◎こんな漢字は見たことも使ったこともない
文書をスキャンし、OCRソフトで処理すると、読みとりミスによって、見たこともないような珍しい漢字が表示されることがある(私が使っているOCRソフトは、たぶん、中国製だと思う)。
これらの漢字は、もちろん、その場で消されてしまう運命にある。しかし、これらの漢字は一体、どう読むのか、どういう意味なのか、ということが気になった。
以下は、ここ数週間に遭遇した、そういう珍しい漢字の例である。
そうした珍しい漢字のうち、一般的な漢和辞典、字書などで確認できるのは、ほんの一部にとどまる。以下に紹介するのは、後藤光憲編『活版鮮明 広益新撰玉編』(鐘美堂、一九〇五)によって、その「存在」が確認できたものである。
プレビュー画面で表示できないこともありえたので、〈 〉内に字の構成を説明しておいた。部首、読み、韻、意味は、『広益新撰玉編』に拠った。
侗〈ニンベンに同〉 部首〔人〕 トウ・ツ 東【平】 おろか・うつけ・おさなし
倌〈ニンベンに官〉 部首〔人〕 クヮン・クヮン 寒【平】 とねり
儿 部首〔儿〕 ジン・ニン 真【平】 ひと
兀 部首〔儿〕 ゴツ・ゴチ 月【入】 かぶろ・たかし・すぐる
划〈戈の右にリットウ〉部首〔刀〕 クヮ・ゲ 麻【平】 ふねをすすむ
剕〈非の右にリットウ〉 部首〔刀〕 ヒ・ヒ 未【去】 あしきる
奭〈大の両側に百〉 部首〔大〕 セキ・シャク 陌【入】 みる・さかん・あかし・いかる
屮 部首〔屮〕 サ・サ 哿【上】 ひだり
帘 部首〔巾〕 レン・レン 塩【平】 さかばた〔酒旗〕
怵〈リッシンベンに術の中央〉 部首〔心〕 チュツ・チュチ 質【入】 おそれ・をののく・いたむ・さそふ
棼〈林の下に分〉 部首〔木〕 フン・フン 文【平】 みだる・むなぎ・地名
洱〈サンズイに耳〉 部首〔水〕 ビ・ミ 紙【上】 みづのな〔河川の名〕
癥〈ヤマイダレに徴〉 部首〔疒〕 チョウ・チョウ 蒸【平】 かめばら〔脹満〕
窬〈穴カンムリに兪〉 部首〔穴〕 ユ・ユ 虞【平】 あなうがつ
篛〈竹カンムリに弱〉 部首〔竹〕 ジャク・ニャク 薬【入】 しのざさ
艿〈クサカンムリに乃〉 部首〔艸〕 ショウ・ニョウ 蒸【平】 くさしげる・はへる
蓰〈クサカンムリに徙〉 部首〔艸〕 シ・シ 紙【上】 くさ・ます
薷〈クサカンムリに需〉部首〔艸〕 ジュ・ニュ 虞【平】きくらげ・みみたけ
袼〈コロモヘンに各〉 部首〔衣〕 ラク・ラク 薬【入】 ふりそで
豳〈山の字の左右のすきまに豕〉 部首〔豕〕 ヒン・ヒン 真【平】 国名・県名・姓
軺〈車ヘンに召〉 部首〔車〕 ユウ・ウ 蕭【平】 こぐるま
遒 部首〔辶〕 シュウ・ジュ 尤【平】 せまる・いそぐ・たつる・つよし
靳〈ヘンが革、ツクリが斤〉 部首〔革〕 キン・コン 問【去】 むながい・かたむる・ぬくむ・をしむ
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