埼玉県高校・障害児学校教職員「九条の会」

教え子をふたたび戦場に送らないために

今日のつい一言 2017.2

2017-02-04 18:56:51 | 意見交流
 日報の存在を自ら隠蔽したのか、大臣ともあろうものが蚊帳の外におかれてしまったのか真相は不明だが、「戦闘」を「衝突」といいかえて平然としている稲田防衛相。再々々(もうひとつ々くらいか?)浮上した「共謀罪」の直接の担当者という自覚がどれだけあるのか、国会での「質問封じ」をしかけながら、報道機関向けに配布した文書をあわてて撤回した金田法相。安保法制と共謀罪という現に進行している政治の焦点にある問題で、閣僚にこれだけの不具合が明らかになれば、普通なら内閣はすでに死に体である。それがいまだに存立しているのは何とも気味が悪い。
 しかし、最近のニュースで、気味の悪さからいって引けを取らないは、大阪府豊中市で4月の開校をめざして建設中という「瑞穂の國記念小學院」である。設立主体である学校法人「森友学園」は、大阪市内で運営している「塚本幼稚園」で園児に「教育勅語」を暗唱させることで知られ、そればかりか軍歌を教えたり、皇族が大阪を訪問する折には日の丸の旗を持って出迎えることを恒例としているという。同校の開校準備室のHPでは、「日本初で唯一の神道の小学校」を謳っているとのことだ。
 だが、気味の悪さというのはそのこと自体ではない。その「小學院」の建設がすすめられている土地がもともと国有地で、最初(財務局サイド)の評価額が9億5600万円だったのが、森友学園からの申し出から大阪航空局が「地下のごみの撤去に8億円かかる」と算出した結果、1億3400万円で払い下げたというのである。「地下埋設物」とされたものがどのようなものであったのか、本当に撤去費用に8億円を要したのか、このような場合だれが費用を負担すべきなのか、森友学園はその費用を支出してまで土地を購入したのか、国はなぜ売却する必要があったのか、ミステリーというしかない。
 しかもその火種は安倍首相にまで飛び火している。国会では、「私(安倍首相)の考え方に非常に共鳴しているから『安倍晋三小学校にしたい』と言われたが断った。…私も妻も一切、認可にも国有地の払い下げにも関係していない」と答弁した。だが、「安倍晋三記念小学校」の名目で寄付が集められたという経緯(先の幼稚園では1回2万円以上の寄付が繰り返し要求されたケースもあったという)があり、HPでは安倍昭恵夫人が名誉校長として顔写真付きで紹介されているという。
 「もし関係しているということであれば、首相も国会議員も辞めるが、全く関係ない」と安倍首相が強弁している様子は私もテレビでみたが、直接か間接かはともかく、誰が無関係であると信じようか? 
 国有地は国民にとっての財産であるはずである。「愛国者」の仮面の下で薄汚れた利権を貪ろうとするものの存在が見え隠れしながら、国民の財産がみすみす失われていこうとするのを、なぜ人々は見て見ぬふりを続けるのだろうか? (2月21日)
 ※昨日、上記を投稿したら今朝になって次のような報道が流れた。これはいったいどうなっているんだ。
http://www.asahi.com/articles/ASK2N63DNK2NPTIL02R.html?iref=comtop_8_01



 福島第一原発2号機の格納容器内部の撮影画像が公表された。写し出された黒い物体は、溶け落ちた核燃料と思われるという。事故が起こって6年目にしてようやくここまでか、と嘆息していたのも束の間、翌日の2日には内部の放射線量は最大毎時530シーベルトと推定されるという映像解析の結果が発表された。
 推定とはいっても誤差の範囲は30%程度、人間は積算7シーベルト被曝すると死ぬとされ、毎時530シーベルトは1分弱で死ぬほどの高いレベルだという。すぐさま頭をよぎるのは核燃料の取り出し作業の困難さである。廃炉にいたる事故処理の道は遠い。もしかすると、何万年後かに放射線が弱まるのを待つしかないのではないか、とさえ思ってしまう。
 米国の原発企業を買収した矢先に3.11に遭遇した東芝は、その後も原発事業に固執し続け、最大7000億円程度の損失が見込まれる危機におちいった。その巨額損失の穴埋めのために、稼ぎ頭の半導体メモリー事業を分社化し、「切り売り」するという発表があったのはつい先日のことだ。今後は「(エネルギー事業の中での)位置付けを変えていく」、国内は「廃炉、保守・改修を中心に社会的責任を果たす」という。
 東芝と同じく原発企業である日立はウラン濃縮の新技術を米国で開発している事業から撤退し、3月期の連結決算で約700億円の損失を計上するという。ずいぶん以前に、米原発に納品した部品の不具合から賠償請求を受けた三菱は、その後どうなっているのだろう。
 いまや、原発はまったく採算が合わないばかりか、企業にとっても重荷でしかないことは誰の目にも明らかではないのか? ごく少数の「原発村」の住人たちの利権のために、「安全神話」「安心神話」「技術革新神話」「ベースロード神話」「採算神話」を振りまくのを止めにすべきではないのか?
 日本の進路にかかわるもう一つの焦点は辺野古である。辺野古に新基地を作れば少なくとも100年は使い続けることになるだろう。「基地撤去」「原発撤退」を決断するのは今しかない。トランプごときに尾を振っている場合ではない!(2月4日)