礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

映画『意思の勝利』にはナレーションがない

2018-08-29 05:17:07 | コラムと名言

◎映画『意思の勝利』にはナレーションがない

 ナチ党の党大会を記録した映画『意思の勝利』(一九三五)を紹介している。本日は、その二回目(とりあえず最後)。

 場面変わって、飛行場で、ヒットラー総統の到着を待つ人々。カメラは地上である。
 やがて、ヒトラー総統の搭乗するユンカースJu52が着陸する。これを熱狂的に迎える人々。婦人や子どもも多い。一様に、右手を挙げ、口々に何か叫んでいる。
 カメラは停止した飛行機に近づく。ユンカースJu52の外板は、波形になっている。プロペラは二枚。係員がタラップを用意し、外から乗降用の扉を開ける。扉は、機体左側、主翼のやや後方にある。
 最初にあらわれるのは、ヒトラー。軽く右手をあげて歓迎に応え、すぐにタラップを降りる。これに軍服姿の男が続くが、顔はよく見えない。
 三番目にあらわれるのは、ゲッベルス宣伝相である。白っぽいコートに身を包んでいる。さらにもうひとり、背広姿の男、顔はよく見えない。
 人々に取り囲まれているヒトラーの姿がアップされる。表情が明るい。
 場面変わって、飛行場を出発する自動車の車列。道の両側には、おびただしい数の人々。一様に右手を挙げている。ヒトラーは、先頭のオープンカーに乗り、助手席のところで立ち上がって歓迎に応える。
 カメラは、高いところから、この車列を映す。ヒトラーが載った車の前に、撮影車両らしい車が一台。屋根の上に、カメラとカメラマンが見える。
 やがて、一行は、ある建物の前に到着する。玄関のうえには、HOTEL DEUTSCHER HOF という文字が見える。ホテルの部屋の窓を開け、群衆に向かって姿を見せるヒトラー。いかにも満足そうである。
 ――こんな感じで、映画は続く。この間、たえず音楽が流れているが、一切、ナレーションはない。これは最後まで同様である。ただし、群衆の歓声が音楽にかぶさることがある。また、演説の場面では、その音声が流され、音楽は消える。

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