セーフガード発動(200日限定 11月8日解除)
2001年5月22日 中国日本送り木箱検疫強化
2001年6月04日 日中協議
2001年6月18日 中国政府 報復課税を発表
2001年6月22日 中国政府 報復課税を発動
2001年6月22日 平沼経済産業相談話
2001年6月22日 今井敬経団連会長談話
2001年6月22日 小泉首相談話
2001年6月23日 武部勤農相談話
2001年6月27日 対外貿易経済協力省反論
2001年6月28日 中国向け自動車ライン停止
日本のセーフガード発動から、約2ヶ月中国は木箱の検疫強化以外なにもしてない。うーむよく分からん、やはりWTOに加盟してない悲しさなのだろうか?したって、中国と日本は貿易協定結んでるんだからそっちから折衝してけばいいじゃん。それともあれかなあ、これまで日中貿易協定というルールに基づいてゲームしてきたのに、日本が突然WTOルールを持ち出してきたから戸惑ったのかもしらんなあ。
日中貿易協定に、セーフガードに類する取り決めがあるかどうかは知らん。まあ、アメリカもそうだけど、中国も自分勝手な国だから(国家は全てそうです)自分に都合のいいようにって解釈すっからね。
武部センセイじゃないけど、だからWTOに加盟させんといかんのだろうなあ。
とか思っていたらなんかすごい記事がでてきた。↓
6.毎日新聞
中国を脱出、米国への政治亡命を求めている中国人警察医が27日、米下院外交委員会で証言し、中国当局が処刑した死刑囚の遺体から腎臓(じんぞう)などの臓器と皮膚を摘出、移植を希望する国内外の患者に高値で売りさばいていると告発した。
この告発を重視した下院の共和党議員団は同日、臓器・皮膚移植の研究を目的とする中国人医師へのビザ発給および米国への入国を禁じる法案を提出した。
衝撃的な証言はワシントン・ポスト紙やCNNテレビなども大々的に取り上げており、米国では今後市民の反中国感情が高まりそうだ。
証言したのは、天津市の軍警察病院でやけど治療を専門に行っていた王国斉医師(38)。
王氏によると、この病院では処刑が行われるたびに医師が刑場に出向いて救急車で待機、銃殺された直後の遺体から臓器や皮膚を摘出していた。腎臓は少なくとも一つ1万5000ドル(約190万円)で売却されており、王氏は100以上の遺体からの臓器摘出に携わったという。
しかし、絶命前の体から摘出した例もあったことから、次第に罪悪感を募らせた王氏は、今年になって偽造旅券を購入、亡命目的で米国への団体旅行に参加した。
王氏を支援している中国系米国人の人権活動家、ハリー・ウー氏は27日、中国で大量に行われている死刑(98年に1769人)の大半について、当局による組織的な臓器摘出・売却が行われている可能性が高いと指摘した。
[毎日新聞2001年6月29日]
亡命者がいった事の新聞記事だから、どこまで本当か知らんけど。WTOに臓器売買をどうこうする(できる)項目あったか?
んな、体を切り売りできるほど国民がいる(=人間の価値が安い=人件費が安い)国で作る椎茸やら葱やらと、世界一人件費が高い日本で作る椎茸やら葱やらとじゃ手間が同じだったら絶対勝てっこねえじゃん、ロボットにでもやらせない限り(ロボットでも、減価償却費が安くないと駄目だぞ)。
臓器売買はいいとして、日本/中国政府とも今回のセーフガード/報復関税の落とし所を考えているのであろうか?半世紀前だったら立派な開戦理由ですぜ。
まあねえ、200日限定だからほっといてもなあなあになるんだろうけど、それはそれでアジア的な風景ではありますな。
蛇足だが、この先ロボットがよくなってきて、人間並みの作業が「安く」できるようになったら、この手の安価な人件費を売り物にしてる国家はどうなるんだろうね?ロボット差別とか古典SFっぽい事も実際に発生すんのかなあ。その頃まで生きてみてえなあ。
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