海と緑とこどもたち HONDA ECOACT

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ささやま活動レポート2016年4月20日

2016-04-21 18:40:06 | ささやま里山

4月はスプリングエフェメラルが見られるのを楽しみに行ってきました。

まずは虫ですが、倉庫の中の補虫網についていたクサギカメムシ。里山の代表的カメムシですね。いつのまにかどこかへ行ってしまいました。


ツマキチョウ 棚田地区にたくさん飛んでいました。春に現れますが、オスの翅の端に黄色い部分があります。しかし、飛んでいるときにはよほどの視力の人でない限り白いチョウとしか見えません。この時期にユニトピアささやまの棚田で飛んでいる白いチョウはすべてツマキチョウといっていいでしょう。


ツバメシジミ ヤマトシジミぐらいの大きさのシジミチョウもたくさん飛んでいました。これもどれをみてもツバメシジミ。翅の後ろに燕尾部分があります。このほか、ベニシジミ、スプリングエフェメラルのコツバメも確認しました。


シオヤトンボ 毎年春一番にここの棚田に現れるトンボはこれです。このあとここではオオシオカラトンボ、ハラビロトンボの順で出てきます。そして秋はアカネ類です。


ハンミョウ 耕作がはじまって裸地ができるようになってから現れるようになった昆虫です。


池のヒキガエルのおたまじゃくしも成長は遅いですがたくさん泳いでいます。


これはもうひとつの池のものを拡大したものです。


次に植物ですが、期待していたスプリングエフェメラル イチリンソウは残念ながら開花しませんでした。先月は見なかったフキが大きく広がっています。開花のエネルギーをためるには1年だけでは足りないのかもしれませんね。


フキといえば近くに渓流の中のフキノトウは花が終わり、綿帽子になっていました。


先月つぼみだったショウジョウバカマはすでに花が終わっていました。


棚田ではカキドオシ、トキワハゼ、ムラサキサギゴケ、タネツケバナ、ペンペングサ、クサイチゴ、ヘビイチゴ、ミツバツチグリ、スミレなど春の花が盛んに咲いていました。
カキドオシ


キランソウ


ミツバツチグリ


林縁および棚田の斜面にはヤマツツジのつぼみが膨らんできています。コバノミツバツツジは開花していました。


スミレは3種確認しました。
タチツボスミレ


アリアケスミレ


スミレ


次は棚田地区以外です。
棚田地区の隣の湿地はサワオグルマが満開。そのしたの水の中はヒキガエルのオタマジャクシがたくさん泳いでいます。


ササユリ保護区で成長中の姿を見ることができました。また新たな群落も発見しましたので、さっそく保護策を作りたいと思います。


チゴユリはたくさんありましたが、花は見られませんでした。


ニリンソウはちょうどいいころあいでした。これもスプリングエフェメラルです。


矢代池下の庭園で見たアマガエルの白化した個体。カエルもアカガエルの時期からアマガエル、トノサマガエルの時期へと移っていきますね。


ささやま活動レポート2016年3月24日

2016-03-25 23:08:50 | ささやま里山

3月のユニトピアささやまのようすを見にいってきました。
まずは気になる移動したヒキガエルの卵のその後。
卵はどれも孵化していました。
これは小池のようす。黒いかたまりはヒキガエルのおたまじゃくしです。


アカガエルのおたまじゃくしは見られませんでした。ただ、成体の声はあちこちで聞けました。
これは溝の水たまりに移したもの。おたまじゃくしになっています。


これはもうひとつの池のようす。ここもおたまじゃくしが孵って黒い塊になっています。


拡大するとこんなようす。


ヒキガエルの卵が産み付けられていた田んぼは排水が進みました。


棚田地区の隣の谷の湿地の卵も孵っています。黒い部分はすべておたまじゃくし。


植物もまだまだのようで、花はあまり見られませんでした。花をみたのはタネツケバナ、オオイヌノフグリ、タンポポ、フキノトウなどでした。
ショウジョウバカマはもう少しで花が咲きそうです。


タンポポ(カンサイ)


フキノトウ 川沿いにたくさん見られました。



去年みつかったイチリンソウも順調に育っているようです。切れ込みの深い葉がイチリンソウと思われます。なん株かあるようです。


この場所はイチリンソウの咲いた後ほかの草でおおわれていました。草刈りもしましたが、去年12月の大雨で洗い流され、何もない状態になりました。それがこんなふうに芽生えてきましたので、川のかく乱が生活にかかわりをもっているのかもしれません。この写真は去年12月の大雨のあとのよすです。


ニリンソウ これは別の場所ですが、これも順調です。


キツネノカミソリも順調に成長しています。本体が見られないときにおおよその見当で囲いを作りましたが、今年葉の位置を見ると少しずれているようでした。


カンゾウも成長しています。ヤブカンゾウのようですが、開花が楽しみです。


なんとニホンザルも3頭出ました。現地の人の話では数日前に50頭ぐらいの群れを追い払ったとのことですが、まだ近くにいるようです。


ささやま活動レポート 2016年2月27日

2016-02-29 18:08:15 | ささやま里山

 2016年最初のユニトピアささやま里山再生活動を行いました。本日は、田起こしに先立ち、排水のための溝きりの作業をはじめ、水路の修復、となりの谷の湿地回りの木橋の修復などの作業があります。
 それに先立ち、田んぼにヒキガエルが産んだ卵を移転する作業をしました。

田んぼの水たまりに産み付けられたヒキガエルの卵、アカガエルのものも1つありました。


こちらは1枚目の写真のすぐ横にある小池に生んだヒキガエルの卵


田んぼの卵は竹ぼうきでかき寄せてバケツなどに入れて、田起こしの邪魔にならない水路やため池に移動しました。アカガエルの卵塊はすぐ横の池に移動しました。


 こうしてカエルの卵塊に接触すること自体影響を与えるかもしれません、また、移転した先の水たまりが卵の成長に良い場所かどうかもわかりません。しかし、とにかくできる範囲で作業することにし、移転しました。

 この棚田の田んぼは下に2枚、上の段に3枚あるのですが、昨年上の段の田んぼにたまった水にヒキガエルが産卵し、田起こし作業の前で困ったことになっていましたので、これを見越して昨年11月28日に溝を切ってそこにたまった水に産卵を誘導するようにしていたのですが、ヒキガエルはその小さな水たまりには見向きもしませんでした。

 次の写真は上の段の田んぼに切った溝に水がたまった様子。田んぼの面には水たまりができず産卵は行われなかったが、溝の水たまりにも産卵は行われなかった。




 下の段の田んぼと小池。左二つが田んぼ、右が小池。この小池には産卵したが、あまり多くない。まんなかの田んぼにできた水たまりに大量の産卵があった。また、手前の湿地(草が生えているところ)には産卵は見られなかった。


 この結果を見ると、ヒキガエルはより広い水面を選択するのではないかと思われます。
 今後は ①湿地などにより広い水面をつくってそこに誘導する。②ヒキガエルに産卵されたくない田んぼは産卵時期以前に排水溝を作っておく。③田起こしをしない冬水田んぼをつくる。などの対策が考えられます。
 里山では田植えを境にカエルの種類が入れ替わる、アカガエル類は田起こしまでに成体になって出ていくと聞いてましたが、この話は考え直さないといけないですね。

 隣の谷の湿地では今年もたくさんの卵が産み付けられていました。ヒキガエルの成体も見られました。


上段の田んぼに排水のための溝を切ったようすです。この右側の水路に卵の一部を移転しています。


 この日は園内の各所を見回りましたが、昆虫ではテングチョウを1個体。植物もオオイヌノフグリをひとつみたていど、あとはフキノトウが動き出しているのをみたていどでした。

 植物保護ネットの見回りではキツネノカミソリの葉が動き出しているのを見ました。


矢代池も池干しをしているためか、その下の湧水は水があまりなく、去年ここでなにか生き物が動いていたので期待したのですが、なにも見られませんでした。


 ところで、昨年末11月から12月にかけて、ナラ枯れにあったアベマキの一部を伐採しました。そのあとで、分割作業をするときにスタッフに年輪測定をしてもらいました。その結果がまとまりました。このアベマキは棚田の南側の山の林道沿いに並んでいるもので、どういう用途があったものかまだわかっていません。林道は急な斜面にあるので、土留めという可能性、あるいは”はさがけ”という可能性も考えています。
 今回伐採したものは林道の手前にある2本ですが、以下の写真は伐採する1年前の写真に伐採位置と直径年輪数を書き加えたものです。
 まず1本目ですが、白い囲みに数字を書き込んでいるのですが、見づらいので数字を説明しますと、一番下は径40cm年輪数90年、つまりこの位置がおよそ90年前ということです。中段は径35㎝80年、上段は枝先の切断面の一部ですが、ひとつは径27㎝65年、ひとつは径22㎝50年でした。


もう1本は、一番下が径50㎝125年、中段が径28㎝70年、最上段が径15㎝60年でした。


 現地スタッフから聞いた、ここにこどもの頃来たことがある人の話では、戦後間もないころまでこの棚田で耕作が行われていたということです。つまり、およそ60数年前まで棚田が使われていたということですから、棚田が現役のころのアベマキは今より少し低かった程度の高さだったと想像されます。はじめは”はさがけ”の木のように、ポラード仕立で高さを低く管理していたのではないかと思っていましたが、60年前でもそこそこの高さはありますので、今はこの推測は間違いだったと思います。アベマキはごく自然に成長した姿のようです。ただし、2本目の木は55年で中段の高さですからこちらは手が加わった可能性があります。アベマキはその後少し成長しましたが、枝先に近い位置で年輪を重ねていますので、現在の高さはこの場所におけるアベマキの成長の限界ということでしょう。
 アベマキ列木の成り立ちも植えたようにも見えますが、アベマキは林縁でよく見ることがありますので自然に芽生えたものを道沿いだけ残したとも考えられます。
 ナラ枯れで倒れたアベマキは今後復元したいと思います。


ささやま活動レポート 12月19日

2015-12-23 22:29:55 | ささやま里山

月例のユニトピアささやま里山再生活動。年内最後の活動です。
川北黒大豆の畑も静かです。


本日の作業は1月17日震災の日に使われる竹灯籠の切り出しとオオムラサキ幼虫の探索と捕獲。
竹灯籠はエコリレーが毎年一部を供給しています。410本できましたが、品質検査で選抜されて350本ぐらいになるようです。


さて、私の担当はオオムラサキ幼虫の探索。8人の参加者がありました。昨年と同じ場所をさがしました。オオムラサキを取りに来る人がいるとかで、幼虫を捕獲して春まで一時避難させます。みなさんみつかるたびに歓声をあげていました。


オオムラサキ15個体と近縁のゴマダラチョウ14個体がみつかりました。


こちらはゴマダラチョウ。突起が3対です。


こちらはオオムラサキ、突起は4対です。


写真が傾いたままですが、この木がエノキ。ただし、こうした根元が何にも覆われていないところではみつかりませんでした。根元が常緑樹などで隠れていて乾いているところがいいみたいです。


珍しいことにカラスザンショウの木がありました。


棚田地区に戻りまして、これはナラ枯れで伐採した2本目の木。年輪を部分部分で数えてもらいました。のちほど報告します。


作業終了後、植物保護のためにネットで囲っているところを点検しました。
ここは最も広いところですが、シカが入ってササを食べたのかなあ?と疑わせる感じがありましたが、この時期シカにあるていど上にかぶさっている草を食べてもらうことは、むしろ下に隠れている草にはいいことなのかもと思ったりして・・・。


棚田のそばのイチリンソウが見つかったところは川の増水の影響を受けていました。


表面が流されています。はたしてイチリンソウはどうなったやら。


ここは別の保護区の外側ですが、明らかにシカにササが食べられています。


ドウダンツツジの新芽がきれいでした。


篠山口駅までの帰りの沿道で気になる樹木の列植。ポラード仕立てになっているみたいです。はさがけの木?


こちらもはさがけの名残?


ささやま活動レポート 11月28日

2015-12-05 19:12:10 | ささやま里山

 月例のユニトピアささやま里山再生活動。先月分は忙しくてすぐに掲載できなかったので、のちほどブログに出します。

 今回は11月28日の活動レポート。この日は収穫祭。かかわった人々が集って、棚田でとれたお米を味わう。+焼肉も。

 そのまえにやはり作業もしましたが、まず最初にナラ枯れにあったアベマキのうち、倒木の危険のあるものを伐採する作業。2本あるのですが、きょうは1本を倒しました。
 作業はベテランが担当します。
まず倒す方向に切り口をつくります。

そこを反対側から切り込んで倒します。

倒れました。田んぼには倒れましたが、小屋や池などはうまくよけています。

残った株と倒れた木です。根元の年輪は92+ありました。上方の枝の断面の年輪も40+ほどありましたから、かなり前から高さはあったようです。

伐採のおわったあとは、班にわかれて、棚田の作業、草刈り、伐採したアベマキの処理などを行いました。
カエルの産卵にそなえて棚田に溝を切る作業の風景です。棚田には自然に水がたまり、そこにヒキガエルが産卵するのですが、春の田んぼの作業のときに困ってしまうので、じゃまにならないように溝を切ってそこに卵を生ませるように誘導しようというものです。長靴でふんでへこませようとしましたが、無理で結局くわで溝を切りました。うまく産卵してくれますように。

こちらはのり面の草刈り作業。草花のために残していたところも全て刈ってもらいました。

そして収穫祭。棚田米最高でした。



お釜で炊いたものとそこはパナソニックですから、自社の高級炊飯器で炊いたものを食べ比べました。
右の白い箱は焼肉のたれ、初めて見ました。

右の棚の枝は倒したアベマキのもの。左の丸太は林内を片付けて出たものです。

サルトリイバラの赤い実がきれいでした。