埼玉県高校・障害児学校教職員「九条の会」

教え子をふたたび戦場に送らないために

今日のつい一言 2017.3

2017-03-29 10:20:10 | 意見交流
 「道徳」教科書のことが話題になっている(というより、笑いものになっている)。文科省は「パン屋のままでもよかったのだ」と火消しに躍起だが、「和菓子屋」に変えたら検定をパスさせたのだから見苦しい言いわけにすぎない。
 「国や郷土を愛する態度」が不足しているのだそうだ。斎藤美奈子氏が和菓子のルーツは遣唐使が持ちかえった中国の菓子であり、明治に木村屋が発売したあんパンは饅頭用の酒種を発酵に用いたことを紹介している(「東京新聞」3/29)。
 奈良の正倉院はシルクロードの終点である、と小学校で習った。東西の多様な文明が流れ込み、これを融合させ、自家独特のものにしていったのが日本文化ではなかったのか?
 斎藤氏がいうように文科省の検定基準には「人権」や「個人の権利」「差別」という項目はない。「教育勅語」礼賛と変わるところはない。「伝統と文化の尊重」というが、歴史の流れを逆戻りさせることは許されない。(3月28日)

 「教育勅語」の「勅」は天子の命令という意味である。天皇の大権を定めた「明治憲法」の下では、議会で定めた法律よりも「勅」の方が重かった。教育のあり方が国家のあり方を決する上でいかに重視されたかが分かるのだが、そのように定められた「教育勅語」が国民主権を定めた「日本国憲法」のいかにそぐわないか、その一点のみで自明というものである。
 したがって「森友学園」問題から端を発した「教育勅語」に対する発言を聞いていると、まるで亡霊が生き返って来たかのような錯覚をおぼえる。否、きっと亡霊はどこかでひっそりと生息していたのであり、今、急速に息を吹き返しているというのが正しいのかも知れない。
 だとすれば、今度こそしっかりとその息の根を止める必要があるのではないか? 「教育勅語」の復活を許し、戦前のような社会を甦らせるのか、すでに「明治憲法」よりも長い歴史を数えるにいたった「日本国憲法」のめざす社会の完成をはかるのか、その正念場であるように思うのだ。
  ※
 稲田防衛相は国会答弁で「教育勅語の精神である日本が道義国家を目指すべきであること、そして親孝行だとか友達を大切にするとか、そういう核の部分は今も大切なものとして維持をしているところだ」と述べたという。
 どこに日本が「道義国家を目指すべき」と書いてあるのかは不明だが、後半で述べているのは「父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ」あたりを指しているのだろう。これらは儒教にある「五倫」思想をもとにしているのは間違いない。「五倫」とは父子の親、君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友の信である。「夫婦の別」とは夫には夫の役割があり、妻には妻の役割があるという意味で、それと比較すると「夫婦相和シ」とあるのは近代的な装いにあらたまっているようにも見える。しかし、戦前では女性の参政権が認められていなかったことでも明らかなように、人権における男女差別を前提とした規範の下にあったことは疑えない。
 儒教はこれらの徳目が守られることによって社会の秩序が守られるとした。稲田防衛相のいう「核の部分」というのは、人としてのあり方を示したというより、国家の統合原理として「維持」したいということなのだ。
 そして、最も重大なのはここまでには触れられなかった「君臣の義」であり、「教育勅語」では一番最後になって、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」と続くのである。つまり、ひとたび国家に一大事があったときは、親子の親愛も、夫婦の契りも、友情も顧みることなく、「皇運」のために命を投げ出せ、というのが主旨なのである。
   ※
 「森友学園」の籠池理事長は、「何かことがあったとき、自分の身を捨ててでも人のために頑張んなさい。そういう教育勅語のどこが悪い。まったく悪くない」と述べたという。ここにも見逃しがたいまやかしがある。「教育勅語」には「博愛衆ニ及ホシ」という文言があることはある。だが、先の「一旦緩急アレバ」はそこに続くのではなく、「義勇公ニ奉シ」に続くのである。
 その籠池理事長の本音があらわれた発言が、「国家のために、そして国家社会のためにいい人材を創出しようとしている教育の中身を阻止しようとする人たちがたくさんいます。そういうようなことでは困るんじゃないですか。日本国を存続させるために、立派な人材を作っていくというのが教育であるんであれば、もう少し温かい目で見るべきじゃないですか。」である。
  ※
 さらにいえば、稲田防衛相にせよ、籠池理事長にせよ、それらの徳目を国民に押しつけはするが、自らは少しも守ろうとしていないように見えるところに根本的な矛盾がある。
 いや、「朋友相和シ」だけは守っているのかな?と、一瞬だけ皮肉まじりに思ったことがある。それは右派団体「日本会議」のお仲間である。だが、国会で追及されるや、「10年間、お会いしたことはない」(夫は「森友学園」の顧問弁護士だったというが)とか、「まったく迷惑だったんですよ」(妻は名誉校長に就任していたというのに)と、まったく無関係であるようにふるまい、幼稚園児に「安倍首相頑張れ」と唱和させていたほど入れ込んでいたのに、少し冷たくされたら「トカゲのシッポ切り」と恨み言を吐いている様子をみると、その朋友間の「信」も本物ではないらしい。
  ※
 私までもが、このようなことをことさらにするまでもない筈なのだが、やはり一言せずにはいられなかったのである。(3月10日)

 少々うんざりなのだが、第2の疑惑が起こっているらしい。しかも、今度の方が規模が大きい。
https://lite-ra.com/2017/03/post-2975.html

大阪・豊中市で建設中の「瑞穂の國記念小學院」の問題について、一部の新聞だけでなく、ようやくTVでも取り上げられるようになってきた。維新の会・松井氏との関連もとりざたされ、
 https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=123807
 闇はいっそう深まるばかりである。少なくとも安倍首相夫妻には大打撃のはずだが、このまま致命傷にはいたらずうやむやにされてしまうのか、国民は当分注視しなくてはならないだろう。
 だが、ここへ来て、またもしてやられた感がどこかで禁じ得ない。斎藤美奈子氏が「米トランプ大統領と金正男氏暗殺事件を追うのみでマスコミはいいのか」と警鐘を鳴らしているが、これに国内問題を加えるに「森友学園」疑惑が衆目を集めているうちに、日本の進路にとってもっと重要な事態が密かに進行しようとしているのではないか?
 もちろん安保法制と「共謀罪」(「テロ等準備罪」)のことである。稲田防衛相はアメリカの軍事費増を歓迎するとし。自民党二階幹事長は「共謀罪」を今国会で成立させると明言した。(3月1日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201702/CK2017022802000254.html

3.20さようなら原発全国集会そして肥田舜太郎さんを悼む

2017-03-21 16:49:24 | 活動報告


 20日、「いのちを守れ!フクシマを忘れない!さようなら原発全国集会」が代々木公園で開かれた。家の用事でもたもたしてしまい、開会には間に合わなかったが、全国キャラバン隊が登壇しているころ到着した。これで3月の主要な全国集会に全参加することが出来た。集会の閉会あいさつには鎌田慧氏が立った。鎌田氏の声を直接聞いたのは始めてかも知れない。
 17:00ころには帰宅しなくてはならなかったので、池袋でジュンク堂で何冊か調達したのち、帰路についた。
 今日になって紙上で肥田舜太郎さんが亡くなったことを知った。100歳だった。紹介するまでもないが、肥田さんは1944年に陸軍軍医として広島に赴任し、原爆投下に遭遇した。自らも被爆しながら被爆者の救援にあたった。戦後は被団協や民医連で活躍され、核兵器廃絶運動にたずさわった。
 全国的・世界的に活動されたが、医療者としては埼玉を拠点になさっていた。「原爆のことを伝えるためだったらどこへでも行く」として、予定さえ合えばどんな小さな集会でも出かけて来てくれた。
 最後にお目にかかったのは数年前に朝霞で催された学習会でだった。若い方が付き添われてだったが、穏やかな中でも次第に熱をおびてくるお話ぶりは健在で、少しも乱れたところがなかった。広島で被爆者の救護にあたっている最中、自らの身体にも異変が起こったとき、軍医長の判断で「どうも症状からすると血液の異常に原因があるような気がする」ということから、若く健康な兵士をつのり、輸血を受けたところ、危機を脱したというお話は初めてうかがった。
 それもこれも、自らの体験を後世に伝えなければという深い使命感から発したことなのだろう。謹んでご冥福をお祈りする。

3.11反原発!国会前大集合+首相官邸前抗議

2017-03-12 02:39:32 | 活動報告

 6年目の3.11。「反原発!国会前大集会」に参加してきた。3月4日の日比谷野音集会に連続してになったが、3月11日をどこで過ごすかと考え、行ける条件のあるときにと思って出かけた。毎週金曜日の集会には参加したり、しなかったりなのだが、このところ参加人数は少し寂しい。今日は3.11にあわせ、曜日も土曜日に変更したせいもあり、開会時間前にけっこう人数が集まっていた。

 主催は首都圏反原発連合。東日本大震災・福島第一原発事故の翌年、2012年3月29日に大飯原発再稼働のための4閣僚会議に抗議して第1回「首相官邸前抗議」を開催して以来、毎週金曜日の国会正門前と首相官邸前における抗議行動を続けて来た。
 デモではなくスタンディング、「非暴力直接行動」というスタイルは、その後の秘密保護法や安保法制反対の運動にも新しいあり方を提起していった。今日も反原連の集会らしく、ジンタらムータの演奏によるオープニングからはじまった。
 ミサオ・レッドウルフ氏のスピーチを聞くのは今月2回目。政党からは4野党が参加した。菅直人氏は発言の冒頭で、自身の「名誉毀損裁判」について触れていた。「敗訴」と報じられたが、「海水注入を止めたのは菅首相」という安倍晋三議員(当時)のブログ記事(2011.5)がまったくの虚偽であったことは裁判所も認めた、だが安倍議員は虚偽をうのみにして信じてしまっただけで、「名誉毀損」の意図は認められない、という判決内容だったそうだ。
 今や安倍首相の政治手法はフェイクあるいは「ポスト真実」そのものである。「虚偽」が虚偽のまままかり通るとした原点がここにあったのかと妙に合点がいき、悪い冗談を聞いているようだった。

 菅直人氏以外にも今日は民進党議員がスピーチに立った。社民党は福島瑞穂氏、自由党議員がスピーチに駆けつけた。共産党は6人の議員が出席し、志位委員長がスピーチした。野党共闘の要に位置するだけに、そのバックボーンである市民との連帯を重視している姿勢が伝わって来た。阿部知子議員も「原発ゼロの会」としてスピーチした。小児科医としての発言に説得力があった。
 集会は様々な運動体の交流の場にもなっている。各国の活動家とも交流があるという方からは、日本の原発メーカーによる原発輸出の問題について訴えがあった。昨年11月11日に結ばれた「日印原子力協定」は、今国会で承認がはかられようとしているのだそうだ。「森友問題」に揺れる今国会であるが、共謀罪といい、過労死ライン80時間を超える月100時間残業を可能にしようという「働き方改革」法案といい、社会のあり方を変えてしまうようなとんでもない悪法が矢継ぎ早に推し進められようとているのだと痛感する。

 1時時間くらいスタンディングしたら早めに引きあげようかと考えていたのだが、古賀茂明、佐藤学、香山リカらの各氏のスピーチが充実していて、結局散会までいてしまった。スピーチの最後は落合恵子氏。日もとっぷりと暮れていた。参加者は主催者発表で8000人とあった。

原発ゼロの未来へ 福島とともに3.4全国大集会

2017-03-05 17:20:25 | 活動報告

 4日、「原発ゼロの未来へ 福島とともに3.4全国大集会」が日比谷野外音楽堂で開かれた。

 オープニングセレモニーのあと、13:30に開会。メインスピーチには宇宙飛行士でジャーナリストの秋山豊寛氏が京都から駆けつけた。震災当時、秋山氏は福島県でシイタケ農家を営んでいたとのことで、自身を「原発難民」と紹介。74歳とは思えない力強いスピーチで参加者を勇気づけた。「私は確率90%の晴れ男」という自慢話?も飛び出したが、その言葉どおり、この日は上着を脱ぐほどの暖かさだった。

 この日の集会の主催は「原発をなくす全国連絡会」だが、「さようなら原発1000人アクション」からは富山洋子氏、「首都圏反原発連合」からはミサオ・レッド・ウルフ氏が連帯のあいさつをした。政党からは日本共産党の藤野衆院議員が岩渕参院議員をともなってあいさつ、自由党、社民党それぞれの党首からのメッセージが読み上げられた。民進党は参加議員の紹介があった。(民進党は「30年原発ゼロ」方針をめぐって党内が統一できないでいる。しっかりと腰が定まって欲しいものだと思う。)

 参加者は3500人と発表された。集会アピールにあたって福島からの参加者250名が登壇した。閉会後は銀座までのパレードが催された。
 3月は他に11日に反原連主催「反原発!国会前大集会+首相官邸前抗議」、20日に1000万署名市民の会主催「いのちを守れ!福島を忘れない さようなら原発全国集会」(代々木公園)が開かれる。

原稿募集について

2017-03-01 00:41:57 | 申し合わせ
ブログ 埼玉県高校・障害児学校教職員「九条の会」の原稿を募集しています。

1.地域・職場の活動報告、9条への思いや情勢に対する意見などをおよせ下さい。
2.個人名および顔写真は原則として掲載しません。講演会の講師の紹介など、必要のあるときは本人の承諾を得て下さい。
3.会員の職場名・個人名の公開を希望する場合はその旨を明記して下さい。それ以外はイニシャルで表示します。(例:西部A高校 Y.S)
 ※最初からイニシャルでは投稿しないで下さい。会員の確認が出来なくなります。
4.写真を添付するときはjpegのファイル形式でお願いします。個人の顔や姓名が特定できないように加工したものとしますが、送付後の加工も可能です。(プリント写真のスキャニングも可能ですが画質は低下します。)
5.原稿は電子ファイル(メール、一太郎、word可)だとありがたいですが、紙ベースでも差し支えありません。
 ※投稿された記事に対するブログ上でのコメントの書き込みは出来ません。
6.原稿はインターネットでも投稿できます。送付先のアドレスは印刷物を参照するか、事務局にお問い合わせ下さい。(アドレスはnet上には公開しないで下さい。個人間のメールのやりとり上は差し支えありません。)