路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説②】:裁判官を罷免 重責担っている自覚を欠いた

2024-04-09 05:01:20 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・再審請求)、刑法39条】

【社説②】:裁判官を罷免 重責担っている自覚を欠いた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:裁判官を罷免 重責担っている自覚を欠いた

 国民の信頼が欠かせない裁判官が、SNSで犯罪被害者の遺族らを傷つける発言を繰り返した。職責の重さを自覚しない行為だと言う他ない。

 SNSへの不適切な投稿で殺人事件の遺族を傷つけたなどとして 罷免ひめん を求めて訴追された岡口基一仙台高裁判事の 弾劾だんがい 裁判で、国会の裁判官弾劾裁判所は、岡口氏を罷免する判決を言い渡した。

 岡口氏は2017年、東京都で起きた女子高生殺害事件を巡り、事件をちゃかすような内容をSNSに投稿した。その後も、自分が担当していない裁判に関する書き込みを繰り返した。

 裁判所からは厳重注意や戒告の処分を受けたが、発信をやめなかった。判決は、これらの投稿について、「遺族や被害者の尊厳を傷つけたことは否定できず、岡口氏の行為は極めて軽率だと言わざるを得ない」などと指摘した。

 1947年の制度開始以降、罷免された裁判官は8人目で、多くは犯罪行為などが問題になったケースだ。岡口氏は刑事責任を問われたわけではないが、判決は、一連の行動が裁判官として看過できないと判断したのだろう。

 裁判官は憲法の規定で、心身の不調を除き、弾劾裁判によらなければ罷免されないとされる。裁判官の身分が厚く保障されているのは、公正な裁判を実現し、司法への国民の信頼を得るためだ。

 岡口氏の投稿は品位を欠き、こうした理念を ないがし ろにした。人の心を傷つけるような言葉を軽々しく発信し続ける裁判官に、重要な裁判を任せたいと思う人がいるだろうか。罷免は、自らが招いた必然の帰結だと言えよう。

 岡口氏は、法律書を数多く執筆しており、SNSの読者も3万人を超える影響力を持っていた。遺族らが、殺害された娘を多くの人の前で侮辱されたと感じ、心痛を覚えたのも無理はない。

 今回、弾劾裁判で初めてSNSへの書き込みが訴追の対象になった。憲法が保障する「表現の自由」が制限されかねないと、罷免に反対する声も上がっていた。

 表現の自由は尊重されねばならないが、こうした自由や権利は憲法で「 濫用らんよう してはならない」(12条)とされている。何を書き込んでもいいわけではない。まして、他人を傷つけるような内容が認められないことは論を  たない。

 特に裁判官の場合は、犯罪や紛争を裁く重い役割を担っている。たとえ職務に関連しない記述であっても、情報発信に慎重さが求められるのは言うまでもない。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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