埼玉県高校・障害児学校教職員「九条の会」

教え子をふたたび戦場に送らないために

今日のつい一言 2015.1

2015-01-07 19:37:24 | 意見交流
 「イスラム国」による日本人人質事件のようなケースが起きた場合に、作成中の新しい安保法案で自衛隊に何ができるのか、政府が検討作業をしたことが明らかになった。(23日ロイター)
詳しくはロイター通信をみて欲しいが、メディアや野党に問われた場合の想定問答集を作成、新法制で自衛隊を派遣して救出できるかどうかについて、「領域国の同意に基づく邦人救出などの警察的な行動ができるよう法整備を進める」としているのだそうである。
 今のところ、イスラム国との戦闘に自衛隊を派遣することは「2名の日本人の人命を盾にとって脅迫する許しがたいテロ行為」としつつも、昨年7月に閣議決定した武力行使の「新三要件を満たすとはいえないもののと思われる」と、否定的な見解を示しているという。
 2004年の3人の「イラク日本人人質事件」では「自己責任論」を唱道した安倍首相であるが、今回は「人命最優先」を標榜している。それは当然のすがたであるとして、今回の事件をもって自衛隊の海外派遣や武力行使に道を開こうとするような政治利用を許してはなるまい。
 「自己責任論」のときもそうだったが、何より気をつけなければならないのは世論として誘導されないようにすることだろう。
 それにしてもお2人の安否が気にかかる。(1月24日)

 ユニクロの中国工場の問題について、柳井社長がカメラの前で釈明し、「非常にビックリしているし、残念だと思っています。…今回の(指摘された)部分は例外だと思う。中国の労働環境は決して悪くない」と述べたそうだ。
 中国の労働環境の全体像を把握しての発言なのか、そうだとすればなぜ「例外」が存在したのか、疑問が残る。
 翻って国内を見てみる。昨日、福島第1・2原発で作業中だった労働者2名が事故で亡くなった。これは「例外」なのか?
 労働者派遣法の改悪や「残業代ゼロ法案」が推し進められようとしている。1%に世界中の富の48%が集められる「富の集中」が加速している。
  ※
 「イスラム国」問題では恐れていたことが現実になってしまった(12月7日のつい一言)。安倍首相は2億ドルは難民保護等の人道支援であると強調しているが、発表時の記者会見では「テロとのたたかい」を高いトーンで宣言していた。どのような覚悟があっての発言だったのかが試されることになるが、試されるのは国民自身もかも知れない。
 後藤健二さんはガイドの携帯で撮影された動画の中で、「これは私の責任ですること」というメッセージを残したという。2004年の「イラク日本人人質事件」を踏まえてのことだと思われるが、今回も「自己責任論」で切り捨てるようなことはあって欲しくない。
 ましてや、「イスラム国との戦争」を煽ったり、今こそ「集団安全保障」を発動するときなどと軍事行動への突入を容認するようであってはならないだろう。(1月21日)

 15年度政府予算案が閣議決定された。「経済成長」と「財政再建」の両立といっているのは、税収増を見込み、国債の発行を若干減らしたことによるらしい。
 その税収の内訳をみると、消費税収が1兆7730億円増であるのに対し、法人実効税率を2年間で3.29%引き下げ、大企業に1兆6000億円の減税をばらまく。
 これで社会保障は大丈夫なのかと思って予算案をみると、高齢者医療の窓口負担増、介護保険利用料引き上げ、介護報酬を2.27%引き下げ、生活保護関連は330億円減、雇用維持助成金も引き下げである。
 「国民の生命と財産を守るため」と防衛費は史上最高の4.98億円に跳ね上がったが、別なところで「国民の生命と財産」は奪われようとしているようだ。少子化にともなう自然減をのぞき、教職員数を約100人減(国立学校で?)は「未来世代からの収奪」ということばを思い出させる。
  ※
 先日、民主党代表選挙にからんで候補者と若者との対話集会が開かれたそうだ。その対話の中で、若者側から「高齢者と若年層との格差を感じる。年金を減額して若者の支援にあてるべきだ」という発言があったという。
 年金生活者としては、自身の存在が若者たちを抑圧しているのかと心に衝撃を受けたが、果たして高齢者vs若年層という対立の構図は正しいのだろうか?
 定年後も元気に働いている人も多いが、今度は高齢者が若者の就職機会を奪っているといわれる。私などは国民年金の受給者の方などから見れば恵まれている方かも知れないが、それでも月々の年金だけで生活が成り立っているわけではない。将来不安はいつもつきまとっている。その年金も「マクロ経済スライド」を発動し、実質減額していく方向だという。(1月15日)

 先日、竹中平蔵氏の「正社員をなくしましょう」発言のことを問題にしたが、同氏は業界3位の人材派遣企業、パナソグループの取締役会長を務めているのだそうだ。つまりは、派遣会社にとって正社員が少なくなるほど利益になる、という背景があっての発言だったことになる。そんなことを知っている人間はごく少数なのだから、自分がどのような背景のもとに発言しているかを明らかにしないでいるのは少なくともフェアではない。(1月12日)

 政府の宇宙開発戦略本部(本部長=安倍晋三首相)は9日、安全保障を重視する新たな宇宙基本計画を決めた。2015年度から10年間の方針で、日米同盟を強化するため、衛星の連携や宇宙の監視情報を共有することなどを掲げている。(朝日デジタル)
 何だか空恐ろしいことがどんどん決まっていくなあ。本当は、今日は安倍首相・菅官房長官が翁長沖縄県知事の面会を門前払いしたことを書こうと思っていたのに。
 昔、高石友也が歌っていたアメリカ海兵隊(だったか?)の軍事訓練をあつかったフォークを思い出す。隊長は言った、「そんな弱気でどうする!俺について来い!」。そして、ついて行った部下は事故で死んでしまう。(1月9日)

 今年もよろしくお願いします!
  ※ 
 竹中平蔵氏の「正社員をなくしましょう」発言が波紋を呼んでいる。1日放送の「朝まで生テレビ!元旦スペシャル」で、「改正派遣法の是非」について意見をかわした中で飛び出した発言だということだ。
 私はその番組を視聴してはいないのだが、一定の文脈の中で出た発言と考えても、問題点が多いことは明らかであるようだ。
 その1として、竹中氏は「正社員に変わりたい人と非正規のままでいいという人では、非正規のままでいいという人の方が多い」という調査結果を紹介したというが、それはどのような調査なのか? 「子育ての最中であるが、短時間を働いて収入の助けにしたい」というような人は確かにいるだろう。そういった人たちまで含んでのことだったとしたら、「都合のよい数字」というだけのことであって、客観的なデータであるとはいえない。(ついでにいえば、子育てが終わった女性が再び正社員として復帰できるような道がもっと充実する必要があるはずだ。)
 つぎに、この発言が「同一労働同一賃金」に関連してなされたという点である。もともと「同一労働同一賃金」は賃金格差是正を求めた労働組合側の要求であった。ところが竹中氏にいわせると、「全員を正社員にしようとしたから大変なこと」になるから、「同一労働同一賃金」の実現を目指すなら「正社員をなくしましょうって、やっぱね言わなきゃいけない」というふうにすり替わってしまうのである。つまりは、「同一労働同一賃金」の原則をつらぬこうとすれば、低い方に合わせなければ企業側の負担が増してしまう、というのが本旨なのである。
 結局、新自由主義とは資本の側の自由を守るということで、たぶんそのことを確信している竹中氏はなぜ自分が非難されているかも理解できないでいるのではないだろうか?
 それにしても、安倍首相の口から出る「平和主義」にせよ、元閣僚たる竹中氏の「同一労働同一賃金」にせよ、その意味するところが180度転換してしまうのに細心の警戒が必要な時代となった。(1月7日)