俺はワルポンだっ!

ちょいワルおやじを卒業したワルポンの斜め下から見た現代社会

『田んぼで牧草』

2010-08-26 09:35:22 | Weblog
印旛沼湖畔には本格的・オランダ風車で知られる『佐倉ふるさと広場』があり、春にはチューリップが咲き競い沢山の見物客が訪れます。
その隣の田んぼは、一枚の広さが日本一といわれ、東京ドームの1.7倍、7.5ヘクタールもあります。

      *☆*・*★*・*☆*・*★*・*☆*・*★*・*☆*・*★*・*☆*・*★*・*☆*

その田んぼに、大きなバームクーヘンのような牧草が転がっているではありませんか?
北海道の酪農地帯かと勘違いしてしまうような光景です。


田んぼと言ったって水を抜いてしまえば地面は固く、大型機械だって、ダンプトラックだって、もちろんウォーキングシューズだってへっちゃらの、コチコチのグラウンドみたいです。

いかに機械化作業とは云え、暑い夏の炎天下の作業です。
見ているだけでも汗だくです。
作業中の牧場のオヤジさんに「あっついすねぇ」と言って、近づいて話を聞きました。

「こんなの暑くねえ、牛舎は堪らなく暑いよ・・・、牛一頭が七輪一個分の熱を出すから60頭もいると暑くて堪んねえよ、牛が反芻することで熱を出すのよ・・・、気温が25度を超すと牛はストレスを感じて乳の出が悪くなるんだ。35度以上も続くと、オッパイはぺッチャンコでさっぱりだよ」

稲を牧草にするのかを訪ねると、
「政府の減反政策の一環だよ、コメが余っているからねぇ。でも、俺らはありがた迷惑なんだ、重い稲穂を支える稲の茎を丈夫に育てるために珪酸カルシュームを撒くので茎に珪素が溜まって固くなり、消化が悪くて牛の負担が多くなるんだよ」

広い圃場で大型の機械での刈り取るのは楽ですね?というと
「何言ってんの、機械の購入金返済のために働いているようなものだ、今時鎌で刈るなんて出来っこないし・・・、これから、これを持って帰ってからが大変なのだ、ビニールでラッピングし、“ホールクロップサイレージ”するんだ。


「丸ごと発酵させてから餌にする、サイロに入れる手間が省けるけどね、10月ごろには熟成されて餌なる、これだけあれば来年の3月ごろまで持つかなあ、ただ、消化が悪いので反芻する回数が増えるため牛の負担が多くなり、乳牛の場合は乳の出良くないね、肉牛には良いかもしれないけど・・・」

      *☆*・*★*・*☆*・*★*・*☆*・*★*・*☆*・*★*・*☆*・*★*・*☆*

かなり専門的な内容の話をぶっきらぼうな物言いで、判りやすく教えて頂きました。
水田では“コメ”を作っているのだとばかり思っていましたが、現実は違いました。

印旛沼土地改良区の話
「コメ余りの状況を受け、日本の稲作の方向も多様化しています。牛の飼料用としてはウシアオバなどの専用品種が栽培されています。専用品種は栽培に水を多く必要とするため水利権の問題もあり、今回の圃場のものはコシヒカリです。
牛の他にもニワトリ用の稲作など多様化が図られ、飼料の自給化が推進されています」

日本一の広さの水田には、日本農業の転換の夜明けの秘密があったのです。

別に秘密なんかじゃありません!
コメ作りという戦後農業のモデル事業であった印旛沼干拓地で始まった日本の農業の進む方向の現実がそこにあったのです。