埼玉県高校・障害児学校教職員「九条の会」

教え子をふたたび戦場に送らないために

2021.11.12「九条の会」声明  総選挙後の改憲問題の新たな局面を迎えて

2021-11-16 16:29:43 | お知らせ

 11月12日、総選挙後の改憲問題の新局面に際して「九条の会」が声明を発表しました

 10月31日に総選挙が行われました。「戦争する国」づくりと改憲を狙った安倍・菅政治からの転換を求めて市民と野党の共闘は善戦・健闘しましたが、自民党は議席を減らしたものの、議席を増やした維新の会も併せて、改憲勢力3分の2を維持しました。この結果を受けて、11月2日には維新の会の松井代表が、「来年参院選と同日に改憲国民投票を」と発言したり、国民民主党の玉木代表が憲法審査会の毎週開催を提唱するなど改憲勢力の動きも活発化しています。そうした事態に対し、九条の会は11月12日付で声明を発表しました。この声明も合わせ、各九条の会で今後の活動について活発なご議論をお願いします。

 

 総選挙後の改憲問題の新たな局面を迎えて

 10月31日に衆議院議員選挙が行われ、自民党は議席を減らしたものの単独過半数を維持し自公政権の存続が決まりました。維新の会の大幅議席増により自公と維新を合わせた改憲勢力は334議席となり、衆議院の3分の2を超える議席を獲得した結果、改憲問題は、新たな局面を迎えました。
 岸田文雄首相は、自民党総裁選の最中から「任期中の改憲実行」、「敵基地攻撃能力」保有の検討を繰り返し表明しました。それを受けて総選挙に向けての自民党公約も、「敵基地攻撃能力」保有、防衛力の大幅強化と並んで、「早期の憲法改正」の実現を明記していましたが、総選挙の結果を踏まえて、岸田政権は、安倍政権以来の改憲策動の強化に踏み切る構えです。
 岸田政権がまず手をつけようとしているのは、安倍・菅政権が推進した9条破壊の加速化です。対中国の軍事同盟強化を目指した「国家安全保障戦略」と「防衛計画の大綱」の改定を来年末までに強行し、中国を念頭においた「敵基地攻撃能力」の保有、日米共同演習の強化、そして辺野古基地建設強行などを推し進めようとしています。
 同時に、岸田自民党は、憲法9条明文の改憲にも踏み込むべく、臨時国会における憲法審査会での改憲案討議入りを狙っています。維新の会松井一郎代表の「来年参院選と同日に改憲国民投票を」という発言や国民民主党との憲法審査会毎週開催合意は、こうした自民党の明文改憲への策動を応援するものです。
 しかし、日米軍事同盟強化と改憲という途は、米中の軍事対決・挑発を激化させ、日本と東北アジアの平和の実現に寄与するどころか、それを遠ざけるものです。明文改憲、9条破壊の策動を阻止しなければなりません。
 9条の会をはじめとした市民の草の根からの運動は、自民党などによる改憲の企図を阻み続けてきました。とりわけ、安倍政権の下、衆参両院で改憲勢力が3分の2を占めて以降も、市民と野党の共闘の頑張り、幾次にもわたる全国統一署名運動、それに鼓舞された立憲野党の奮闘により憲法審査会での改憲案審議を行わせず、19年参院選では改憲勢力3分の2を打ち破って安倍改憲を挫折に追い込みました。来年の参院選に向けた新たな改憲の動きに待ったをかけるのも、この市民と野党の共闘の力以外にはありません。
 この力に確信を持って、市民の皆さんが、改憲と9条破壊の阻止のため、決意を新たに立ち上がられることを訴えます。(「九条の会ニュース」より)


新たな教科書攻撃の特徴について

2021-11-16 15:53:37 | 意見交流

 前菅内閣は2021年4月27日に教科書の歴史用語について次のような閣議決定を行った。「従軍慰安婦」という用語は、軍により「強制連行」されたという「誤解を招くおそれ」があるので、単に「慰安婦」とする。また、戦時中に朝鮮半島から日本本土に動員された徴用工については「強制的に連行された」などとするのは、「募集」、「官斡旋」など様々な経緯があり不適切、「徴用」という用語がふさわしい。

 文科省は、この閣議決定の内容を各教科書会社に説明し、「訂正申請」を促した結果、教科書会社7社が高校の地歴・公民39点と中学社会2点の記述を閣議決定の趣旨に応じて訂正を申請し、文科省がこれを承認するという結果になった。

 この「従軍慰安婦」と朝鮮人強制連行については、90年代以来「新しい歴史教科書をつくる会」など右派勢力が繰り返し攻撃してきた問題だが、すでに学問的に決着がついている事柄である。

 今回の教科書攻撃の特徴の一つは、2014年安倍政権のもとで一部改定された検定基準「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合」それに基づいて記述するという項目を利用して、特定の歴史用語の使用を制限するという政治介入を行ったという点である。

 また、今回の閣議決定が日本維新の会の議員の質問に対する答弁として行われている点にも注目したい。今回の衆議院選挙で大幅に議席を伸ばした「維新」は、来年の参議院選挙の際に憲法改正の国民投票をするべきだと主張している。この改憲煽動勢力「維新」が自民党と結託して教科書攻撃に乗り出してきたのである。教科書攻撃で「実績」を積んだ「維新」が日本会議など右派勢力と結んで自民党とともに憲法を攻撃してくる危険性は十分にある。

 日本軍「慰安婦」と徴用工の問題は、現在の日韓関係対立の焦点になっている歴史問題である。その根底には日本の朝鮮植民地支配に対する歴史認識の隔たりがある。今、韓国では文在寅大統領の次の大統領選挙が始まっている。日本のマスコミは、次の大統領の対日批判の強弱(根本は歴史認識なのだが)が今後の日韓関係を左右するといった面ばかりに注目し、日本政府の歴史認識については触れようとしない。

 自民党と「維新」による今回の教科書攻撃は、日韓関係の焦点になっている歴史認識について、日本は解決に向けて韓国に譲歩しない、話し合うつもりもない、韓国側が折れなければ関係改善はないというメッセージであることも見逃すべきではない。

                   (現日朝協会埼玉県連会長 関原正裕)


平和といのちと人権を!11.3憲法大行動

2021-11-04 23:52:52 | 活動報告
 
 11月3日(水)14時から国会議事堂正門前で、『平和といのちと人権を!11.3憲法大行動~憲法公布75年 ともに時代を切り拓こう!~』が開催されました。主催は戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会です。1200名が会場に参加しましたが、コロナ禍での開催ですのでオンラインでの参加が呼びかけられ、全国で多数の方が視聴しました。
 主催者あいさつで、総かがり行動実行委員会の高田健共同代表は、総選挙では多くの小選挙区で野党統一候補が当選する一方で、改憲勢力に3分の2を許す結果となり、課題もあったと指摘し、「今の政治を変えるために、これからも力を合わせていく。市民と野党の共闘をさらに強化していこう」と延べました。
 駆け付けた立憲民主党の近藤昭一衆院議員、日本共産党の田村智子参院議員、社民党の福島瑞穂参院議員が、野党統一でたたかった総選挙での奮闘に触れ、来年の参議院選挙まで総括すべきは総括して野党共闘を強化し、ともにたたかおう等とあいさつしました。田村議員は「市民と野党の共闘は戦争を起こしてはいけないとの思いで始まった。憲法が花開く時代を切り開くため、さらなる共闘を前にすすめていく」と決意を語りました。
 その後、ゲストスピーカーとして、「憲法の今」とのテーマで憲法学者、武蔵野美術大学教授の志田陽子さん、「ジェンダーの課題」でジャーナリストの松元千枝さん、「コロナ禍と貧困・格差」で東京大学大学院教育学研究科教授の本田由紀さんがスピーチしました。志田さんは、改憲問題について「安全保障をめぐる問題などで実質的な改憲が進められている」と指摘。憲法無視の政治を変えるため、一人ひとりが声を上げ続けていこうと訴えました。本田さんは、コロナ禍で格差と貧困が拡大した安倍・菅政治は岸田政権では変わらないと指摘し、「野党共闘をもっと強くして、幅広い支持を得られるよう奮闘して行こう」と述べました。さらに、ジャーナリストの松本千枝さんは「リモート」で、コロナ禍で働く女性の自殺率が増加していると指摘し、「政府の言う女性が輝く政策とは真逆のことが起こっている」と厳しく自公政権を批判しました。
連帯あいさつで、市民連合の広渡清吾さん(東京大学名誉教授)は、総選挙で政権交代を実現する土台をつくることができたが、より広い市民に届けきることができなかったと振り返り、来夏には参院選挙がある。政権交代をめざして運動を続けましょう」と呼びかけました。
 行動提起を憲法共同センターの岸本啓介さんが行い、「前回勝てなかった24小選挙区を含め62選挙区で勝利し、32の小選挙区で1万票以内に迫りました」と述べ、「さらに大きな強い、市民と野党の共闘をつくりあげ、憲法を守りいかされる社会、日本をつくって行こう」と呼びかけました。(元西部H特別支援学校・現憲法会議事務局長 高橋信一)