埼玉県高校・障害児学校教職員「九条の会」

教え子をふたたび戦場に送らないために

憲法会議は安倍元首相の「国葬」に反対し、撤回を求める声明を発表しました

2022-07-21 00:40:18 | お知らせ
声明
安倍元首相の賛美・礼賛、国民への弔意の強制に繋がる「国葬」に強く反対し、撤回を求める
 
 安倍晋三元首相が無法な銃撃で殺害されたことについて、憲法会議は、政治活動や言論を暴力で封殺することは、民主主義を破壊する最も憎むべき行為であり、個人の尊厳を否定する憲法問題として断固糾弾します。憲法会議は、あらゆるテロ行為を許さない社会をつくるために、多くの国民の皆さんとともに全力をつくす決意です。
 岸田首相は7月14日、安倍元首相の「国葬」を行うと発表しました。これが戦前やられたような宗教行為としての国葬なら、憲法第20条第3項の「国の宗教活動の禁止」に反する行為です。岸田首相は、今回、国の儀式に関する事務を所掌として定めた内閣府設置法に基づき、「閣議決定を根拠として行政が国を代表して行える」と説明し、全額国費で負担する方針を明らかにしました。しかし、元首相の葬儀を行うことや、政府がその経費を支出する法的な根拠や基準はありません。
また、岸田首相が「国葬」とする理由に様々な「実績」をあげ、「そのご功績は真にすばらしいものがある」と述べたことを、憲法会議は厳しく糾弾するものです。安倍元首相が行った改憲策動、集団的自衛権の容認・南スーダン等への自衛隊派兵、桜を見る会等に象徴される政治の私物化、118回のうそ答弁に象徴される国会軽視、大軍拡・敵地攻撃能力保有など米国と一体の戦争する国づくり推進などの安倍政治は厳しく批判しなければなりません。
 「国葬」は、国民のなかで評価が分かれている安倍氏の政治的立場や政治姿勢を全面的に公認し、国家として安倍政治を賛美・礼賛することになります。また、安倍元首相に対する弔意を、国民に対して事実上強制することにつながる憲法問題です。弔意は、示すかどうかも含めて、すべて内心の自由の問題であり、憲法第19条「思想及び良心の自由」違反です。
これまで、国民の税金を投入し、戦後に国葬が行われたのは1967年の吉田茂氏のみで、法的根拠となる「国葬令」は1947年に失効したものの、吉田氏の国葬は例外的に行われました。それ以降、首相経験者の国葬は一度もありません。今回の国葬は、失効した「国葬令」を実質的に復活させ、「戦争する国」づくりに組み込むものといえます。
死を悼む民心に漬け込み、戦争を賛美した戦前のように、国民の精神を安倍元首相が推進し、岸田首相が継承する「戦争する国づくり」に動員することは断じて許されません。
 憲法会議は、安倍元首相の「国葬」に強く反対し、その撤回を求めます。
                                                        2022年7月20日
                                              憲法会議(憲法改悪阻止各界連絡会議)