(日朝協会の全国理事会の情勢として書いたものの一部です。)
日韓関係は戦後最悪と言われて久しいが、打開策は見えない状況が続いている。7月23日の東京オリンピック開会式に文在寅大統領が訪日し、首脳会談を開催することを両国外交当局はすすめていたが、韓国側は歴史問題で十分な成果は見込めないとの判断から訪日を取り止めた。
去る4月、菅内閣は教科書記述に関わって、「従軍慰安婦」という用語は「軍により「強制連行」された」との「誤解」を招く恐れがある、また、徴用工について「強制的に連行された」などとするのは不適切であるとする閣議決定を行っている。
また7月には、ユネスコの世界遺産委員会は、端島炭坑(軍艦島)などの「明治日本の産業革命遺産」について、戦時下に朝鮮半島から徴用され強制労働をさせられた人々に関する説明が「不充分」だとする決議を全会一致で採択している。
8月15日「終戦の日」には、3閣僚が靖国神社に参拝し、菅首相は玉串料を奉納した。これに対し、韓国外務省は「深い失望と遺憾」を表明している。また、全国戦没者追悼式での首相の式辞では、アジア諸国民に対する侵略と植民地支配による加害には一切言及しなかった。
以上のような日本政府の歴史認識では、日韓の懸案の歴史問題の解決は容易ではないだろう。
昨年5月25日、アメリカのミネアポリスでジョージ・フロイド氏が警察官によって首を圧迫されて殺害された事件以来注目されているBLM(Black Lives Matter 黒人の命は大事だ)運動は、アメリカだけでなくヨーロッパにも広がり、その根源としての植民地主義の歴史観を克服する運動と合流して全世界へと拡大し、大きな潮流になりつつある。
去る5月にドイツ政府は、植民地時代のナミビアで数万の人々を虐殺したことを謝罪し、11億ユーロの支援金を支払うことを表明した。7月にはオランダのアムステルダム市のハルセマ市長が、過去に市が加担した奴隷貿易に対して公式に謝罪している。
日本政府の歴史認識は、このような世界的な潮流には逆行するものだと言わざるを得ない。(現日朝協会埼玉県連会長 関原正裕)
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