イスラエルでの暮らし

イスラエルでの暮らしなど、紹介します。そして今現在の生活で感じたことなど

今はこの本

2009年08月22日 20時06分10秒 | Weblog
近頃僕は太宰を読んでいます。

なんでも今年は太宰生誕百年と言うことで、
小さな本屋でもそれなりに太宰の本が置かれているです。

大学生だった頃は太宰にどっぷりとつかった僕ではありましたが、
何時とはなしに読む作家が変わり、
さまざまな本の変遷を重ね、
ついこの前、村上春樹を読んだことを除けば、

読んだときには何かとても前向きな気持ちにはなるのですが、
気がつけば塵ほどの役にも立っていない「こうすれば成功する」
といったようなビジネス書や、「バカの壁」に代表されるのような新書ばかり
読んでいて、小説を読むことが極端に減っていたのです。

もちろん太宰が生誕百年であることはもっと何ヶ月も前に知っていました。
でも、簡単には手を出せないのです。
手を出すには手を出すだけの理由がなければなりません。

だって、太宰の大ファンであったこの僕が生誕百年
なんて言って騒いでいるマスコミに簡単にのってしまったのでは、
あまりに軽い読者のように見えるではないですか。

太宰を読んでいる人の殆どが、我こそが太宰の一番の理解者だと思っているのです。

そういう人たちに、ふん、このにわか太宰ファンが、
なんて思われたくはないではないのです。

久しぶりに手にした本のタイトルは「ヴィヨンの妻」。

これは短編集です。

読みごたえはあります。

死のうと思っていたとか、死にたいとか、
夫が不倫相手と心中しただとか、
そこにはもはや止めようもない、死の魅力に取り憑かれた
太宰が、これでもかと言うほど描き出されていました。

悩んで悩んで悩みぬいて、弱いんだけど戦って、
それでもまた心の弱さに押し戻されて、
誰も幸せにできない自分に嫌気がさして、

ある時ほんとに死んでしまったのですね。

暗いようでしょう。

でも、暗いだけの小説ではありません。

そこには生きていく努力を一生懸命している姿も
きちんと描き出されています。


さて、今日からは「晩年」です。

また、どっぷりとつかってみようと思っています。
 

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